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2007年10月13日

雰囲気だけで支払が高すぎる、天孝

天婦羅の名店と巷で評判なのがこの神楽坂の「天孝」。30年以上続いている老舗だそうで、本館以外に別館もあり繁盛しているようです。
本通りからちょっと脇に入った路地に面した民家風な佇まい。銀座や麻布と違ってタイムスリップしたかのような路地は非常に風情があります。格子戸を開け小さな庭を見ながら石畳を歩き玄関を入ると左手に6席ほどのカウンターの部屋が、2階には座敷もあるようで、民家を増改築したかのような店内は正にレトロ。「3丁目の夕日」といった感じでしょうか。
カウンターには灰皿が置いてあり喫煙の客の多さがうかがわれます。レモンの搾り汁、塩、天汁が既にセットされているのも意外。席間隔が狭いので圧迫感もあります。若主人だという揚げ手が登場して、1万7000円コースが始まりました。
まずは刺身としてサイマキが2尾。天婦羅と同じタネを刺身で食べるとは思いませんでした。高額店ですから違うタネを用意してもらいたかった。
天婦羅はサイマキが4尾と数はまずまず。綿実油と胡麻油のブレンドによる軽めの天婦羅と聞いていましたが、結構衣が厚い。揚げ物の途中で海老ミソ、ジャコなどのツマミがでて酒のみにはありがたいですが、揚げ物は烏賊、野菜類、キス、子柱海苔巻、穴子とタネ数は少ないのではないか。サイマキを入れて10種ほどで、あっさり天丼で〆となってしまいました。
天婦羅はいずれも可もなく不可もなし。タネ質、揚げと傑出さを見ることができず、変わりタネもなし。まったく印象に残らないままその日の宴は終わったのです。
サイマキが4尾(刺身を入れると6尾)ありましたが、ビール1に日本酒を数本飲んで2万円突破でこの食後感ではあまりに高すぎるというもの。もう少し魚を増やしていただきたいものです。
若主人は謙虚でしたが、部屋が狭いから声のデカイ他客がいると最悪でせっかくの風情も台無し。煙草や大声は居酒屋だけにしてもらいたい。
楽亭、深町など評判店にはタネ、揚げと及ばずながら請求額だけは負けない「天孝」。天婦羅はフレンチや和食に比べて仕込みに手間がかかりませんから、神楽坂でこの高額は「いい商売」していると言えるでしょう。雰囲気を取ったら、そこらのホテルの高級天婦羅と大差ない食後感と考えます。

2007年05月12日

人材不足で支店を出すとは、てんぷら山の上 Roppongi

「楽亭」や「近藤」といった都内の人気天麩羅職人を輩出した「山の上ホテル」。彼らの成功を見て機会を窺っていたのでしょう、ついに本体が東京ミッドタウンに進出してきました。ガレリアという高額飲食店を集めたエリアの3階フロアに上がると、喚起の悪さを曝け出しているのか店外でも油の臭いを感じます。夜のコースが9450円から1万5750円までの5コースと立派な高額天麩羅店なのですが、カウンター席よりテーブル席が多いのはいかがなものか。鮨もそうですが天麩羅も出来たてを食べたいもの。カウンターより客を多く詰め込めるテーブル席を主体にして売り上げ増を狙ったのでしょうが、「つな八」のような廉価な店ではなく、客単価1万円以上の「高額店」です。拘りを捨てて拝金主義に奔っていいのでしょうか。コース設定もおかしい。9450円には天丼などご飯物がない。1万2600円には海老、魚、野菜といった通常のコースの他、海老と野菜だけのコースがあります。海老が2尾あるとはいえ野菜だけのコースで1万2600円とはいい商売しています。1万3650円コースには刺身がつくが、最高の1万5750円はタネが違うからか刺身がついていません。最高額コースを好む接待族には、追加で刺身を頼ませて売り上げ増を狙う高等戦略でしょう。
では料理はというと、店側の狙いにはまって最高額コースに追加で頼んだカツオの刺身に後悔。肝心の天麩羅もタネ質普通で揚げの技術も低いものでした。最初の海老の頭でさえカラッと上がっていないのですから他のタネも追って知るべし。メゴチ、稚鮎、伏見唐辛子といったレアタネもがっかりでした。揚げ職人は2名、見た目で判断してはいけませんが、経験を積んだ人にはとても見えない若い人。ホールスタッフの対応も悪く、客が少ない夕方なのに頼んだ物がタイムリーに運ばれませんでした。支店を出すには教育不足というかまったくの人材不足。ワインなど酒類の値付けも高く、支払額をみてあまりのCPの悪さに唖然としました。本店出身「楽亭」のコースは、もっと質の高い刺身(4000円)を追加しても1万6000円ですから、「山の上 Roppongi」のCPの悪さが際立ちます。再開発地への安易な出店、わざわざ行く必要はないでしょう。

2007年05月05日

あの店は今、畑中

マスコミで見かけなくなりましたがまだまだ人気の麻布十番「天ぷら 畑中」。数年ぶりの再訪で食した、小鉢、海老3、魚4、野菜5、掻き揚げ、ご飯、漬物に果物の8400円コースはまずまず。揚げ方、タネ質も悪くなく、特に海老が3尾でるなど価格を考えるとCPも悪くありません。しかし料理以外で主人の性格悪い面をいくつも見せられてしまいました。
この店は一人客を「嘘ついて」断ります。予約の電話(4〜5日前)で一人と言うと女将は主人と相談するためか保留にし、しばらくして「当日は満席です」。この間の悪さに疑問を抱いた友里は、すぐさま知人に同じ日時に2名の予約確認を依頼しました。私も数十分後に別の電話から声色かえて2名で打診。結果はどちらも予約がとれるとの回答を引き出したのです。カウンター形式の店で嘘ついて一人客を断るな。一人だと最後に1席無駄になる可能性があるとのセコイ考えなのでしょうが、それならば堂々と一人客お断りと言えばいいのです。そう出来ないのは、当日になっても埋まらない時は一人客の予約を受けるからでしょう。しかも訪問当日、親しそうな常連が一人で立派に座っておりました。隣の席は勿論空席でした。
次の問題点は「お通し」の押し付け。小鉢付のコースで最初に出てきたのが「〆さば」。天麩羅を食べている途中で今度は「鰯の時雨煮」がでてきました。お得なコースだと思ったのですが、帰宅後に明細をみてびっくり。〆さばを「お通し」と称し、735円別途に請求しているではありませんか。居酒屋のような単品料理店なら「お通し」別請求はわかります。しかし、コース料理で「お通し」を「客の了解なし」に出して請求していいのか。そしてトドメの駄目出しは友里得意のカード手数料問題です。メニューには5%のサービス料を頂くとありますが、現金なら請求しないと明記。要はカード会社が客への転嫁を禁止している「手数料」を「サービス料」と言い換えて請求する「詭弁」であります。手数料を客に転嫁していないとカード会社に弁解できると考えた「悪知恵」。一人客に嘘をついて断る、コース制なのに「お通し」を断りなく出して請求する、カード手数料を「サービス料」と称して客に転嫁する。こんな主人の店へは行かない方が無難です。

2007年04月29日

確かに海老は多いが穴子が出ない、七丁目京星

生き残っている店評価本としては最古かもしれない文藝春秋社の「東京いい店うまい店」。その中で昔から最高の評価を受けている天麩羅屋がこの銀座の「京星」です。審査員の平均年齢が高いのか、浦島太郎状態、時代の変化に取り残された店に甘い本ですが、この店も政治家はじめ常連客は年配の方が多く客の世代交代が進んでいないようです。この店から別れた主人の兄がやっている8丁目の「由松」との違いは何か、
価格はやはり高いのか、大きな関心をもって友里は訪問しました。古いビルの割にはこざっぱりした内装、カウンターは8席ほど、ワイン冷蔵庫やワイングラスも完備されています。
お任せで頼んだ最初のタネは海老のすり身入りの小さなパンの揚げ物。そして、噂どおりサイマキでも小さい部類の海老が数多く出てきます。しかも小さいのは海老だけではありません。蓮根、椎茸、玉葱、鶉卵などほとんどのタネがミニチュアでありました。キスもかなり小さめの物を2尾重ねてあります。よくまあ、こんなに小さなタネを揃えたものだと感心しました。揚げ方は「由松」のように素揚げに近くはなく、焦げ目もあります。自家製の塩とレモン汁だけで天麩羅を食べなければいけないところは同じ。味付きのオロシは舌休めです。追加で頼んだ牡蠣も小さく、天茶は嫌いなので変更した天丼の掻き揚げは揚げすぎでありました。昼のお任せでは魚は海老、イカ、キスだけだといわれ、夜のタネをいくつか追加してぬる燗数本の支払いが予想通り3万円を突破、いくら海老が10尾前後でるとしても、この小さなタネの連続ではあまりに高いというものです。しかも驚いたことに、この店には「穴子」が常備されていません。江戸前のタネを扱うが江戸前天麩羅ではなく、リクエストがある時だけ仕入れるそうです。常日頃仕入れていない店がスポットで質良い「穴子」を仕入れられるものなのか。海老以外旨みを感じない小さいタネとこの高額請求の天麩羅屋がどうして5つ星なのか。同価格なら「由松」の方がまだマシですが、「楽亭」ではこの2/3でもっと美味しい天麩羅が刺身と共に食べられます。CPを重んじる方にはまったくおススメできない天麩羅屋でした。ビル建て直しのため3月末で一時閉店、今秋に5丁目で再開予定です。

2007年02月24日

知名度抜群で集客は順調、銀座天一本店

日本で一番有名な天麩羅屋、昼も夜も銀座の買い物客や年配客で一杯です。寿司屋の「久兵衛」と同じく、傑出した料理を出さなくても客をひきつけるそのブランド神話に脱帽しました。
久々の訪問はまず昼から。7350円のコースは、突き出しとサラダの後、海老2尾ではじまり魚3種、野菜4種で掻き揚げご飯になります。天汁、レモン、塩に加えてこの店の特徴であるカレー粉も健在。しかし店側は本当にカレー粉が合うと思っているのか。腕の良い職人が良質のタネを上質の油で揚げた天麩羅なら、こんな調味料は必要ありません。肝心のタネの旨さがカレー粉の刺激に負けてしまいます。押し切りで切った穴子はやや生臭く、〆に選んだ天丼もベチャベチャでした。銀座とはいえ、10%のサービス料が加わるとCPの良さを感じません。
間をおかず訪問した夜も満席。客だけでなくフロアスタッフも溢れています。女性スタッフだけで充分な数なのに、更に男性スタッフが2名加わっています。カウンターが主体の店で、マネージャーや案内係の男性が必要なのか。厨房も若い衆がかなりいるようで、固定費掛け過ぎは一目瞭然、CPが良くなるはずがありません。今回は旬の食材が加わるということでお任せコースに飛びつきました。海老2尾の後、確かにメゴチ、ホタテ、タラの芽、蕗の薹、牡蠣、ワカサギ、白魚、海老すり身入り椎茸とアイテムは豊富でしたが質はそれほどでもありません。ウリの海苔で巻いたウニも明礬が強くてイマイチでした。チェック時に明細を提示するのは外人客への配慮なのか。1万4000円となった「お任せコース」に、しっかり「お通し」として400円が加算されているのには唖然。街場の店ではない天下の天一が、コース代金のほかにこんなみみっちい加算をするのはみっともない。加えて私は言いたい。機能していると思えない男性スタッフをリストラしてサービス料を減らす努力をしたらどうか。10数人の客に対して油の注ぎ足しはあったが全交換がないのもケチりすぎ。多店舗有名店にCP良い店なし、はまたまた証明されました。

2007年02月10日

昼はお得だが夜は高すぎる、いわ井

銀座の有名鮨屋「きよ田」を出る際気がついた向かい側の小さな店、天冨羅 いわ井。かなり前からオープンしていたそうですが、まったく知りませんでした。何となく良さそうな気がしまして、まずは昼に飛び込みました。
カウンター10席の主人と女将の小さなお店。カウンタートップは化粧版、厨房側の壁はタイル張りと高級感はないですが、店内は整然と片付けられており清潔感も上々。「みかわ」とはえらい違いであります。昼の定食は、3150円、5250円、7350円のコースの他、2625円の天丼があります。何回も訪問できないのでまずは最高値のコースを注文。削りたての鰹節をかけた小松菜煮浸しの後、天麩羅がスタートします。海老2尾、冑も2つとこの価格にしては量も質もまずまず。キス、ホタテとレア気味で揚げるのは友里好み。反対にユリネはかなりしっかり火を通していました。穴子もしっかり。当たり前ですが、「みかわ」のように色々なタネをごっちゃに揚げていないのでタネ毎に揚げ管理が出来ています。主人は「天一」出身とのこと、客を詰め込み回転させて利益を優先する営業をしなければ、まともな天麩羅を提供できるという証左であります。特にこの店のウリは野菜でしょうか。シイタケはかなり立派、アスパラ、レンコンと分厚く食感もあり、しし唐は香りも良かった。かなり満足したのですが、期待して訪問した夜では肩透かしとなりました。
コースもありますが、店を信じて「お任せ」をオーダー。つぶ貝山葵漬けの小鉢の後出た海老は、昼と同じく2尾。海苔で巻いたウニ、牡蠣、鮑と高級食材はまずまず。途中に出る「萩の鮪」のヅケの必要性に疑問を感じながら、追加の形で山牛蒡、穴子、ユリネ、イカを頼んで〆は天丼でしたが、支払額が一人2万円を軽く超えたのに私は驚いたのです。料理だけで一人1万7000円前後の計算。これならば、「楽亭」で刺身(4000円)を追加した最高値コース(1万2000円)の方が安いではないか。東京屈指の名店より高いのはおかしい。いくら野菜が良いとはいっても、刺身の量も少なく「お任せ」でも1万3000円前後にしなければ食後感が良くはならない。天丼のタレがやや甘いのも気になるところですが、この店の有効な利用法は昼のコースに限ります。

2006年10月29日

昔の面影はないくらいさびしい、はやし

高額天麩羅のハシリの店でした。既にその役割を終えたというか、完全な賞味期限切れになった文藝春秋社の「東京いい店うまい店」では発刊当初から現在まで最高評価の5つ星にランクされています。一昨年、執筆人はじめ店選定を一新してテコ入れをしてきましたが、参考にしている人が少ないのか最高評価しても影響力がないようで、集客に苦労しているのではないか。私の訪問時は我々以外、外人を含め一人客が2人居ただけでした。
引き戸を開けるとカウンターは8席ほど。「みかわ」が3回転、「近藤」も2回転するほど盛況なのに比べて、キャパの小さなこの店で、カウンターが半分も埋まっていないのには驚きました。なんとも寂しい限り。
お任せコースが始まる前の主人のパフォーマンスはいらないのではないか。
客に生きた海老を3尾わざわざ見せるのですが、こんな安っぽいサービス、食べ慣れた客にはまったく不必要。ミーハー向けのこのサービスは食通や食べ慣れた客には逆効果というものです。
その海老3尾は、最初は半生、次が強めの揚げ、最後は客のお好みの揚げ方で供されます。客の好みに合わせる融通の利く店と感じるか、海老はこの揚げ方が一番といった職人の拘りがないと感じるか。私はなぜこんなつまらないサービスをするのか、店の格を落とすだけで何のメリットもないと考えます。肝心の海老ですが、タネ質は上レベルで旨みを感じましたが、私はより旨みを引き出す揚げ方で3尾続けて食べたかった。タネが大振りだとの評判ですが、その割に種類は少ない。大きな椎茸はよかったですが、スミイカではなく肉厚もあるモンゴイカはイマイチ。しし唐、ふきのとう、銀杏、キスなどの後、生っぽい穴子には驚きました。低温で揚げることを一つのウリにしているようですが、穴子は高温でカリッと揚げたほうが美味しいはず。埋没気味で、低温揚げを全面に出したいのでしょうが、タネに合わせた柔軟な揚げ方が必要と考えます。
刺身もなく、〆に掻き揚げもでません。豆腐ベースのフリカケでご飯を2膳食べてようやくお腹一杯になりました。お酒を飲んで一人1万8千円前後は、タネ数少なく、刺身なく、掻き揚げもない「3ない状態」で、余りにCP悪過ぎです。客が少ないのは当然です。