第237回 こりゃ駄目だ、畑中

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  • 2004年3月8日(月)
とにかく主人が無愛想でそれはそれでいいのですが、
ほとんど言葉を発しないので、
店側の意思表示が客に伝わってきません。
通り掛け、数組しか客がいなかったので
フリで飛び込んだのですが、
受け入れてくれるかどうか、マダムらしき女性が主人に振っても
はっきり意思が伝わってきません。
何も言わなかったのがオッケーなのでしょうか、
我々はカウンターに座れたのですが
その空白ともいえる時間が私には息苦しかった。
犬養裕美子氏は、
天麩羅屋さんはお客と会話する余裕がないほど忙しくて
集中していると主人の無口を弁解していますが、
私が入店した時は揚げていませんでした。

小鉢にマキが3、魚が4、野菜が5品で
かき揚げにご飯とデザートで8千円。
それぞれ1品減ってデザートを抜いたコースが5千円。
評価本などでは、
この店がCPの良い一流店のように紹介されています。
でも、各ポーションや品数、そして肝心の食材を考えると
納得がいかないものが多かった。
マキといえどあの大きさ、サイマキの範囲かと思いますが、
甘み、旨みをほとんど感じません。揚げ方は良いのですが。
犬養女史も一押しの野菜群ですが、
アスパラ、しいたけなどもイマイチ。
ゴボウ、ハスなどはやや焦げ目をつけた揚げ方で、
それなりの香ばしさを感じましたが、
目から鱗がおちるほどの感激はありません。
魚群もどうでしょうか。
キスは凡庸、殻付だった牡蠣も天麩羅には難しいと判断しました。
白魚もまだ「みかわ 本店」のほうがマシだった。
気になったのは「近藤」と同じく穴子です。
時節の関係なのか、この店の穴子も、身は薄く細いもの。
塩や天つゆをつけずに口にしたら、
やはりアタックに生臭さを感じました。
もっと火を入れるべきものなのか、
食材の問題なのかわかりませんが、
「近藤」以外の高額店ではお目にかかったことのない事でした。
かき揚げは天丼にしましたが、
今度はちょっと衣がバリバリなのが気になりました。
こんなはずではないのではと、公魚と蛤を追加でオーダー。
子持ちの公魚はよかったですが、3片でてきた蛤は
最初、豆かなにかと勘違いしました。あまりに小さすぎるのです。
しかも海苔などが巻かれておりません。
これでは食材の旨みをだすことは無理でしょう。

お酒は一合が700円から、
ビールが中瓶600円と安く設定されています。
揚げる技術以前の食材の問題。改善するのは主人の考え一つです。
会計時、明細を見せてくれるなど明朗で、
主人も人は悪くなさそうなのが救いです。
レストランジャーナリストの犬養裕美子氏と親しいのでしょうか、
彼女の評価があまりに高過ぎるのが気になります。