第557回 料理評論家、フード・レストランジャーナリストへの質問状その9老舗、大店、高額店をなぜ扱わないのか
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- 2005年2月17日(木)
山本益博氏と犬養裕美子氏に関しては、
いくらでも突っ込むネタに困らないのですが、
今日はまた違った角度から見てみました。
彼らが取り上げている、
つまり雑誌や週刊誌で「宣伝」している料理店には
一つの傾向があるようです。
取り上げている店がみな新しい、
または前からあったとしても埋もれている店、
そして規模の小さな店がほとんどなのです。
大店、老舗の有名店がほとんどありません。
山本益博氏は、個人的な関係というか、
実は料理人の名を借りて自分を権威付けしたいがために、
「次郎」や「ロブション」、「みかわ」、
「エルブジ」、「竹やぶ」などの有名店を定期的に扱っており、
その時期話題の「ベージュ」なども挙げることはありますが、
主体はやはり新興勢力か埋もれた店。
犬養女史に至っては、
ここ10数年のブームで有名になって
マスコミうけしたシェフの店
(しかし中価格帯の比較的新しい店)の他は、
高額店も含めて大店、老舗を取り上げていた記事を
みたことがありません。
新興の「ナリサワ」を最大評価するまえに、
一世を風靡して今尚存在している
「アピシウス」、「レカン」などが今後も生き残れるか、
といった単なる「店の宣伝」ではない、
この業界の趨勢や今後を述べることが
「レストラン・ジャーナリスト」と自称している人の
急務ではないかと考えます。
和食系でも、「京味」などの老舗、
首相が良く使う料亭系なども皆無。
「東京最高のレストラン」時代、
わずかに「和幸」に触れていたかもしれない
といった記憶しかありません。
ではなぜ、
本来料理をシビアに評価するべき「料理評論家」や
レストランをジャーナリスティックに取材するべき
「レストラン・ジャーナリスト」が、
このような昔から権威ある大店、老舗、高額店、
ホテル内の店などを積極的に取り上げないのでしょうか。
犬養さんはあまり高級店や高級和食が得意ではないようですが、
それが主因ではないでしょう。
あくまで私の推測ですが、
これら現在でもある程度名や地位を確保して
それなりの常連客がいて営業的に安定している店は、
マスヒロさんや犬養さんを
必要としていないからではないかと思うのです。
彼らの雑誌や週刊誌での宣伝効果を期待しない。
そのために彼らに「媚び諂う」ことをしないからではないかと。
彼らにヨイショされると逆にイメージダウンする、
とも考えているかもしれません。
店側が積極的でないですから当然コンサル契約もしないでしょう。
店側からもアプローチしない、
彼らもそんな店を紹介してもなんらメリットはない、
店に行っても大事にしてくれない、ということで、
彼らを宣伝屋として考えている、
より多くの集客を望んでいる新興の店、
有名店や老舗から独立してしまった料理人個人の店を
取材の対象にしていると考えます。
これらの店と彼らは、いわば相思相愛、利害が一致しますから、
店側からの下にも置かない対応に居心地のよさを感じるのでしょう。
自分を必要としている場所、
フィールドしか相手にしないという姿勢で、
「評論家」、「ジャーナリスト」と言えるのでしょうか。
店から要望されて取材するというのではなく、
店から嫌がられても読者に真実を伝えてこそ、
その「肩書き」を自称することができると考えます。