食べ足りない時の立ち寄り限定、ほな あざぶ

雑誌やTVで紹介されていたダイニング風鉄板焼屋であります。正式には「HONA azabu」と英文字ですが、大阪弁の「ほな行こか」からとったとわかる大阪テイストのお店。大阪の既存店からの東京進出ではなく、何とこの東京店が初めての店だとか。大阪からぶっつけ本番で激戦地の西麻布出店という度胸に驚きました。
トマトを使ったお好み焼きがこの店の一番のウリ。鉄板焼が好きではない友里は訪問を躊躇していたのですが、近辺での会食で満腹にならなかったので一人入店したのが昨年12月、年末の稼ぎ時なのに客が少なかったのが意外でした。
まずはウリの「王様トマトお好み焼き」(1480円)をオーダー。中身の具を2種選べるシステムでおススメの烏賊とアスパラをチョイスしました。生トマトの酸味とソース、キャベツが混ざった濃厚な味付けは、面白いですが沢山は食べられません。この1品のつもりが、つい探究心が出てきて追加をしてしまいました。
牛土手焼き(680円)はB級的な化学系の調味料を否定できない味濃いものですがまずまず。J.C.オカザワなら泣いて喜ぶ一品です。キャベツ盛り(380円)はマヨネーズと辛味噌を混ぜて食べるもの。変わったお味でありました。ちょっと腹の足しと寄っただけでしたが支払いが5000円弱は食べ過ぎか。
2回目の訪問は、ミシュラン1つ星の鰺フライ屋「田はら」の帰り。高くて何ら傑出していない鰺フライなどの口直しに連れと二人での立ち寄りです。お好み焼きの他に、新作というオデンを食べての支払いがこれまた6000円ほどと今回はあまり売上に貢献しない取材となりました。
お好み焼きをウリにしていますが、あくまで主体は鉄板焼のはず。魚介や野菜の鉄板焼のほか、近江牛ロースが100グラム3800円、ヒレが4500円で用意されています。シャンパンはドンペリなど高級品も置いてあるので接待族もターゲットなのか。5000円コースにはトマトお好み焼きや牛ロースが入っていますから、若い人の合コンや宴会の利用には便利であると考えます。
店のキャパの割に男女スタッフの数が多く、総じて皆愛想が良い。私の年齢では濃すぎる味付けでありますが、小腹がすいたとき、帰宅前の立ち寄り限定としての紹介です。

有名俳優も通っている人気店、忠弥

平日でも15時半オープン前に行列が出来るという祐天寺の焼きトン屋「忠弥」。数時間で売り切れ終い、しかもオープンして瞬く間に売り切れタネが続出するという超人気店であります。あのJ.C.オカザワが絶賛していたので興味を持ち、友里は今年初めの15時前に店前に到着しました。
さすがにこの時刻では一番乗りでしたが、すぐさま千葉から来たという女性が続いたのです。今日が2回目の訪問とのことでしたが、「この間来た時トヨエツ(豊川悦司)が食べていた」との話しに、あらためてこの店の人気を確認したのです。
オープン10分前くらいでしょうか、その千葉の女性の「トヨエツだ」との叫びに後ろを振り返ると、20人は並んでいる行列の最後尾になんと本物の「トヨエツ」が並んでいるではありませんか。平日、しかも月曜ですよ。自分を棚に上げて言えば、なんと暇な俳優ではないですか。
オープンと同時に客が流れ込みあっという間にキャパ30人ほどの店内は満席です。注文をメモ用紙に書いて手渡すシステムはスタッフ数に制約がある店では仕方ないでしょう。
この店の特徴を一言でいえば「化学調味料かけ過ぎ」。付き出しのキャベツの浅漬けに始まって、ほとんどの客が頼む煮込み、そしてメインの各種焼きトンにおしんこと容赦なくMSGが投入されているのです。その量が半端ではありません。
オカザワの連れの料亭若旦那も常連のこの店の煮込み、塩味なのでどう内臓の臭みを取っているのかと興味がありましたが、MSGだとは思いませんでした。ハラミ、つくね、ハツ、タン、しびれ、ひも、と続いた焼きトンも、数本で部位の違いわからなくなる単調な味わいに焼き場の主人を見たら、2種の白い粉を堂々と振りかけているではないですか。塩と味の素かけ過ぎです。おしんこにもせっせと振りかけておりました。ネットで評判の生ピーマンも、単に塩と味の素をかけているだけですから家でも簡単に食べられます。
廉価な店(客単価2000?4000円)なので、化学調味料の使用は否定しませんが、それにしてもこれは使い過ぎ。素材の本当の味がわかないではないか。オカザワとトヨエツに私は忠告したい。この店への訪問を人に悟られてはいけません。自分の舌を疑われます。

味も雰囲気もディープな鉄板焼、きだんち

店名は主人の名字からとったとのこと。西麻布のテレ朝通りのこのお店、整備工場の2階なのですが階段入口が狭くわかりづらくて、再訪時も見落として行き過ぎてしまいました。カウンターは6席ほど、あとはテーブル2卓の小さなキャパの店内は、当日予約が主体のようですがいつも満席となっています。
サラダやキムチを除いて料理は鉄板焼が主体です。
前菜の位置づけでほとんどの客が頼む「海鮮盛合せ」、価格がはっきりわかりませんが、マグロ頬肉、ホタテ、イカ、穴子、蛤など盛り沢山。バターを多用した鉄板焼ですので、かなり味が濃い。スターターとしてはちょっとディープ過ぎるのではないか。アラカルト注文の客だとその後の料理がきつく感じることでしょう。
鉄板焼のメインの肉料理は、A5ランクの和牛がロース、ヒレと50グラム2000円前後で用意されています。値付けはまずまずリーズナブル。ただしここまでランクの高いサシの入った肉が鉄板焼に必要かどうか、個人的には疑問であります。
驚いたのは「コロコロステーキ」(3200円)。柔らかすぎて食べにくい豆腐も付き、焼き物の野菜も半端な量ではありません。これを頼むならサラダは不要です。安く上げたいならば肉をスルーしてお好み焼きへ逃げてください。そして最後の〆は牛スジカレーです。最近は和食屋でも出てくるカレーですが、私的にはこれが一番美味しかった。
主人は外観と違って人当たりの柔らかい人。ポーションなどの注文にも柔軟に応えてくれて居心地も悪くないのですが、解決していただきたい点がいくつかあります。
まず、換気が悪い。鉄板が客に近すぎるからか、席によっては蒸気をモロにかぶることになります。また、主人の両手の指輪、食材を素手でつかむ料理人ですから、衛生面からも調理時にはずしてもらいたい。全体に味付けが濃すぎるので、日本酒や焼酎ではなくワインしか合わないのではないか。そのワインは4000円前後から用意されていますから、まずまず良心的であると考えます。2名以上から頼めるコース(5000円ほど)ではなく、アラカルトだと1万円近くかかりますから一人客は注意が必要です。
濃い味好きで山本益博氏やJ.C.オカザワと嗜好の合う方に強くおススメする店です。