第110回 人気シェフのお勧め店シリーズ その2その推奨に疑問あり

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  • 2003年9月5日(金)
私の購入した料理店関係の雑誌の特集記事、
いわゆる「人気シェフのお勧めの店」をざっと読んで、
集計してみました。
何冊もの雑誌からチェックしましたところ、
30人ほどの人気シェフが平均3~4店推奨しておりました。
私の見た限りでは、最多登場シェフはアロマフレスカ
(今はアロマクラシコ)の原田シェフ。
ほとんどの雑誌に皆勤です。
しっかり自分の店の記述も写真入でありますから、
そうとうな宣伝になっていると思います。
そして、多くのシェフが推奨した店はなんと
「カノビアーノ」でした。
私のこの店への感想は「特徴がないのが特徴の店。
万人受けで、色気の無い華奢な美人」
人気シェフは、変化を嫌い無難なお店がお好きなようです。

ところで、ちょっとそのお勧めはないだろう、
と感じたシェフというか料理人を見つけました。
一人は天麩羅「近藤」の近藤氏。
街場系と思われる鮨「田吾作」やトンカツの「ぽん多」までは
まだ良いとして、堂々とフレンチの王道の店といった位置づけで、
銀座の「エスコフィエ」を推奨していたのには驚きました。
ここを凄いフレンチと言ってしまっていいのでしょうか。
なんとも言えない店構えから、
どちらかというと洋食屋の雰囲気を漂わせている
このフレンチのメニューは、どちらかというと超古典的というか、
一昔前のもの。
「シェ イノ」の古典料理どころではなく、
西麻布の埋没している「シェ フィガロ」のような、
私に言わせるとシーラカンス的なものです。
客層もお年を召した方のカップル、家族連れが主体のはず。
店のワインは、拘りがあるようで、
その仕入先であるインポーターは大谷石の巨大なセラーに、
数年輸入したワインを眠らせておいて、
まったく生まれ変わったワインだと店は力説しています。
フランスの3つ星店のワイン(同じヴィンテージの同じ銘柄)と
比べてもこちらの方が素晴らしい熟成をしていて、
飲んでも頭が痛くならないと言っています。
長距離輸送したワインが復活して、
地元に眠ったままのワインより良くなるといったこれらの説に、
私はおおいに疑問をもちますが、
その真偽は神のみぞ知るところです。
同時に3つ星のワインとこの店のワインを飲み比べる事は、
フランスと日本という遠距離で不可能ですし、
頭が痛くなる、ならないは個人の問題ですから
他人にはわかりません。
ちなみに私は飲みすぎない範囲では、
どんなワインでも頭は痛くなりませんが。
近藤氏も、フレンチの王道、名店と言うのではなく、
昔から変化を嫌ったフレンチ、
しかも店のワインに独特のポリシーをもった店で一飲の価値あり、
といった推奨をしなければ、読者は勘違いしてしまいます。

それから、「トゥーランドット」や「一笑美茶楼」の脇屋氏。
推奨店に身内というか親分の店、「クイーン アリス」や
その鉄人仲間の「ラ ロシェル」を
入れてしまっていいのでしょうか。公平さを欠きます。
しかも、いまどきこの2店を
本気で良いと勧めているのでしょうか。
ちょっと食べこんでいる客層の人は、
もうこの2店には通っていないと思います。
こう言っては何ですが、彼の舌、感性を私は理解できません。
私の調べた限り、この2店を挙げたシェフは他に居ませんでした。