第202回 あの店は今・・・ その2麻布 かどわき

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  • 2004年2月2日(月)
ついに1万5千円コース
1種のみの営業となってしまっておりました。
開店当初は8千円のコースからあったと聞きましたから、
1万円、1万2千円と
計3つのコースを抹殺してきたことになります。
何回転もさせて無理に客を入れていた時期とは
状況が変わっているのですから、この強気が意外でした。

客が減ったという噂を聞いたことがありますが、心配無用、
当日は満席となっておりました。男一人の客や男性客、女性客と
あまりカップルは見かけられず、客層はバラバラ。
主人は相変わらず無愛想な感じも変わりません。

前回訪れた時の活況さはありませんでしたが、
逆に落ち着きがでてきて
客としては居心地の良さを感じるようになっております。
なにしろ、次から次へと客が押し寄せてきませんから、
無理にカウンターに椅子を増やすこともなく、
客層も洗練されてきたのかタバコの不快な煙も感じません。
一番感じたのは、ワイワイガヤガヤの
居酒屋の雰囲気がなくなっていたことです。

料理は相変わらず創作和食で、賛否両論あるでしょう。
クラッシュアイスに乗った鯛の造り。
海苔や山芋、葱を巻いて食べるのですが、
やはり食材的には良くないものと感じます。
山芋や海苔に惑わされず、鯛そのものをまず口に入れましたが、
旨みも感じず、パサパサです。レベルは上がっていない。
しかも、時間が経ってくるとアイスが溶けだし、
刺身はベチャベチャになってしまうのはいかがなものか。

創作和食の典型というのか、
豆乳や白味噌、西洋の食材を使った料理もどうでしょうか。
ウニ、湯葉、蕪、イチジクの豆乳和え、
白味噌ベースの白子と牡蠣の鍋、
白トリュフと白子を使った雑炊など珍しさはありますが、
味に深みを感じずリピートする気がおこるかどうか、
私には疑問です。
酒は高いものもありますが、
最低が黒龍300ミリで2千円。
かなり飲んでも一人2万円弱の会計となりました。

2回転はしていないがきちんと満席にはなる繁盛店。
これなら充分経営側としては満足でしょう。
店内は以前のように少しでも売上げを上げようといった
ギラギラした物を感じず、
遅まきながら地に足が着いてきたのでしょうか、
店を出る時は主人とマダムの
「お見送りサービス」が追加されたようです。
「追い出し」はなくなっておりました。
造りや出汁などに力不足を感じます。
食材の取り合わせや盛り付けの奇抜さをウリにする
「サプライズ料理」ではなく、
もう少し食材の質を上げる、深みのある出汁を追求するなど
本質の料理を目指さないと、
私は1万5千円ではCPが悪いと考えます。
でもそうなると「創作和食」ではなくなるか。