第328回 フードライター特集番組 1シェフが店を代弁してくれている、と発言している

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  • 2004年6月7日(月)
5月のはじめだったでしょうか、
あるTV局でフードライターの仕事を題材にした
クイズ番組のようなものが放送されていました。
バラエティー番組ですから、
多少脚色しているのかもしれませんが、
その録画を家で何回も見ていると、
私はむなしい気分になりました。

新人、中堅、ベテランの
フードライターの仕事振りを紹介しているのですが、
恥じらいもなく料理人との友好関係を自慢している様子は、
この業界の胡散臭さを示すというより、
業界自体の品格を含めた
レベルの低さを自ら開示したようなものでした。
私友里は1年余り、
このようなレベルを相手に、端から見ると口角泡を飛ばす勢いで、
一人いきまいていたと言うことです。

自分自身のレベルも低いと言うことかもしれませんが、
すすめてきた以上なかなか引き下がるわけにはいきません。
皆様からも、この番組を見られて、
業界ぐるみの「なあなあ」、「癒着」といった
互助会的な関係を感じ取ったといった
メールをいただいておりますが、
いくつか気づいた点を数回にわけて述べてみたいと思います。

このコラムにも時々登場いただく、北條芽以さん。
中堅ライターとして、
仕事が次から次へと舞い込むと紹介されていましたが、
「東京最高のレストラン」に最初登場された時は、
大食B級専門ライターとの紹介で、コメントは
素人とたいして変わらない発言が多かったと記憶しています。

ベットラの落合シェフは、
彼女をTVでこう褒め称えておりました。
親しそうに
「書く文章にセンスを感じる。
言った以上に噛み砕いて説明してくれる」と。
シェフ自らスポークスマンとして有能なのでありがたい、
重宝していると言っているのです。
ヒロこと山田シェフも、
「おいしい物を食べているからギャフンと言わせたい」
と発言しておりました。
ということはやはり「特別料理」。
彼女らだけではなく、一般客の方を
ギャフンといわせる料理を提供したいという言葉を期待するのは、
舞い上がってしまった彼らにはもう無理なのでしょうか。

フードライターだかフードジャーナリストの資質は、
材料、シェフの思い、調理法を
的確に表現することだとも紹介されていましたから、
料理人、料理店のまったくの御用ライターであることを、
TV出演で自ら証明しているようなものです。

我々一般客を主体とする視聴者がレベルアップというか、
このような馴れ合いを厳しく指摘することをしていかなければ、
これからも彼ら料理人とライターの出来レースに、
我々一般客、一般読者、一般視聴者は
踊らされ続けることになるでしょう。