第239回 友里征耶の疑問 その5評価は先に言ったもの勝ちなのか

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  • 2004年3月10日(水)
最近シェフではなく、サービスに携わっている人が
オーナーだと言われている店が多くなりました。
オーナーシェフの店と言われているところでも
実際のスポンサー、オーナーは別というのが結構あるのですが、
ジャーナリストと名乗っているのに
そのような本質を無視して間違った情報を垂れ流している
自称フード・レストランジャーナリストが多いようで、
この業界はあまり信用できません。

「オー グード ジュール」は
オーナーメートルの店と言われています。
確か、「ロンフウフォン」も
サービスの人がオーナーと言われていたと記憶しています。

この両店で共通している
彼らフード・レストランジャーナリストたちの評価は、
そのサービスの素晴らしさです。
「オー グード ジュール」のメートルは確か
「ドン ピエール」という
洋食とフレンチの中間のような店に勤めていて、
「ル ブルギニオン」を経て今の店のホールに立ちました。
「ロンフウフォン」でのたった一人のサービススタッフは
「メゾン ド ユーロン」に勤めていたのでしょうか。

しかし、実際にこれらの店へ訪れて感じ取ってみてください。
確かにサービスが劣悪であるわけではなく、
そんなに不満があるわけではありませんが、
傑出したもののように評してしまっていいものなのか。
だいたいサービスというものは、悪くは簡単になりますが、
奥深くそう簡単に極められるものではありません。

最初に一部のフード・レストランジャーナリストが
言い切ってしまったのでしょう。
「サービスの達人」という言葉だけが独り歩きしてしまい、
訪問客はその先入観だけで、
普通の応対、客のことを考えた当たり前の言動にも
感心してしまっていると私は思うのです。
確かに悪くはありません。
しかし、彼らを達人と言ってしまっては、
同じレベルもしくはより上のレベルの他店のサービススタッフは
どう表現すればいいのでしょうか。

あまりに簡単に言い切る彼らのセンス。
スタッフにまで癒着があるのかどうかはわかりませんが、
この「最初に言ったもの勝ち」の評価スタイルが
読者を混乱させている一つの原因と考えます。

料理店で言えば、昔は早稲田の「松下」、
最近の流行では「ロンフウフォン」。
誰かが最初に素晴らしいと
過大評価で言い切ってしまった後遺症から、
一般読者はなかなか抜けきれないのと同じです。