第200回 フグ専門店は価格と店構えがミスマッチ

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  • 2004年1月31日(土)
またまたフグ屋の話になります。旬ですからね。
フグ専門店は私の少ない経験則ですが、
家族経営で店の規模も小さく
派手ではないものが多いと思います。
良い悪いは別にして、
「小やなぎ」、「さくらだ」、「福治」、「味満ん」など
その客単価の割に店の造作が不釣合いなのはなぜでしょうか。

この4店では一番安いと思われる「小やなぎ」でも、
客単価は白子を食べると2万円弱。
和食店でこの価格なら、
かなり手をかけた造作にしないと
客は入らないのではないでしょうか。
最高額と思われる「味満ん」。
一人5万円前後と思いますが、
この料亭並みの価格の割に場末の小料理屋の雰囲気。
いくら「高台寺和久傳」の料理をそのまま出したとしても、
「味満ん」の店だったら客は続かないのではないでしょうか。
高級、高額店には料理もさることながら
店構え、雰囲気、器なども良いものを要求されるはずなのですが、
なぜにフグ屋に世間はこれほど寛容なのか、
私はまことに不思議でなりません。

銀座の高級料理屋、高額割烹店は綺麗で、
ある程度お金をかけた内装になっているはずです。
つまり、フグは場末の小料理屋の雰囲気でないと
おいしく感じない食材ではないのです。

店構えなど関係なく、
フグそのものだけで満足する常連が多いからでしょうが、
それほど上質のフグを
東京で入手するのは難しいことなのでしょうか。

多少の捌きの技術はあるでしょうが、
高級フグは「マル」ではなく
解体した「ミガキ」で仕入れているはずです。
素材さえ良いものを入手できるならば、
店に投資することなく家族だけで
一日かなりの売り上げを上げることができる料理だと
思うのですが、
この高額天然フグを
追随する料理人があまりいないのが不思議です。