第958回 観光客専門に特化したら、久兵衛 銀座本店 1

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  • 2006年4月20日(木)
同じ銀座でも間違って美登利寿司に来たかと思ってしまいました。
超有名・高額すし店だというのに、
昼の開店前、つまり11:30前にすでに行列が出来ているのです。
しかもほとんどの客はフリではなく予約客。
この繁盛ぶりには驚きました。
他の銀座の高額鮨屋では絶対に見られないこの光景。
通りがかりの人からは、
バーゲンセールか人気ラーメン店の行列かと勘違いされそうですが、
この行列が
かえって店から高級感を奪ってしまっているという現実を、
経営者は認識できていないようです。

アプローチでは香を炊くなど高級感を出す努力をしていますが、
如何せん客層が問題です。
私は未だに田崎真珠と提携しているとは思わなかった。
田崎真珠はいまなお上得意先に
久兵衛ツアーの募集をかけているようです。
都内観光をしてから簡単な昼食をとり、
最後に田崎真珠の店へつれていく
ツアーとは別物の催しだとは思いますが、
一応天下に知られた有名鮨屋の「久兵衛」。
ここまで形振り構わず集客のための営業努力が必要なのでしょうか。
私は、はとバスなど観光会社と提携して団体客を誘致している
西麻布の「香港ガーデン」と変わらないではないかと考えます。
店先にあった予約表にも堂々と「田崎真珠様」と明記されており、
団体客は4階へ流れ込んでいきました。

予約なしで飛び込んだ私は、
2階の掘り炬燵式のカウンター席に通されました。
オープンして時間がたっていないのに、
15名を正に鮨詰めのごとく座らせすぐ満席となりました。
周りは団体客ではありませんでしたが、
あらかじめ予約していた客がほとんどのようです。
都内に限らず地方のホテルにまで多店舗展開している鮨屋。
最近は、銀座に
仕込み専門のセントラルキッチンを設けたとの噂も聞きました。
こんな大量生産式で江戸前鮨と胸張ることができるのでしょうか。
観光地の店に見られる客層が主体で、
いわゆる鮨通にはあまり話題にされていない理由は、
入った瞬間からわかりました。

<明日につづく>