第871回 ようこそ!J.C.オカザワさん 1J.C.オカザワさんから「神田笹鮨」へ

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  • 2006年1月23日(月)
私の予想は五分五分でした。
ご挨拶のメールを1通いただきましたが、
あとは自己弁護とネット上での論争を避けたいとの主張を
一方的に発表されただけで幕引きされた
「さとなお」さんの事例があっただけに、
J.C.オカザワ氏から私の問題提起に対して
お返事や反論をいただけるかどうか。
店宣伝に徹するポリシーなき素人副業ライターとは
一味違った方だとは思っておりましたが、
肩透かしにあうのは覚悟の上でありました。
ところが昨年暮れ、事務局の担当の方から、
オカザワ氏からメールが届いていると聞きまして、
驚いたと同時に嬉しく感じたのです。
今をときめく有名人に相手にしてもらった
「素直な喜び」でありました。

メールは超長文。シリーズ化した私の問題定義(言い掛かり)に
真摯にお答えいただきました。
律儀で物事から「逃げない」潔い性格の方なのでしょう。
友里に対する「ふしあな」問題定義などもありまして、
私へのネガティヴなご意見もいただき、
同じく逃げない主義の友里といたしまして、
ご本人の了解を得ましたので、
シリーズ化して公開させていただくことにしました。
(コラムのネタに当分困らず、感謝です)

まずは、「神田笹鮨」の主人に対する反論から。
オカザワ氏のメールは「行変え」を除いて
そのまま掲載させていただきます。
今度は「笹鮨」主人の次の反応を見てみたいものです。
お知り合いの方がいらっしゃいましたら、
このマイナーなコラムを先方へお伝えくだされば幸いです。
その前にちょっと弁解ですが、私は
B級や廉価な食べ物をさげすむ気持ちは持っていないつもりです。
一般客のハレの日の店であるべき高額店が
あまりに玉石混交というか、その多くの石である店を、
自分の「原稿料稼ぎ」や「自己顕示欲」のため「ベタ褒め」して
読者を惑わす自称料理評論家、
フード・レストランジャーナリストたち、
そして素人副業ライターを駆逐したいがため、
無理して高い店に飛び込んでいるだけであります。
そしてB級はB級を担当されている方、
詳しい方に任せる方針で私は取り上げないだけです。
費用対効果を重視していますので、廉価な店は、価格なりの味、
それなりの食材しか扱えないので、
友里としてのハードルを下げているだけですが、
文脈にそのような「さげすみ」を感じさせていたとしたら
私も反省しなければなりません。
ただ、昼の2千円前後のスシで、
オカザワ氏は夜に出す本鮪を期待しないと言われているのに、
なぜ「本山葵」だけに厳しいのか。
「本山葵」はたいした価格でないと言われますが、
何でも生なら良いというものでもないと思います。
よく、やせ細ったような小さな山葵をだして
客にすらせるパフォーマンスをする蕎麦屋がありますが、
あんな山葵、口に入れられたものではありません。
しかも根本ばっかりで。
高額鮨屋の太い立派な山葵はそれなりに高いはず。
本鮪はおろか、ミナミ鮪を飛び越えて、
キハダやメバチを扱うような廉価なスシ屋にまで、
本山葵を要求するという事は、
ビストロの「ラミティエ」にトリュフやキャビア、
軽自動車にセルシオ並の静粛性、
ビジネスホテルにバスタブのほかシャワーブース、
友里に格調高い文章力を要求するようなもので、
元々無理というものです。
でも、昼に私が1万3千円以上請求された事に対する
オカザワ氏のコメントはありませんでした。
もしかして、主人は私をオカザワ氏と間違えて
高額請求にしたのかもしれないと今気づいた次第です。

ではオカザワ氏のメールです。


第850回・・その6 に対して

ご期待に応えて登場つかまつりました。
 最初に「ドクロ本」で紹介した
「神田笹鮨」の巻頭でメンションした一節「人のいい店主」
――これをまず訂正。
HPの“独りごち”を拝見して、全く逆の性格であったことを確信、
自分の人を見る目の甘さを痛感した次第。
「J.C.よ!お前もまだまだだな!」。
友里さんの「2千円のチラシにケチ」云々。
何も夜と同じように本まぐろを使えと言っているワケじゃなし、
小肌や穴子でそれなりの水準はクリアしてもらいたい。
まともなすし屋は昼に手を抜いたりしないもんですよ。
以前から気になっていたのですが、
友里さんは昼のすしや天丼など、
B級というか廉価な食べ物をさげすむ傾向がありますね。
アナタの2千円と庶民の2千円とは雲泥の差、
高価な店ばかりを紹介されていますが、
都内の高級フレンチや京都祇園の割烹など、
一般市民はハレの日にしか行けないところ、
そこに思いをいたさないのは、富める者の驕りです。

さて、「笹鮨」。店主は、中ちらしに煮いかとたこは混在させない。
創業以来、平目を昆布〆にしたことはないと言い切っていますが、
いか・たこについては、針千本飲~ます!
時は1998年3月3日正午、金2100円也(消費税込み)の
中ちらしを食するオカザワの姿を笹鮨のつけ台に見ることができた。
間違いなくするめいかとたこは確認した。
デスク・ダイアリーには7種類入った魚介すべての評価が
それぞれに記されている。
いかは固くて風味に乏しい。たこも固くてシゴトに疑問。
痩せても枯れてもこのオカザワ、
食べていないものの批評をいたしたことは
過去において1度もござらぬ。
平目は見たところ、少しく透明感が出て、うっすらとベッコウ色、
一目見てテッキリ昆布〆だと思った。
店主がしたことないというなら、それは尊重しよう。
だけどそれなら鮮度がオチたための色変わりに相違ない。
酢めしと一緒に口に運んで、生の平目とは気付かなかった。
軽く脱水もしていたし。
それにこの時、むやみに客に話しかけない店主が、
初見参のワタシにニッコリと
「えぼ鯛は今が1年で一番旨い時期ですよ」
と一声掛けてくださった。
He was not too bad when he was young.
「結局何が当店に対して不満だったかというのは、
常連様の多い当店において、
ほとんど一見の立場である作者が主人に相手にされなかったことが
モーレツに寂しくてつまらなかったようです。」

――語るにオチるとはこのことです。
ここの主人はほとんど一見の立場である客は相手にしないと
自分で告白しているじゃないですか!
カウンターの真ん中に座っている場合、
その両側にいる客同士に
アタマ越しの会話を続けられてごらんなさい。
粋な主人なら
もうちょっと大事な常連さんをエデュケートしていただかないと。
小皿に醤油をドボドボ注ぐのは無粋極まると客を非難する主人なら、
ほかの客の迷惑を顧みない常連の無粋も指摘してほしい。
もっともこれは無粋というより、
マナー及びエチケットの問題ですな。
モーレツ云々も実のところワタシは
「モーレツにうるさくて迷惑だった」んですよ。
くれぐれもカン違いなさらぬように。

今後もこのシリーズは続きます。