第246回 ある週刊誌への取材回答 その7今後もレストラン批評を続けて行くか、実名で活動する予定はあるか

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  • 2004年3月17日(水)
・今後もレストラン批評は各媒体で続けていくご予定でしょうか。
 また、実名、顔出しで活動されるご予定はございますか。

<回答>
「実名取材」による「特別料理」を「特別待遇」で食べるのは、
一般読者のためではないと私は主張しています。
ですから、私側から実名、顔を晒すという事はいたしません。
レストラン批評は依頼元があって初めてできます。
私はあくまで一般人ですから、
出版社、新聞、雑誌、週刊誌などから依頼がないと、
著者、コラムニストとしての活動ができません。
私が続ける意思を持っていても、
ニーズがなければどうしようもありません。
また、この業界で長く生きていく為には、
私のようなスタイルは無理でしょう。
この分野では、店や料理人に迎合していかないと難しいと考えます。
マスコミも今は物珍しいということで
貴誌をはじめ注目していますが、
評価本などはやはりヨイショ、持て囃し論調の方が
やりやすいのではないでしょうか。

ただし、今まで料理人に対して
不自然に賞賛一辺倒だったレストラン評論が、
今後、一般客に少しでも軸足を移したものになってもらいたいとは
思っております。
全国版を出してくれ、との要望もありますが
今の私の立場では不可能です。
今までと違った切り口の評価本、ガイド本が他にも出てくれば、
一般読者、一般客にとって利益になることだと思います。
外食好きの私もぜひ、
参考にさせていただきたいと考えております。

私は今までの料理評論家、フードジャーナリスト、料理店を
全否定しているのではありません。
いつの間にか、一般読者・一般客を主体に考えなくなり、
料理人やジャーナリストにスポットを浴びせすぎてしまったことに
問題提起しているのです。
繰り返しますが、料理評価本では、
「あれ食べた、これ食べた、うまい料理造ってもらった、
これだけ料理人と親しい、こんなに人脈がある」
なんていう自慢話は、
まったく一般読者・一般客には必要がないことと考えます。