第220回 あの店は今・・・ その4トゥール ダルジャン

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  • 2004年2月20日(金)
今回の再訪はシェフ交代によりものです。
日本では「ロオジエ」に次いで
二人目のM.O.F.を受賞したシェフの登用。
評価本やネットでの評判もかなり良くなって来ています。
果たして何百年も前からある
伝統の「鴨料理」を
メインにしなければならないという制約の中で、
M.O.Fシェフはいかにその腕を奮うことができるのか、
大変楽しみでありました。

料理の変化を簡単に言ってしまえば、
「鴨料理」は「ONE OF THEM」の
位置づけになっておりました。
以前は前菜や他の魚、肉料理の種類が
あまりに少なすぎると指摘しましたが、
新シェフが打ち出した作戦は、「トゥール ダルジャン」の
普通のフレンチ化のようです。

前菜は、ウリのフォアグラ三皇帝の他、
6千円から9千円の範囲で9種が用意されています。
魚料理は6種、肉料理は4種、
それにこの時期のジビエ料理が9種、
肝心の鴨は幼鴨で5種と
メニュリスト一面に料理名が書きまくられています。
選択肢が多いというレベルではなく、
あり過ぎで迷ってオーダーできません。
肉や鴨料理も8千円~1万円の範囲と東京屈指の高価格ですから、
わざわざこの店で、野兎や鹿、牛を食べるといった冒険はせず、
懐に余裕のある少数層の客以外はかくして、
鴨料理を選ぶことになるわけです。
この価格設定ではそうおいそれとリピートできません。
幼鴨は当然ジビエではなく繁殖ものなのでしょう。
昔のレシピの「トゥール ダルジャン風」や
「マルコポーロ」の他に、マンダリンオレンジを乗せたものや、
ボルドーワインソースのものが新種で加わっておりました。
食べやすい普通のフレンチになっており驚きました。

誰でもかなり満足する料理を提供するようになりましたが、
結果は「ただのバカ高いフレンチ」
といった位置づけだけになりそうです。
ワインを赤白2本と前菜をフルとハーフで2皿、
それに幼鴨にフロマージュなどを頼んで
一人5万円を軽く超えてしまったのには驚きました。
内装が豪華すぎる、鴨も扱うちょっとおいしい、
凄く高い普通のフレンチとなっておりました。