第195回 あの店は今・・・ その1アッカ
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- 2004年1月26日(月)
私は最近昔から行っている店を訪れる余裕がなくなりました。
ましてや好きではない店へリピートするのは
時間と資金の無駄と控えていたのですが、
拙著で巷の評価本やフード・レストランジャーナリストと
かなり違った評価をした店(世間では辛口と言われています)の
再評価といった企画をグラフ社と考え、昨年実行しました。
人づてにこれらの店の料理人は
かなり怒っているとも聞いたことがありますが、
ヨイショしか耳にしていなかったので
シビアな指摘に免疫がなかったのでしょう。
かなり危険を伴う可能性もあるかと予想しましたが
なんとか切り抜けました。今回はまず「アッカ」です。
「サービススタッフが入れ替わっただけで、
こんなに店の印象がかわるものなのか。」
私が以前、サービス料をとる店ではない、と
バッサリ斬ったこの店に最近再訪した時の感想です。
まず予約からして変わっておりました。
店側に仕切られず、
自由な入店時刻を指定できるようになりました。
新しいスタッフは当然ではありますが、
笑顔をもって客を出迎え席に案内します。
着席の際、テーブルを引くなどの
アシストもするようになりました。
出足から不快になった以前のスタッフとはまったく違います。
ただし料理の設定は林シェフが握っているからか、
まだまだ客本意とはいえません。
評判の良い「仔羊のスティンコ」、
「イベリコ豚のロースト」、「鳩のロースト」は
2組目の入店でしたが既に予約で売り切れとのこと。
後は「本日の煮込み」や「仔羊のカツレツ」くらいしか
選択肢がありません。
食材の仕入れのこともあるのでしょうが、
魅力的にみえる料理が最初から売り切れならば
メニューに載せるのはおかしい。
予約で先に注文をとる事を開示していないのも不親切です。
予約時に連絡先を伝えているのですから、
売切れたら通達する親切心が必要だと思います。
このウリの3種が食べられないなら
訪問を取りやめる客が居るかもしれないからです。
そしてポルチーニ。
パスタのところでは「フレッシュポルチーニ」が
載っているのですが、本日は用意していなくて
プラス3千円での白トリュフを使ったものになるとのこと。
本当にポルチーニが品切れなら諦めも付きます。
しかし、前菜で、「鮑とポルチーニの煮込み」で
きっちりフレッシュのポルチーニが入っているのです。
こちらもプラス1000円のもの。
鮑の数が限られているので
テーブル毎に一人分までとのことでしたが、
ポルチーニの仕入れ量のことはいいません。
ここに、ポルチーニはあるのだが、
仕入れてしまった白トリュフをはやく消費して
売上げを伸ばしたい、といった
シェフの狙いが透けて見えてしまうのです。
林家へは、客に対する考え方、
サービス精神の更なる再考を願うばかりです。
評判の悪かったスタッフ、シェフの兄弟ですが、
今はこの店には居らず、外へ出ているとのこと。
サービスというものを学びに修業にでているのでしょうか。
早晩復帰してきて、
交代してしまうことのないことを祈るばかりです。
最後にシェフの母親です。
以前はメニュー配りとエスプレッソくらいしか
担当していなかったのですが、
こまめに料理の配膳をし、パンを配るなど
精力的にホールを動き回っておりました。
私はフードジャーナリスト達に言いたい。
店は褒めてばかりいても良くはならない、
言うべき事は言い、書かなければ、と。