第223回 昔の名前で出ています状態、アラジン

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  • 2004年2月23日(月)
改装前とはまったく違った雰囲気の店になっていました。
オープンキッチンではなくなっていましたが、
露出趣味があるのか、
店外からもガラス張りの厨房が見えるようになっています。
ブレイクしてすし詰め状態が続いた狭いテーブル配置ではなく、
ホールは高級感を出してゆったりした造り。
しかし、肝心の客が稼ぎ時の12月半ばというのに数組ですから、
かえって寂しい印象を与えてしまいます。

料理は7千円と1万円のコースとアラカルトになります。
巷で評判のスペシャリテ、
例えば「フォアグラのリゾット」などは
高いコースにプリフィクスの形ですが、設定されています。
アラカルトにもスペシャリテはラインナップされており、
冷たい前菜5種、温かい前菜3種、肉5種に
この時ジビエがまた4種と選択肢はあります。
逆に客の入りの悪さで仕入れの無駄を心配してしまいましたが、
ジビエにいくつか欠品がありました。

内臓料理で名を売ったフレンチではありますが、
久々の訪問で受けた印象は、
「記憶と違って案外軽いじゃないか」。
ブレス鶏とフォアグラのガランティーヌは、
せっかく使ったフォアグラの主張をまったく感じませんでしたが、
繊細な味わいでそれはそれで良い。
どうせ目立たないなら、石川芋だけでも良いかもしれません。
同じく石川芋と野菜とキノコのサラダは、
同じような傾向の味わいで私は満足。
つまり、ドカーンとくるものではないのです。
評判のフォアグラリゾット。
確かにフォアグラ単体はうまくソテーしていますが、
リゾットというかわざわざ米の上に置く必然性を感じません。
傑出したというレベルではなく、
標準以上にはおいしいレベルのフォアグラです。
メインはいたってノーマルなクラシックスタイル。
今回は山鳩のサルミソースでしたが、
オーソドックスなもので、シェフの特徴を感じませんでしたが、
完成度は高いと考えます。
量が少ないところは、
突合せのポテトグラタンで補うことになります。

ワインの値付けは、シャンパーニュを除いて安いと感じました。

<結論>
ジビエの季節は「内臓盛り合わせ」などの
ひとつのウリである料理がない。
そのジビエを含めて各料理のレベルが
標準より高いことは認めるが、
犬養裕美子氏が評価するような、
有名他店を押しのけて
料理で10点満点を取るものではないと判断します。