メイン

2008年03月15日

どこに3つ星の面影があるのか、プルセル

広尾にあった「カフェ・デ・プレ」の後に同じくひらまつグループとしてリニューアル後オープンしたのが「カフェ&ビストロ・デ・フレール・プルセル」。当初HPによると「南フランス・モンペリエの双子の三ツ星シェフ、ジャック&ローラン・プルセル兄弟と、今年1月にフランス・リヨンで行われた美食のワールドカップ『ボキューズ・ドール国際料理コンクール』で日本人シェフとして初めて入賞した長谷川幸太郎によるカフェ&ビストロ」と紹介されていましたが、この双子の店、すでに3つ星ではなくなっていたはず。天下のひらまつグループも派手に間違えたものです。
ビストロになっても内装などはほとんど変化なし。カフェ時代と同じクロックムッシュ(1500円)やサンド(1300円)も出していますから、どこが変わったかわかりにくいのです。
カフェ料理とは別仕立てのビストロメニュー、コースは2800円、単品は前菜1500円から2000円、肉料理は2500から3800円までとこの店構えでは高過ぎ。
シェフの生まれ故郷から名付けたセート風サラダ(1700円)は、ムール貝やアンチョビが入ったもの。ニンニクチップがアクセントで高いけどまずまず。ニース風サラダ(1300円)は、茹で玉子、アンチョビ、オリーブをからめた葉物の下にマッシュを敷いていますが野菜の量が少なすぎる。ビストロ料理の定番の和牛のタルタル、驚いたことに型押で成型されています。黄身も乗せていて、これではユッケではないか。量も少なく香辛料が効いていないボケた味でした。これも3800円と高過ぎる。
その他、地鶏のロティ(2800)、仔羊のプロシェットグリル(3600円)、
シャラン産鴨のロティ (3800円)もビストロ価格というよりフレンチ価格といえる値付け。ユッケ、もとい、タルタルステーキで懲りたので、再訪してもこれらビストロ料理は頼んでおりません。至近距離にある「ビストロ・ド・ラ・シテ」で代用すれば充分です。
グラスワインもへたり気味でイマイチ。ひらまつの株主優待は1階で使えない(地下は可)というシステムにも納得いかず、わざわざビストロにリニューアルしたといっても、ワンちゃんの散歩に立ち寄るカフェの位置づけの店レベルと考えた方が無難です。

2008年03月08日

ビストロと自称するには無理がある、マルカッサン

近くの鮨屋で常連が褒めていた「ビストロ マルカッサン」。雑誌でも掲載されていたことを確認し、ビストロとしては最適人数だと思う4名で訪問したのが間違いでした。後にHPで確認すると、この店へ5名以上で訪問する時はシェフの「お任せ」しか選択肢がなくなるとのこと。また7名以上は受け付けないシステムでありました。そして小学校以下の子供の入店も不可だとか。おいおい、この店関係者はフランスのビストロへ行ったことがないのか。こんな敷居の高い「ビストロ」なんて聞いたことがありません。
シェアが前提のシステムは、シェフとマダムの2名だけなので、料理を一皿毎しか造れないからの苦肉の策。同じテーブルで違った前菜やメインを頼んでも、1皿毎しか出せないからシェアさせるしかないわけです。客が多ければますます料理の出は遅くなります。よって4人で行った為、前菜は6種、メインは3種とバラバラになり計9皿をチビチビとシェアする羽目となった次第です。メインはいくらかポーションが大きいとはいえ、前菜は普通盛りですから、4人で分けたら満足できない。ビストロでガツンと食べてお腹一杯になるといった満足感なく、だらだら食べて結果満腹になると言った感じでありました。
豚のリエット(630円)はまったく普通。もう少しスパイシーでも良かったか。国産の無添加生ハムはよく言えば癖がなく、はっきり言えば個性がない。鱒のマリネ(1780円)は質が良かったですが、オレンジオイルの変な甘さに疑問。現在はバジルとトマトのソースになっていますから評判が悪かったのかもしれません。パテ、フォアグラコンフィなども印象が薄かったのですが、メインは悪くはなかった。おススメの豚骨付きロースのグリエ(4000円弱)、量もあり旨みも充分。仔羊スネ肉のスパイス煮込み(3150円)も香辛料が利いていて面白い。蝦夷鹿(3780円)もまずまず。しかし単品価格は店構えやサービスと乖離した高価格ですから当たり前か。
5〜7000円のワインを3本飲んでの支払は一人1万円を突破。メインに美味しい料理がありましたが、ビストロとはサービス、料理、価格と自分のイメージに合わないマルカッサン。ご近所限定の高めの自称ビストロとして紹介します。

2008年02月09日

あの店は今・・・ジョエル・ロブション

出来レースで3つ星になると予想し、発表数日前の再訪でした。訪問時期の公開は正体を特定されるとのご心配は無用です。薄々感じていたのですが、友里はこの店で顔バレしていました。同伴者の予約名で席へ案内される途中、スタッフから、「最近お忙しいですね」と言われたのです。若いソムリエだけではなく店中に知れ渡っているようです。前菜とメイン2皿のアラカルト注文だったのですが、「甘鯛のポワレ」のオマケにはビックリ。これが噂の「特別待遇?」。連れも大変喜んでいましたが、マスヒロさんや来栖けい氏など顔出ししている人には良くある事なのでしょう。でも店に友里の情報を聞き出さないでください。営業で知り得た個人情報は漏洩できないからです。
3万5000円の多皿コース1種だったオープン時と違って、2万2000円のコースといくつかのアラカルトも用意するようになりました。修正はしていますが、経営している宅配ピザ「ピザーラ」で有名な「フォーシーズ」の戦略が私には未だ理解できません。普通食通やフレンチ好きはコースなんて頼みません。旬で好きな食材を大きなポーションで食べたいからアラカルトで頼むものです。慣れていない同伴カップルや経費族、年配客が逃げ込むコースを主体にしているだけで、経営会社のノウハウレベルがわかるというものです。やっつけで用意しただけなのか、アラカルトは前菜6種、メインは魚が3種、肉はハラミ、仔羊、豚バラ肉と3食材でまったく選択肢なし。この時期にジビエがないのになぜ3つ星になれたのか不思議であります。
肝心の料理はというと、ドライアイス使ったパフォーマンスだけのアミューズは余計、フォアグラと鰻のテリーヌ(7500円)は業界人好みの濃厚味だがまずまず、オマール(9500円)はこの価格では美味しくて当たり前、クミンなどスパイスが前面に出た仔羊もまずまず、とオマケの甘鯛が利いたわけではありませんが、料理はCP考えなければまずまずの食後感。そして特筆すべきはパン。アンチョビ、ベーコン、バジルなど種類多く食べ放題。食後のチーズも思ったより安くて美味しかった。アラカルトなのに量が少なく、ワイの値付けも高くCP良くない高額フレンチでありますが、料理に良いものがあるので☆2つです。

2008年02月02日

ワインの値付けだけでなく料理も良くなった、ボン・ピナール

オープン当初に訪問し、破格に安いワインに驚きながらも、料理はそれほどでもなく皿出しが遅すぎて食後感が良くなかった元麻布のフレンチ「ボン・ピナール」。久々に訪問してビックリ、かなり修正されて良い店になっておりました。
とにかくワインが安い。ノンヴィンのシャンパーニュが6800円。平気で1万円超える店もありますから良心的。驚いたのはクリュッグのグランキュベです。なんと1万5800円。これってほとんど小売値か、もしかしたら安いかも。クリスタルも2万200円ですから、高めの店の半値以下であります。スティルワインも半端ではありません。86年のブルゴーニュ1級畑が軽く1万円を切っていましたから信じられません。おそらくワインの値付けは、仕入れ値に数千円の粗利を乗せているだけではないか。よって高額ワインになるほど割安感が増大するわけです。仕入れルートや保存もいいようで、ワインの状態は問題ありません。料理は前菜が1800円前後。肉料理は3000円前後、ジビエは4000円超と普通のフレンチ並、ワインほど安くないのは仕方ないか。
前回はアミューズが出てくるのに40分を要しその前にシャンパーニュ1本を飲み切ってしまいましたが、今回の白レバームース、割とすぐ出てきました。濃厚で美味しい。パートフィローで包んだブーダンノワール、田舎風パテといった前菜ビストロ料理もボリュームがあり美味しい。ちょっと高かったメインの猪ミンチのパイ包みも満足する味わいでした。おいおい、こんなに美味しかったっけ、とその想定外の料理の進歩に我々は驚いたのです。
皿出しも早くはないですがストレス溜まるほどでもなく、4人でビール、グラスシャンパーニュ、ボトルワインを2本頼んで5万円台半ば。たいしたワインも飲まず本数抑えた名古屋の「オーベルジュ ド リル」での一人分に匹敵する支払額でありました。この味、この量、このワインで不満に思う人は居ないのではないか。同伴者も皆再訪したいと言っておりました。「ビストロ ド ラ シテ」のような重めのビストロ料理ではありませんが、トータルの満足感はこちらの方が上かも。近所の人気店「ブルギニオン」にとって、大きな脅威になると考えます。

2008年01月26日

あの店は今・・・、ラミティエ

前菜とメインのプリフィクスコース(夜)がわずか2100円だった高田馬場のビストロ「ラミティエ」。一般読者への背信行為ともいえる山本益博氏の「値上げアドヴァイス」に耳を貸さなかったシェフでしたが、やはり時代の流れには逆らえなかったのか。2520円に値上げしたとの情報を得て久々に訪問しました。2割の値上げと言ってもその差額はわずか410円。さほど集客に影響がないようで予約は20時前と2回転目と思われる時刻を指定されました。
やや早めに到着して店内を見ると満席ではなく2卓ほど空いています。昔は予約時刻を過ぎても前の客が帰らず外で待たされる羽目になったのですが、今回は早めでもあっさり入れました。おそらく1.5回転営業くらいに抑えているのでしょう。
前菜は白レバー、鶏レバー、エスカルゴ、パテなど9種、メインはシュークルート(2人前)、鴨コンフィ、牛リブロース、牛ほほ肉の赤ワイン煮と定番のビストロ料理などが10種と選択肢は豊富。
ワインの安さも相変わらずです。ローランペリエはボトルで4830円。ノンヴィンテージとはいえ立派なシャンパーニュが小売りに近い値付けです。グラスも570円と普通の店の1/3。スティルワインも南仏ワインを主体に3000円弱から5800円までと安い値付けで提供する良心的な営業です。
料理も変わらずポーション大きく味付けはしっかり目。追加料金も3割くらいありますが、315円以内と控えめなのも嬉しい限り。鶏レバーサラダは3人前かと思うくらいレバーがテンコ盛りで高脂血症の方は要注意。隣客が頼んでいたパテ、分厚すぎて見ているだけでお腹一杯。食の細い方はエスカルゴ(でも結構数は多い)が無難でしょう。メインに頼んだシュークルート、2人前からのオーダーなので、他の料理を追加しようとしたら多すぎるとスタッフに止められました。皿に盛られてきますが、ソーセージ、バラ肉の他、スネ肉が巨大。ジャガイモにキャベツもあり二人では食べきれないほどのボリュームでありました。すべての料理が量多くまずまずの調理で2520円ですから、食材の質に文句は言えません。
5000円超のボトルワインにビールやグラスシャンパーニュを頼んで一人7000円弱は、誰でも満足すると考えます。

2008年01月12日

この値付けでなぜ客が入るのか、リル ナゴヤ

名古屋地区が活況と聞きますが、ここまで景気がいいとは思いませんでした。無茶苦茶値付けが高いのに連日盛況なのが名古屋駅前ミッドランドスクエア42階の「オーベルジュ・ド・リル ナゴヤ」。フランスはアルザスの3つ星と東京の1つ星「ひらまつ」を経営するひらまつグループのコラボ店です。
天井は吹き抜けのように高く超ド級のシャンデリアは木製と内装は豪華過ぎ。ダイニング系デザイナー森田恭通氏の作ですから成金的になるのは仕方ないのですが、本店のオーベルジュへの訪問経験ある同伴者はその乖離に驚いておりました。
ワインリストも宝石箱のようなゴージャスな装丁で高いものしか揃えていない。アルザス料理店なのにトリンバック社のリースリングを1万2000円以上しか揃えていないのはいかがなものか。ネット小売りで2000円チョイのものがあるのになぜ提供しないのだ。ノンヴィンのシャンパーニュも1万500円。ネット小売りでは4000円未満ですからこれまた高い。地代や内装費が高いのはわかりますが、これはやり過ぎというものです。
料理はアラカルトの他、コースが8400円から最高値2万6250円と値幅広すぎでコンセプトに疑問。初回と言うことで我々はスペシャリテを盛り込んだ2万1000円コースにしました。
コロッケなど一口タイプのアミューズは凡庸。ウニのカクテルもズワイやニンジンムース、トマトジュレなど今どき珍しくないレシピで普通。スペシャリテのフォアグラテリーヌは濃厚で塩が利いて美味しかったけど、他店との違いがわかりません。グルヌイユのムースは酸っぱすぎるソースがイマイチ、オマール赤ワインソースも殻の出汁の使い過ぎか濃すぎてオマール自体の質がわかりません。メインの蝦夷鹿だけは美味しかった。
期待の割に傑出する料理はなく、請求額をみて食後感は最悪になりました。5万も6万もする高いワインを薦めるソムリエに抵抗して安めのワイン(といっても絶対値は高い)を適度に飲んで一人5万円弱。13%のサービス料も利いているでしょうが、これではまともな自腹客は訪問できません。平松宏之氏には、あの西麻布の「ひらまつ亭」から有栖川へ移転した頃の良心的なワインの値付けを思い出していただきたい。自腹客をないがしろにし、経費族しか相手にしなかったら料理のクオリティは保てません。

2007年12月15日

星3つはあまりに過大評価、カンテサンス

多店舗展開会社グラナダの下山社長はミシュランのおかげで笑いが止まらないのではないか。この白金の「カンテサンス」に3つ星、日本橋の「サン パウ」に2つ星とかなり優遇されました。ピッツェリアからスタートし、今ではフレンチ、イタリアン、スパニッシュから鉄板焼、中国、蕎麦屋に至るまでその数40店舗に迫る勢いですが、集客に苦しむ店も少なくなかった。中国料理店に加えてオープン3か月で店名からコンセプトまで変えてしまった銀座ベルビア館の蕎麦屋など不振店も結構ありました。
しかしこの店、3つ星という最高レベルの店だとは思えません。皿(料理)だけで判断したとはいえ、サービスに対する評判がかなり悪い。皿だけで判断するならミシュランは立ち食い店でも3つ星を献上するというのか。
受話器が上げっぱなしの通話不通なので直接訪ねたある日のランチ、店内は空席があり無事入店することができました。電話応対が面倒なのか、電話予約の殺到を偽装していたのか。
間口が狭く鰻の寝床のような店内。ミシュランはモダン、エレガント、シックと評していますがサービス陣といいこの内装といい、高額フレンチとしてはマイナスです。
メニューはお任せ1コースのみ。その日に仕入れた食材を有効に使用したいのでしょうが、高額フレンチで単一コースだけなのはいかがなものか。夜のコースは1万5千円で10数皿と多皿。メニュー構成が悪いと感じたのは、そのうち4皿がデザートであったからです。
全体に甘い味付けが多く塩梅というかバランスも良くない。塩の味付けだけの丸ごとの蕪、スッポンのスープ、大根のスープなど意外性のある食材の使用は面白いですが、ウリの山羊乳のババロアはオイル嫌いにはNGか。カリスマ漁師と仕掛け人に煽られた村公一氏の鱸のポワレ。火入れは良かったですが、私には質の違いがわかりません。メインはこれまた同じグループが煽っている西崎ファームのバルバリー鴨のロースト。やはり質の良さはわかりませんでしたが、火入れは良かった。
ワインは品切れや1本しかストックしていないものもあり、値付けも高く一人3万円近くになりましたから、CPも良くありません。ポワレ、ローストと火入れの腕は認められるので、甘く評価して1つ星が妥当です。

2007年11月24日

まずは挨拶の教育からやり直せ、ラ キャンタン

電話予約をした段階でやめるべきでした、駒沢大学駅近くの「ラ キャンタン」。電話向こうの暗くやる気のない口調の女性がこの店のシェフだとその時は気づかなかった。わずか7坪のシェフとソムリエのビストロとの「東京カレンダー」の記事に釣られて出向いたのが間違いでありました。
カウンター6席が主体のオープンキッチンですから、客は入店時にシェフと目が合います。しかしこの女性シェフ、我々だけではなく他の客にも「いらっしゃい」どころか会釈一つしない無愛想さ。社会常識がないと思いながら席に着いたらカウンタートップがやけにベタつくのにビックリ。油をふき取っていないのか。この2点で一気に期待は萎みました。
前菜(1000円前後)は種類だけは豊富。しかしネットで評判のシェーブルサラダはシェーブルを乗せているだけのもの。ラタトゥユはブイヨンの中に泳いでいるようで味にまったく深みがありません。トリップも味が薄っぺらで、鶏レバームースは臭みが目立ちました。
2000円以内のメインも食後感は安いなりのもの。ストウブ鍋で供されるシュークルートは出汁多すぎてキャベツが少なく、バラ肉やソーセージの下ごしらえが安易なのかやはり味に深みがない。仔羊とクスクスも質を考えると香辛料を多用して厚化粧をしたほうがいいでしょう。ブルーチーズのグラタンもジャガイモが硬すぎてNG。つまり頼んだ料理すべてが良くなかったのです。
狭い店内で客と接しているのですから、「いらっしゃい」、「ありがとう」くらい言ったらどうか。せめて会釈だけでもしたらどうか。仏頂面で嫌々調理しているような様を見せられる客はたまりません。この女性シェフの態度はサービス業というより社会人として問題ではないか。
厨房が狭く調理に制限はあるでしょう。業務用や半加工品を使うのも仕方ない。この価格では最初から高望みしませんが、それにしてもあまりにチョイ調理のものばかりには疑問。料理数を減らし手をかけた料理にしないと家庭料理の延長線上にしか感じません。
8000円前後の支払で、調理技術どころか社会常識もないシェフと対峙しながら食べる必要はありません。近辺には同じ価格帯の「ブラッスリー ドゥ クワン」というCP良い店が存在します。

2007年11月10日

ご近所客限定のフレンチ、ガルゴティエ

出版社の編集担当と定期的に行っている食事会で訪れたのが中野のフレンチ「ガルゴティエ・ササキ」です。ネットでの評価も上々なビストロ、中野駅から徒歩で15分と立地の悪さも逆に期待を膨らませてくれました。何か特徴があるのだろうとの勝手な思い込みですが、汗かきながら辿りつき食べ終えた結果は期待外れに終わりました。
地図を見ながらもうっかり通り過ごしてしまったくらい存在感のない店構え。ガラス張りでブティックか喫茶店に見えてしまいます。内装はよく言えばシンプル、はっきり言うとチープ。キャパ10名前後、シェフとホールスタッフ2名の小さな店です。
アラカルトなし、コース2940円ですから多くを期待しませんが、肝心の料理がまったく特徴がありません。
冷前菜、温前菜は決まっていて、メインだけがチョイスできるシステム。しかし、そのメインは仔羊かホロホロ鳥しかありません。どちらも苦手な客はどうすればいいのか。冷前菜のタスマニアンサーモンのマリネは想定内。中野まで来てサーモンなんか食べたくないよ、という客がいないのだろうか。温前菜はフォアグラのコーンスープでしたが、この取り合わせはミスマッチと判断。ホロホロは得意でないので必然的に追い込まれた骨付き仔羊、脂分が多すぎで何の変哲もない調理でありました。廉価店だからかフィンガーボウルもなく、非常に食べにくい。一人調理ですから限界があるでしょうが、もうちょっと客の事を考えてみたらどうなのか。500円値上げて2500円になった高田馬場の「ラミティエ」と比べて、料理の種類、ボリューム、野菜の量、とすべてに劣るものでした。厨房、ホールとスタッフを何人も雇って2500円でやっていけるのですから、ガルゴティエも改善の余地は残っていると考えます。
唯一の救いはワインの値付け。ノンヴィンテージのシャンパーニュが6930円と安めで、白、赤ワインも3150円から用意されています。カオールやマディランといったCPの良いフランス南西地方のワインを用意するのは評価できます。店構えにあった廉価なワインの品ぞろえは良心的と言えるでしょう。
わざわざ電車や車で行くほどではなく、ご近所の方に限定で今回紹介させていただきました。

2007年10月20日

バスク料理ではなくただの味濃いビストロ、ルル

ネットではかなり評判の広尾(地番は恵比寿)にある「ラ・ピッチョリー・ ドゥ・ルル」。19時から27時まで営業のピッチョリー(バスク地方の一杯飲み屋)で、フレンチ「シェ・トモ」の2号店であります。「ル・マエストロ ポール・ボキューズ東京」も任されていた市川知志シェフが関係するバスク料理店とネットで知り、期待して予約の電話を入れました。
クロスがなくテーブル含めて木がむき出しの内装にBGMはアコーディオンとかなりのディープ感。料理は2枚の黒板に定番とその日のお勧めが列記され、グラスワインは白赤とも10種ほど用意されており、ますます期待が膨らみます。前菜はブーダンノワールやラタトゥユ、豚足ゼリー寄せなどが1000円前後、メインはクネル(1350円)、シュークルート(1900円)、カスレ(2830円)と好きな料理が並んでいるのも嬉しい。と、ここで疑問が生じたのです。おいおい、俗にいうビストロ料理ばかりで厳密な「バスク料理」らしきものが見当たらないではないか。
調理スタッフが少ないのか皿出しは遅いですが、シェアを前提に、フォークとナイフが卓上に豊富にあり、取り皿が都度サービスされるのは評価できます。前菜が小ポーションなので支払を考えなければ多くの料理にチャレンジできるのも嬉しい。しかし肝心の料理の味は疑問な皿が続きました。ビストロ料理はワイルドというかしっかりした味付けが基本でしょうが、あまりにしつこい味の料理が多く、食べ続けていくとつらくなるのです。好きなリエットも進みません。ラタトゥユ、オムレツも後味がつらい。シュークルートもしかり。カスレはスープが多く味も濃すぎるので鴨コンフィの旨みを打ち消しています。ハモンイベリコも小さい欠片でしたから部位が悪かったのか。反面、ブーダンノワールやクネル、ポテトグラタンは特徴がなかった。
うーん、全体に必要以上に舌に残るというか、まるで業務用の出汁や調味料を使用しているかのような食後感でありました。店内は若い客ばかりでしたからこの味付けでいいのかもしれませんが、もう少し味に深みが欲しいものです。
6000円前後のフランス南西地方のワインを飲んで一人1万円突破。確認のため再訪しましたが、食後感は変わりません。

2007年09月15日

あの店は今・・・、アピシウス

少なくとも15年前までは東京一のフレンチ、いや日本でもトップのフレンチと誰もが認める店だった「アピシウス」。オーナー一族の内紛の影響もあると漏れ聞きますが、「ロオジエ」に大きく引き離されたこの元祖グランメゾンを立て直すため、昨年から大きなテコ入れが行われています。サービス陣の再生として、メートルドテルとシェフソムリエを外部から招聘し、今春内装リニューアルもして巻き返しにでてきたのです。しかし久々に訪問した友里の結論は、「うーん、この程度の改善では『ロオジエ』には到底追いつけない」。
今では珍しいアールヌーボー調の内装は健在、個室へホールを経由しないで入れるようになり個室好きの人には使い勝手が良くなりました。でもこれは個室を有する店の必須条件でありますから遅きに逸したとも言えます。
この店で評価できることは、相変わらずワインの値付けが安いことです。80年代の有名なボルドーやローヌのワインが3万円前後であるのはここくらいではないか。勿論古酒も安く提供しています。ただ、「ロオジエ」で中本ソムリエが惜しげもなく稀少ワインをお任せで提供するスタイルに慣れた客には「アピシウス」の清野ソムリエは物足りないかもしれません。
料理もグランメゾンとしては安い。前菜は5000円前後、メインも5〜6000円でハーフポーション(3500円前後)も用意されています。前菜、メインで1万円前後ですからこの雰囲気ではかなりお得な値付けでありますが、肝心の料理は首をかしげるものが続きました。
前菜はマリネ系が多く偏りを感じます。ギリシャ風野菜がありましたが、これが5000円超はちょっと高すぎでしたが、桜鱒はまずまずのポーション。仔羊は火が入り過ぎ、若鶏は素材の良さが感じないと個々の問題は別にして、全体として料理の創造性を感じず発想が古くなっているのではないか。7割がた埋まったホール客のうち3席が男性客だけの接待客だったことからも、最近のグルメといわれる客層には巻返し策も不発のまま。オープン時スーだった料理人が今のシェフだそうですが、ソムリエやドテルを変える前に、料理人の環境を変えるという選択肢はなかったのか。グランメゾンはシェフの使い捨てが繁栄維持の条件だと友里は考えます。

2007年06月02日

これではオストラルの二の舞になる、ラ トゥール

夜逃げ同然に店を閉めてしまった交詢ビルのフレンチ「オストラル」。こんな再開発ビルへ移転せず、小さなビル地下で営業を続けていたら結果は異なったと思いますが、その跡をほとんど居抜で借りて昨年10月末にオープンしてきたのがこの「銀座ラ トゥール」であります。店名の通り、日本の「トゥール・ダルジャン」から独立して2店舗運営していた料理人が、神楽坂の店を弟子に任せ、千駄ヶ谷の店を閉めて勝負をかけてきました。コンセプト失敗で集客に苦しむ店が多い交詢ビルで、シェフは本当に採算あってオープンしたのでしょうか。友里は昼夜訪問し、料理は別にして戦略失敗、このままでは「オストラル」と同じ結果になりそうだとの結論に達しました。
まずはこのシェフ、センスが悪すぎ。公式HPは「大田原 牛超」と同じく、TVや雑誌への掲載を訴える宣伝が見苦しい。
高級感がありません。アラカルトもありますが、その中からチョイスできるのでほとんどの人が選ぶプリフィックスは、1万2500円、1万5000円、1万8000円の3コース。選べる料理数などが異なるだけですが、そのコースのネーミングが、「ジョセフィーヌ」、「ナポレオン」、「ルイ14世」ですから、笑ってしまいます。
ワインも高い。グラスシャンパーニュはテタンジュのノクターンが2400円。値付けも高すぎますが、1500円前後のものを1種は用意すべきでしょう。しかも昨晩の抜栓なのか泡が弱弱しかった。ビールを置いていないのは粗利の取れるシャンパーニュを頼ませる戦術なのでしょうが、あの「ロオジエ」でもあるのですから再考してもらいたい。スティルワインも白は33万円、赤は28万円までありましたが、この店の料理や雰囲気で飲めるものではありません。中には安い値付けのワインがありましたが、コンセプトを統一するべきです。
牛乳から造ったというパンは美味しい。料理は盛り付けは鈍臭く、ソースや調理法も斬新さがないですが、それがかえって今では珍しく悪くは感じません。料理やワインを、店の雰囲気に合わせて身の丈に応じた価格設定にしたら、客は来ると思うのですが、このまま高額路線を突っ走るならば、「オストラル」の二の舞になる可能性大と考えます。

2007年05月20日

ファミレスより大箱でクオリティが保てるのか、ミュゼ

日本で一番流行っているフレンチではないでしょうか、「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」。新国立美術館内と注目される立地条件で180席強の大箱ホールは、ランチを入れて一日に3回転はしています。フランス料理界の重鎮で3つ星シェフのポール・ボキューズ氏と日本人初の1つ星シェフ平松氏率いるヒラマツグループのコラボレストラン。巷ではリヨン以外ではじめての出店と言われていますが、これは友里に言わせると「詭弁」そのもの。30年ほど前には銀座に「ポール・ボキューズ」というレストランが立派に存在、最近も客が入らず閉店しましたが、アークヒルズに「ポール・ボキューズ 東京」がありました。要は「ブラッスリー」としては初進出なだけであります。
「ブラッスリー」とは軽い食事やお酒が飲める庶民的なフレンチをいうはず。しかしこの「ミュゼ」は美術館内でファミレス以上のキャパ、荷物やコートを預かるスペースがない、狭いテーブルの詰め込み主義、とブラッスリー以下の環境やサービスなのに、夜はアラカルトで前菜が1800円、メインは3000円前後とそこらのフレンチ顔負けの高額設定であります。
30分前に並んだ私は、オープン直前のスタッフの言葉に驚きました。「本日から1800円のコースをやめ2500円だけになります」。高いコースに絞っても客足は落ちないと強気に出たのでしょうが、ランチ2500円でブラッスリーと言えるか。昼に唯一頼める単品スペシャリテ「トリュフ 卵の皿焼きフォアグラ添えソースペリグール」は、目玉焼き2枚を深皿にいれ、小さなフォアグラ角切れとスライストリュフ、ツメの緩いペリグーソースをかけて焼いただけのもの。これが4500円はあまりに高い。もっと手間をかけた料理を安い価格で提供しても客が少ないフレンチに失礼というものです。国立の建屋への出店は審査も含めて厳しい条件があるはず。平松氏の政治力は調理力のはるか上を行っていると考えます。ランチはともかく夜ならワインを飲むと1万円を軽く突破してしまう自称「ブラッスリー」。コートやバッグを足元に置く、誰が造ったかわからない大量生産料理、周りを見れば180名とファミレス状態、貴方はそれでもボキューズの名に釣られて食べに行きたいですか。

2007年04月22日

予想よりまともで面白い創作料理、タカザワ

一日2組総勢10名限定に絞った営業、ジャンル不詳の創作料理、雑誌で見る限りダイニングかサロンのような内装、と事前情報では友里的にまったく評価できなかったのが、赤坂の老舗フレンチ「ビストロ サンノー」後にオープンした「アロニア ド タカザワ」であります。
非常にわかりにくい入り口から階段を上がると、サロンのような内装で、照明がスナックみたいなのはご愛嬌か。シェフとマダムの2人だけで、下ごしらえは奥の厨房でやり、焼きや盛り付けなど最後の仕上げを客の目の前でやるシェフズテーブルを狙ったホールであります。
事前に決めなければならないお任せコースは1万6800円、2万1000円、2万5200円と、かなり強気の価格でワインも高い。シャンパーニュはノンヴィンが1万円、白・赤ワインは日本産で、8000円から2万6000円と驚きの高価格。しかもあまり流通されていないものに絞り、相場がわからなくしている高等戦術であります。
肝心の料理はどうかというと、無難に真ん中のコースを食べた結果は、何料理かわからず濃い味付けの創作料理なるも、まずまずおいしゅうございました。定番のモザイク仕立てのテリーヌ。最近は珍しくなく量が少ないけど美味しい。同じく定番のキャンドルホルダー、何かと思えば蓋側にフォアグラのブリュレを盛り、キャンドル側にはマンゴなどフルーツを細切れにしたものをつめています。いわゆるサプライズ料理なんですが、玉子とキャラメルで甘さを出したフォアグラが濃厚でパンが進みます。白子のココットはバルサミコ、ケイパー、塩でかなりしつこい味。ヒグマ肉のホットサンドやチョコにコライユを混ぜたと思われるソースの甘鯛などにもサプライズ。ただ、すべて誰にでもわかりやすくと濃い味にしており、ホロホロ鳥の白レバーテリーヌなど食材にレバーが重なるのはしつこすぎ。最後の料理、幻霜豚を炭で焼き始めたら、換気が悪くホールが煙くなりました。シェフズテーブルも楽ではありません。炭のフェイクも皿にのってくるなど、六本木の創作和食「龍吟」に通じるコンセプト。ワインが高くて一人3万8000円と驚きの支払いでしたが、わかりやすい濃厚味がお好きな方には、話のタネに一回は訪問されてもいいでしょう。

2007年03月03日

覚悟はしていたがあまりに狭い、ビストロ ミカミ

ビストロというと何を思い浮かべますか。客の密度が高い圧迫感、ざわざわとした喧騒感、ボリュームのある料理、個性的な味付け、安いワイン、などなど。しかし、シェフ、マダムに助っ人3人のこの小さな店は、負の印象となる「圧迫感」と「喧騒」だけが目立っておりました。
カウンター9席は、隣客と肘が干渉するほど狭い。テーブル席が2卓ありますが、これも小さすぎ。小さな手荷物は足元に掛けられますが、後は入り口付近のワイン冷蔵庫の上に置かなければならないほど、店内に余裕はありません。
シェフは「足し算ではなく引き算の料理」と訳のわからない事を言っていますが、その「引き算料理」の数が半端ではありません。定番メニューの他、黒板にびっしり書かれた前菜が30種以上。800円から2000円の範囲です。メインは鴨、プラチナポーク、牛、仔羊のほか牛タンやほほ肉の煮込みが3000円以内。よくまあ、こんな小さな字で書き込めたものだと感心しながら黒板から3人で選んだ前菜は8皿。実はビストロと自称していますが、一皿の量が少ないのです。一人2皿は前菜を頼まなければ足りませんが、テーブルやカウンターが狭いので置くのも大変です。鹿のタルタルが冷凍の戻しでイマイチでしたが、鴨コンフィ、白レバームース、トリッパは無難なお味。なぜか数種あるパスタやリゾットから選んだウニのスパゲッティは頼むべきではありませんでした。大半は可もなく不可もなしの無難な調理、はっきり言うとまったく印象に残りません。メインに頼んだ仔羊の香草焼き、豚すね肉の煮込みプラム風味、牛フィレ肉のマディラソースもまったく記憶に残りませんでした。ビストロの定番のクスクス、ポテト、リエットが見当たらなかったのも不満。ブーダンノワールやシュークルートもありませんでした。
ワインは白が6000円、赤が8000円くらいからと店構えや料理から見てかなり高い設定です。ノンヴィンのシャンパーニュも8400円と安くはなかった。
イタリアンだが店構えや料理の傾向が似ている六本木「オステリア ナカムラ」よりかなりCP感が悪い。狭いのに喫煙可という方針にも疑問です。近所の喫煙者が一人で立ち寄るといった利用が一番合っているでしょう。

2007年02月03日

周辺の有名ビストロよりおススメ、シブレット

今日も月曜に続いて友里にしては珍しいおススメ店の登場です。慣れない褒め言葉をひねり出して体調を崩さないか心配です。
読者から「台東区の奇跡」との強力な推薦を受けた「ビストロ ラ シブレット」。浅草橋駅から徒歩5分ほど、カウンター6席、二人横並びのラブ席1つにテーブル1卓のシェフとマダムの小さな店です。ランチが特にCPがいいのか、ネットでもかなりの高評価。ビストロ料理に目がない私は直ちに訪問したのです。
黒板メニューには前菜が10種ほどで840円から1470円の範囲とまずまず安い。メインはシャラン産鴨、ロイヤルポーク、オーストラリア仔羊、鶉、と食材も揃い、ほほ肉赤ワイン煮とビストロ定番料理もあるのですが1890円から3300円までと店構え、立地からするとやや高めの値付けです。ワインはどうかというと、ノンヴィンのシャンパーニュが7900円。高くもないが安くもない。白・赤ワインは3600円からありますが上は2万円弱までと高額なものが多いのも意外でした。
アミューズの桃と生ハムはオイルが効いていてグッド。岩牡蠣のスープはバジル以外に塩を強く感じましたが、定番のウニのコンソメジュレもなかなかのもの。世界一美味しいと銘打ったオリーブもそのキャッチに疑問ですがまずまずでした。温玉付のラタトゥユ、白レバーサラダと量だけの皿もありましたが、前菜は当たりが多かった。
メインがこれまた大盛りです。シャラン産鴨は3300円と一番高価ですが、特にボリュームたっぷりで美味しい。仔羊(2400円)も悪くありません。ボリュームがあるので、3名でもメインは2皿でお腹一杯。色々な料理をシェアしながら試すのではなく、しっかり1皿を食べこむ位置づけの店であります。塩をしっかり効かせた味付けにボリューム満点の料理は、正にビストロというものです。ワインが高めなので、飲むグループでは一人当たり1万円を簡単に超えてしまうのが難点。総合評価では高田馬場の「ラミティエ」には及びませんが、料理の種類、味、量、そしてCPと近辺の「モンペリエ」のはるか上を行っています。「奇跡」は起こりませんでしたが、まずは訪ねても不満のない店。下町のビストロとしておススメです。

2006年11月19日

ビストロにしては高すぎだ、コジト

西麻布や広尾にある「アルモニ」、「マルシェ オー ヴァン ヤマダ」グループの新しい店。雑誌ではビストロと紹介され、看板の山田シェフはホールで常連などの客対応に徹しています。シェフが厨房にいないのでは、スタッフが一人余計に必要になりますから、CPは悪化するでしょう。
料理は4800円から1万円までの4コース。アラカルト風のメニューの中から好きなものを選ぶもので、料理は前菜6種、魚4種、肉6種ほど。子羊ロースト、ほほ肉赤ワイン煮、トリッパなどがありますが、ビストロ定番の鴨コンフィ、牛ロース、豚足、クスクス、シュークルートやリエットが見当たりません。コースといってもチーズやデザートは含んでおらず、各料理のポーションも小さい。私は前菜2、メイン1つの6500円コースを頼みましたが足りずに1品メインを追加しました。ビストロという割にあまりに量が少なすぎ。「ジャボン パセリの煮凝り」はラヴィゴットソースが薄味すぎる。「アスパラとホタテ」も凡庸で、スペシャリテと薦められた「牛ほほ肉の赤ワイン煮 ブルゴーニュ風」は肉がトロトロでしたがソースはツメが緩いもの。追加で頼んだ「鴨 フォアグラミンチ パイ包み」(3800円)はあのボリーさんのスペシャリテに似ていますが、マディラベースのソースが物足りません。ビストロ料理とはいえ、ボリューム少なく味付けは物足りず、価格も決して安くはない。酒類もグラスワインが高過ぎ。バタールモンラッシェが3千円を超えていましたが、ビストロで特級畑のグラスワインが必要なのか。安いものでも2千円前後ですから呆れてしまいます。ワインリストはブルゴーニュだけのものも別に用意され、1級や特級が1万5千円から4万円。そして圧巻はグループ全体で所蔵しているワインリストです。50年以上前から近年までの有名造り手が並んでいましたが、いずれも価格が表示されていません。市場価格に連動させて相対で値段を変える戦略なのでしょう。料理もそうですが、ワインもまったくビストロとはかけ離れた設定の店といえます。安いグラスとボトルワイン、6500円コースに一品メインを追加してサービス料10%で2万6千円。一人の値段ですからビストロとしてはあまりにCP悪過ぎです。

2006年11月03日

ブラッスリーというより立派なビストロ料理、クワン

いつから人気スポットになったのか世田谷区の三宿。新しい飲食店が次々出来ているようですが、私はこの「ブラッスリー・ドゥ・クワン」訪問で初めてこの地を訪れました。池尻大橋から徒歩10分ほど。近辺にはやたらとラーメン屋が目立ちます。交差点近くの小さなビルの4階、カウンターとテーブル席で総数20席弱、厨房二人、ホール一人の小さな店。ブラッスリーというと、簡単な食事とワインの店のように感じますが、この店は立派なビストロ、値付けの安い料理が40種以上用意されています。サラダ、フォアグラ、リエットなどツマミになる小皿前菜が500円前後で20種近く。まずはビールが進みます。和牛のタルタルやシーザーサラダなどの前菜はハーフポーションも用意されていて千円前後とこれまた気軽な値付けで10種近く。肉は鴨、豚、鶏、和牛と2千円前後で4種の他、前菜も含めて本日のおススメが黒板で別に用意されています。ワインも3千円から1万円までの範囲ですが主体は5千円前後。値ごろ感ある安いワインを揃えています。安くて豊富なメニューを見るとつい多めに頼んでしまいがちな友里。パテ、リエット、ラタトゥユなどビストロ定番はまずまず。オニグラや仔羊のリードヴォーも結構イケました。自家製のブリオッシュは目の前で焼いていて250円。余りパン系に興味がない友里ですが、これは旨かった。グリーンサラダにプラス400円でトッピングできる生ハムは、質は普通ですが量もたっぷりで○。鴨コンフィ、地鶏とフォアグラの重ね焼き赤ワインソースといったスペシャリテもしっかりした味付けで満足しました。オープンキッチンには2人だけしかいませんが、手際よいシェフとスタッフはストレスなく次々料理を供してくれます。かなり食べて飲んで9千円くらい。もう少し安いワインでしたら7千円で終わるでしょうか。同じビストロ料理でも浅草の「モンペリエ」とは種類、CP、完成度が違います。問題点は一つ。カウンター付近は厨房の換気装置の能力が不足しているのかオイルミストが蔓延しています。ぜひ換気装置を改善していただきたいものです。気軽な服装(油をかぶります)、気軽な予算で数多い美味しいビストロ料理を楽しんでください。

あの店は今・・・、ラ・ソース・古賀

久々にランチ時に訪れたのは今年の5月下旬。客が少ないのは相変わらずでしたが、店内の雰囲気が変わっておりました。そしてカレーのトッピングも仔羊がなくなり3種だけに。メニュー削減は、不振による閉店間際の足掻きかと思ったのですが、実はオープンして1年経たずに大きな賭けにでたようです。まずスタッフとして古賀シェフの妹さんを投入、店内が明るくなりました。彼女によると、5月半ばにカウンターを短くしテーブル席を2列に増卓。銀座の夜にカレーだけでは無理なことにようやく気づいたのか、ビストロ料理中心の店にリニューアルしました。飲食店がコンセプトを変えるのは大変勇気がいることです。当初の失敗を認めることになるからですが、ビストロ料理が書かれた黒板を見て友里は夜に初めて訪問したのです。
いくらか客は増えたようで、かなり席が埋まっております。カレーの厨房設備からの転換には限界があるのか、サラダの盛り付け、ポトフの最終仕上げ、生ハムのカットと盛り付けはカウンターのサービス責任者が自らやっておりました。よってツマミも含めて皿出しはかなり遅い。ビストロで簡単な料理がすぐ出てこないのはストレスが溜まります。また、「イベリコ ベジョータ」が千円からとその安さに驚きましたが、よく見ると置いてある生ハムはどう見ても「前足」。「ハモン イベリコ」は「後ろ足」限定ですからこれは「ハモン」ではありません。安いはずです。シーザーサラダ(600円)は値段なりに小ポーションで小売用のパルミジャーノを目の前で振りかけていました。興ざめ。小鯵のエスカベッシュ(揚げ浸し750円)、ブイヨンで煮込んだトロトロほほ肉(1800円)はまずまずながら、ラッキョウ付の酵素豚リエットはツメが甘く鴨コンフィ(1600円)もボロボロ過ぎてポーション小さいと、代表的なビストロ料理が弱く量が少ないのにはがっかり。仔羊のグリエ香草ソース(1700円)も変なソースよりジュで仕上げるべき。クスクス、ブーダン、シュークルート、パテ、牛ロースなどの代表的なビストロ料理もなく、メインも仔羊、ほほ肉、鴨だけでは寂しい。カレーやブイヤベースを残すより、メニューを増やすべきでしょう。これでは、2回目のコンセプト変更も近いかもしれません。