第174回 貫禄あり過ぎの主人、「しみづ」

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  • 2003年12月23日(火)
評価本やガイド本から仕入れた予算情報と
はるかに乖離してしまった実際の支払い額。
評価本のデータがいい加減なのか、
我々が調子に乗って食べ過ぎ、飲み過ぎたのか
客観的な判断ができませんが、
私はあらためて鮨屋の会計の不明朗さに驚きました。

新橋の路地裏の小さな店。
雑居ビル内の「新橋 鶴八」から3~4年前に独立して、
瞬く間に有名店になりました。
「しみづ」の店内は、清潔なのでしょうが、
何か雑然とした雰囲気で私は好きになれません。
昼時はヒカリ物の〆など下ごしらえを目の前でやっているので、
それを見ながらの食事は客によって好き嫌いがでると思います。

山本益博氏のグループに親しいのでしょうか、
かなりの良店として取り上げられていましたし、
「みかわ」の早乙女氏とも親交があると聞いています。
店内の雑然さは、
「みかわ」と相通ずるものがあるかもしれません。
器などに凝っているのも早乙女氏の影響でしょうか、
陶芸家と京都で食べまわるなど
研究熱心?なところもうかがえます。

「しみづ」の主人は実はお若いようです。
最近のニューリーダー達、「あら輝」や「さわ田」と同世代、
たしか35歳くらいのはずですが、貫禄が出すぎと言うか
その年代にはとうてい見えません。

ツマミからお任せで頼むと
かなり次々と出してくれるので酒飲みには有難い店。
握りの特徴は、シャリの、赤酢とボロボロ感でしょうか。
米粒の一つ一つが口中で主張するように感じるのですが、
これも客によって好き嫌いがでると考えます。

ネタ質は上の部類でしょう。
鮪は高額有名店と比べて遜色ないと思いますし、
酒で煮た鮑、
私の好みからするとちょっと〆すぎかと思われるコハダなど、
この店にしかない、といった
傑出したものには出会いませんでしたが、
ガイド本のとおり予算8千円で、
飲み代を考慮に入れて1万数千円で食べられるなら、
食後感も良く店を後にすることが出来たはずでした。
ところが、二人でかなりお酒を頼んだとは思いますが、
一人当たりの金額が8千円の倍以上。
銀座の高額店とたいして変わりません。
ツマミも握りもかなり食べまして、
主人の「これで終わり」がでるまで、
ストップしなかったのがいけなかったのでしょうか。

食事中の1時間半あまり、
ひっきりなしに飛び込んでくる客を断り続ける様をみていると、
かなりの人気店ということがわかります。
我々の支払額ならここまで流行るとは思えないので
不思議というしかありません。