第216回 この店も過大評価だ「レストラン カハラ」(大阪 曽根崎新地)
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- 2004年2月16日(月)
ステーキ屋が和食を出しているのか、
創作和食屋が鉄板カウンターでステーキを出しているのか、
この店をカテゴリー付けするのは難しいですが、
ネットでもほとんどのレヴュアーが5つ星をつけていますし、
山本益弘氏も絶賛している繁盛店です。
まず最初、スタッフは食前酒に
なぜか甘口のワインを1杯だしてきます。
河内のワイナリーで、ナイアガラというブドウで
発酵を途中でとめて甘口にしたそうです。
大阪産のワイン?と早くもサプライズ。
もともと日本のワインにはまったく興味がないのですが、
勝沼や十勝ではなく大阪でワインを造っているなんて
まったく知りませんでした。
料理は2万2千円のコースのみ。
5皿の前菜とこの店のウリである
牛肉のミルフィーユ風鉄板焼きに、ご飯で〆る構成です。
前菜の位置づけの5皿は、産地や食材の取り合わせの妙に加えて、
料理そのものがイマイチというのがサプライズ。
食材の質も味も良くないのです。
セヴルーガかと思える小さめのキャビアは量がありました。
もったいぶって説明される天王寺蕪など
産地を言うほどの質を感じません。
一軒たこ焼き器かと間違える、熱した器ででてきた一口料理は、
たとえば松坂のエスカルゴは味わいが薄く、
鱈の白子は火の入れすぎでマッタリ感がまったくありません。
松坂で食用のカタツムリを養殖しているとは知りませんでした。
特別に打たせたという十割蕎麦は、
カラスミの粉末がかなりかけられています。
大阪のステーキ懐石屋で蕎麦を食べるとは、
そして明るい黄色すぎる粉チーズのようなカラスミのミスマッチに
再びサプライズ。
前評判とはまったく違った、凡庸な前菜の数々。
そしてメインのミルフィーユ。
どんなものかと期待していましたが、
安いカウンターしゃぶしゃぶのように、
薄く切った肉を何枚か重ね合わせたものが一人5片ほど。
目の前の鉄板でさっと焼いて出してきますが
客もさっと一口で食べられてしまう量。少ない。
パサパサのエビ芋と、最後の〆の牡蠣ご飯で
かろうじて満腹にさせているようです。
食後は選択肢なくロイヤルミルクティ。
レジにはオーナーシェフが執筆した本が売ってありましたが、
料理だけでなく店全体のテイストが
私にあうものではありませんでした。
<結論>
料理評論家やフードジャーナリストではなく、
ネットのレヴューと私の食後感が
これほど乖離するとは思わなかったが私は敢えて言います。
この店は過大評価されていると。