第148回 逆転の発想 地方進出、カノビアーノ

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  • 2003年11月17日(月)
最近雑誌で、植竹隆政シェフが
京都に「カノビアーノ」の分店を出したと知りました。
代官山にアネックスを含めて2店。
確かドルチェの店もあるはずだし、私の記憶では4店目です。
京都店では、京野菜に力を入れるとのこと。
相変わらず、ニンニクや唐辛子を使用しないスタイルは
そのまま継承するようです。
ということは、京野菜である万願寺や山科など
辛くない唐辛子も使用しないのでしょうか。

「特徴のないのが特徴」。
一言でカノビアーノの料理を表す言葉だと私は思います。
どれも無難にまとまっている、はずれる料理は少ない。
しかし、特に印象に残るでもなく、
皿数は多いのに淡々と食事が終わってしまうのです。
万人受けする料理、代官山などお洒落なスポット、手頃な価格、
など若い人や業界人に受ける要素はあったでしょう。
しかし、京都に進出するとは意外でした。

地方の名店といわれる店が、
東京へ進出してくるのは良く目にします。
札幌で名店といわれた「メゾン ド サボア」を閉め、
東京へ勝負に出てきた「オハラ、ス」。
小田原の有名店であった「ラ ナプール」も
この年末に上京してきます。
オーナーシェフの野望は、
メジャーに行ったイチローや松井選手ではないですが、
最後は東京、もしくは銀座や六本木、青山で
勝負を賭けたい気持ちが強いようです。

古くは宮本シェフの「クリニャンクール」。
西麻布から銀座にうってでましたが、また南麻布へ逆戻り。
五反田の立地の悪いところからテレ朝通りへ移転した
「クローチェ・・・」も暫く苦戦が続きました。
「オハラ、ス」も順風満帆とは言えないようです。
このような、店の所在地をランクアップすることを第一に考える
オーナーシェフとは違った動きをしたのが、
ヒラマツグループでした。
博多に出した大箱店も順調のようですし、
来年には札幌にも進出するとか。
東京やパリで得た名声を利用して、地方で集客をはかる。
経営者として立地の見栄よりも利益をとった結果と考えます。
「ヒロ」のように都内にバンバン出店するよりも、
京都を選んだ植竹氏に経営者としての洞察力があったのか、
答えは近々にでるはずです。

しかし、若干40歳前後の植竹さん。
短時間での多店舗展開ですが、バックにスポンサーがいない、
純粋のオーナーシェフなのか、私には疑問です。