第54回 和食屋はなぜコースの種類を減らすのだ
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- 2003年7月11日(金)
開店当初は「松竹梅の法則」のように
3種のコースをとっている店が多いようです。
でも、ちょっと人気が出てくると
一番安いコースをやめる店が出てくるのです。
これは和食屋の特徴でして、フレンチ、イタリアンでは
あまり見かけません。「キノシタ」が移転時に値上げをし、
コース内容を変えたことはありましたが。
神楽坂の「小室」。
人気店ですが、昔は8000円からコースがありました。
CPが良いと、この価格設定で当初は人気がでたはずなのですが、
いつの間にか1万2000円からと安いコースを削除しています。
「麻布 かどわき」はもっとひどい。メニューには1万円、
1万2000円、1万5000円と3種載っているのに、女性スタッフは、
1万2000円以上のコースしかないと言い張ります。
そして「幸村」。
1万2000円のコースを削除して、1万5000円1本に
絞ったのですが、その言い訳に笑わせられました。
「2種のコースがあると、安いコースを頼まれたお客が
肩身の狭い思いをされ混乱する。客からの要望でやめた」
なんで、幸村の客だけ安いほうを頼んで
肩身の狭い思いをするのでしょうか。
他の和食屋でもコースは減らしても
数種設定しているのが普通ですし、
幸村氏出身の「室町 和久傳」はちゃんと3コースあります。
「幸村」へ来る客は鰻屋でも
松竹梅あるところでは頼めなくなります。
どうして本当の事を彼らは言わないのでしょうか。
「コースがいくつもあると
食材の歩留まりの問題や手間がかかって面倒だ。
おかげさまで人気が出てきて満席状態が続いているから、
安いコースをなくしても、客の入りには影響がないだろう。
手間が省けて、売上げもアップ。
一石二鳥なので、コースを一つ減らしました。」
これが真相です。
客が混乱するなら、高いコースを減らして
安いコース1種にする選択肢もあったはずです。
和食の料理人というのは、カード嫌いといい、
お金に非常にシビアな人が多いのかもしれません。