第114回 なぜバンケットにはまるのか

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  • 2003年9月9日(火)
最近購入したレストランガイドには、
場所や予算、代表的なメニューといった一般の店データのほか、
貸し切りができるか、その際の収容人数、予算を調べた
「パーティデータ」なるものが各店ごとに明記されていました。
レストランウエディングが流行なのでしょうか。
披露宴の二次会を含めて、
街のレストランで催される機会が増えているようです。
和食系の小さめな店や一部の人気店を除いて、
過半数の店がパーティ(貸し切り)を受ける営業方針のようです。

それだけニーズが多いということなのでしょう。
個別の客ではなく、
バンケットをターゲットとするコンセプトでオープンした
「レゼルヴ ドゥ ヒラマツ」なる店もありくらいです。
この店は、ランチの営業がないのですが、
昼間からスタッフが店先で客を誘導しています。
バンケット客の案内の他、
披露宴の打ち合わせに来るカップルへの対応もしているようです。
同じくヒラマツグループの「リストランテ ASO」。
玉川高島屋へ9月に分店を出すという
多店舗展開も気になりますが、土日営業と銘打っていても、
ほとんどの土日がバンケットで埋まっていて、
個人客の予約が入りません。
本店の「ヒラマツ」も、土曜日は
一ヶ月前までは個人客の予約を入れません。
ぎりぎりまで、バンケットの予約を待っているからです。

そして、「ザ ジョージアン クラブ」。
HPでもバンケットに力を入れているのが読みとれますし、
最近は土日もオープン、
年中無休営業(8月は一ヶ月休み)となりました。

なぜ、これほどまでにバンケットに力をいれるのか。
答えは明白です。
ちまちま個人客を相手にしていくよりバンケットは、
まとめて売上げが上がり、しかも利益率が高いからです。
テーブルセッティング、花の飾りつけなど
付加価値をつけることで目先をかえていますが、
個人向けのコース価格より、
バンケットの際の一人当たりの料理金額は高く設定しています。
ホテルの場合も同じような戦略ですが、
高い価格設定でまとめて仕入れ、まとめて調理。
歩留まりのリスクもありませんから、
これだけでも利益があがります。
それに加えて、食材の原価率も相当低いようです。
一般に言われている3割なんていうレベルではないでしょう。
価格が高いから余計に原価率は下がりますが、
2割を切っているとある店では聞いた事があります。
おめでたい宴で誰もが高揚しています。
団体ですから客のレベルも多様でして、
料理がうまい、まずいといった判断をされる事がないのでしょう。
店の知名度、外観、内装を含めた雰囲気さえよければ、
主催者も招待客もみな満足して帰っていくと考えます。

バンケットは、一度に売上げが上がり、手間も一度で終わる。
原価率も下げられて、利益は増大し、
料理自体に高いレベルを要求されない。
そして、キャンセル料はとれるので歩留まりのリスクも無い。
つまり、一度始めたら辞められない、麻薬のようなものなのです。