第118回 料理評論家、フードジャーナリストの習性・実態 その11文句を言っても駄目、温かい目で見守る、育てることが必要なのか
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- 2003年9月13日(土)
「取り上げている店のほとんどが行ってわるい店のようだが、
行っていい店はあるのか」という内容のお便りをいただきました。
確かに、「またやられてしまった」とか
「おいしい部類だがCPはイマイチ」と
すべて褒めている店はありません。
巷では、損得勘定と文句ばっかり、といった
反友里側の批判もあると聞いたこともあります。
以前にも述べましたが、
よくフードジャーナリストなどから、
「店に文句を言っても駄目。
温かく見守り、育てていかなければならない」
という言葉を聞くことがあります。
でも、必要以上の利益追求のため
食材費比率を下げサービスを落とす、
回転率を上げるため客を追い出す、
派手な人脈形成やイベント参加で厨房に立たない、
おだてられ勘違いして客に倣岸不遜な態度を取り続ける、
といったこのような料理人を
温かく見守ってどうなるのでしょうか。
ますます増長して
一般客に不利益になる方向へ突っ走ってしまうではないですか。
彼らは子供ではありません。
年齢的にも性格が出来上がってしまっていますから、
黙ってみていても修正されることはないでしょう。
一般客が、誰かが、問題提起しなければ、
料理人は気づかないと私は思います。
いや、問題提起しても、
言いがかりだ、自分を店を批判することは許せん、と
反省しないで怒るだけの料理人が多いのは、
今回拙著の出版で証明されました。
損得勘定のコメントが多いのも、
私は自腹で食べる一般客の立場で考えているので、
シビアになるのは致し方ないと考えます。
取材費を使えるフードジャーナリストや
接待費で食べている方たちは、自腹を切る痛みがありません。
費用対効果にルーズになってしまうのは当然と考えます。
でも、限られた機会しか外食しない一般客は、
この損得勘定にもっとシビアになっても良いと私は考えます。
なにも原価をみて元をとった、とか
食べ放題で腹一杯詰め込むような考えではありません。
料理、雰囲気、サービスなどのトータルの食後感が
支払額に相当するか、満足するかを考えるのは当然と思います。
拙著で避けるべき店の条件として、10項目を挙げましたが
ここにもう一つ加えるものを思いつきました。
「フードジャーナリストや接待族の多い店」です。
自腹の痛みの少ない人たちは、コストにシビアではありません。
見た目の派手さ、パフォーマンスなどに目を奪われがちですし、
文句をいうことがないでしょうから、
店へはまったく客のフィードバックがかからない、と
考えていいでしょう。
こういう店は、改善されないと考えます。