第317回 あの店は今・・・ ラミティエ
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- 2004年5月27日(木)
褒めた店を思い出すのは難しいものです。(笑)
そんな数少ない店の中で、
私はこのコラムの連載初期、確か第5回で
高田馬場の「ラミティエ」を取り上げました。
消費税を含めた総額表示の時代ではありませんでしたが、
前菜とメインの2皿で2千円。
ポーションも大きく、味もビストロ風にしっかり。
ワインも安いものが多くCPの代表選手と紹介しました。
日頃読者の方からメールをいただくことが多いのですが、
フレンチ同業者の方からご指摘を受けたことがあります。
このラミティエのシェフは、
原価率を5割近くに上げていると公言している。
普通の店では考えられないことで、
そのようなアンフェアな店を取り上げるのはいかがなものか、
というものです。
利益をいくら乗せるか、損してでも営業を続けるのかは
経営者の自由です。
まして一般客の立場でしか考えていない友里としては、
結果CPが良ければフェアもアンフェアもない、
料理人と親しくなっているような
料理評論家、フード・レストランジャーナリストのほうが
読者に対してフェアではないというのが私の考えです。
ところが最近、山本益博氏がある雑誌でこのシェフに、
「そろそろ無理せず値上げをしたらどうか」と提案したと
自慢しておりました。
一般客が主体の購買層であるこの雑誌で、
店側に軸足を置いた発言、シェフに恩を売りたいのか、
彼の発言の真意は私の常識の範囲を越えていますが、
その後価格や料理、営業方針に変化がでてしまったか、
久しぶりに再訪しました。
夜の2回転営業に変りはありませんでしたが、
7時半まえに訪れても入店できました。
以前より混み合ってはいないようです。
相変わらず座りにくい椅子に、紙クロスのテーブル、
荷物は各個人の足元かソファと
そのサービスや内装にかわりはなく、
料理も2100円(消費税含入)のまま。
前菜、メインと選べる種類は11種で
かえって増えたように感じます。
選択肢が増えオーダーに迷っている時、
隣客へ運ばれてくる料理を見て
この店の営業方針に変更がない事を確認しました。
お皿にふんだんに盛られた付け合せの野菜、
主役の料理もかなりのポーションです。
計量したわけではないですが、
以前よりも量がふえているのではないでしょうか。
ただし主にメインですが、追加料金の設定が何種かありました。
以前にはなかった骨付き仔羊のロースト(+735円)は
量、火加減、塩、充分満足するでしょう。
前菜の兎のパテもそのポーションに驚きました。
先日食べた「サン パウ」の10分の1の価格でこの満足感。
しかし味がしっかりしていますから、
「サン パウ」に行くなら
「ラミティエ」へ10回行けとは申しません。
ワインも安い。
ノンヴィンシャンパーニュのゴッセが5040円。
仕入れ値に利益はのっていますが、
普通の店ではちょっと考えられません。
スティルワインも安い。
3千円くらいから5千円強。
若いですがボルドーの格付けもカバーしています。
南西地方のワインなど3150円。
この銘柄は倍で出している店も良く見かけます。
ますますワインが安くなったような気がしました。
量も充分、ワインも適度に飲んで4千円、
追加を払って高いワインを一人で1本飲んでも
8千円にしかならないでしょう。