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2007年05月12日

デカいだけで大味の鰻、神田きくかわ

この本店を入れて都内に3店舗展開するネットで人気の鰻専門店。すべて直営店だと思うのですが、この店は愛知県幡豆郡一色町に直営養魚場があると公開しています。3店舗で養殖場を持って採算がとれるのでしょうか。
神田の昔風の一軒家で雰囲気はでています。1階が禁煙、2階が喫煙可と分煙システムで昼時の店内は満席。ほとんどの人が頼んでいる「うな重」は大きさによって、(イ)、(ロ)、(ハ)と奇妙な名づけで、2620円、3150円、3670円と立地、店構えの割に高い値付けです。「ぐるなび」では、「江戸前のうなぎ料理は時間がかかる。せかされるとはんぱな仕事になるんでね。でもかならずいい仕事するからまかせなよ」と38分かかると書いてあったのですが、真ん中の重は20分かからず出てきました。その重を一目見てびっくり。J.C.オカザワ氏は量が多いと言っていましたが、尻尾が重からかなりはみ出る大鰻が品なく2匹乗っております。見ただけでひいてしまいましたが、目を瞑って口に含むとまず詰めの緩いタレの甘みを感じ、次は脂味だけで、肝心の鰻自身の旨みを感じません。品質が安定した養殖鰻のいいところを感じず、山椒を多めにかけてやっと食べきることができました。おかげで私は今まで過大評価でたいしたことないと言ってきた「野田岩」や「尾花」の鰻を見直したくらいです。
ネットではサービスが悪いとありますが、私に言わせると「鰻」が悪い。どう考えても高額鰻店が扱っている品質の良い「養殖鰻」と異なるもの、質だけの問題ではなく、種類が違うかもしれない
と感じたのです。紹介してくれたJCも、種が違う可能性があると後日言っておりました。その正否は別にして、高額店の仕入れる養殖鰻とは違う質のものを使用しているのは間違いない。自社の養殖場をもつ理由はここにあるのでしょうか。「養殖ハマチ」にも似たくどい脂を感じる食後感の鰻蒲焼。そりゃ量も重要な要素でありますが、大きくて量があれば何でも良いって訳ではありません。行列作って食べに行く客が多いのですが、皆さん、他の高額鰻屋と同じようなレベルの鰻だと思って食べているのでしょうか。価格だけは高額店ですが、過大評価の他店よりも食後感が悪い店。友里がおススメできる鰻屋ではありませんでした。

2006年10月23日

鰻屋にしては料理が多すぎる、いちのや 西麻布店

流行っていなかった和食屋跡に出来た一軒屋の鰻屋、いちのや。私は「やらせ」のTVを見るまで、この鰻屋の存在をまったく知りませんでした。2年前の年末だったと記憶しております、ホテル西洋銀座で行われた一人100万円のディナー(宿泊費別)の放映。世界的に有名なワイン評論家、ロバート・パーカー氏の出版記念として、彼が選んだ究極のボルドーワイン12本と、有名シェフ、ロブションが食材に糸目をつけず調理する料理が出ると言っても、100万円は余りに高いのではないか。同時期、同価格で恵比寿の「ジョエル・ロブション」でも企画されましたが諸般の事情で中止になったくらいですから、参加者を集めるのは大変だったようです。この「究極の晩餐会」、番組の後半は参加者をレポートするもので、その一人が「いちのや」の若き主人だったと言うわけです。取材に応じる条件だったのか、参加者が集まらず頼み込んだからか、しっかりこの鰻屋を番組で紹介していましたから、仮に主人が100万円払ったとしても充分元が取れたと考えます。
川越や神泉にもあるという「いちのや」、レトロな内装で外観は悪くないのですが、テーブルに常備されている灰皿、席で携帯使い放題の客、と環境は良くありません。鰻重が2800円以上と他の有名処より強気の価格設定で、鰻が入る会席コースが7500円から1万5千円まで用意されているなど、ただの鰻専門店とは違います。しかし、居酒屋メニューのもずくや秋刀魚から、高額和食の鱧、石鯛まで扱う間口の広さに私は疑問であります。和食屋が鰻を出すならともかく、鰻屋が出す高額食材を鰻屋の調理技術で食べて満足できるでしょうか。単品専門店と和食では技術のベースが違うのですから、ここでは鰻だけを味わった方が無難であります。さて肝心の鰻重。オーダーしてから50分近く待たされます。会席コースでも、料理の順番に関係なく鰻が焼けたら直ぐ出すそうですから、マイペースな経営です。待ち時間に食したうざく(900円)、この鰻だけどうして早く焼けるのか疑問でしたが、まったく凡庸。肝焼きも普通レベルで、待ちわびた鰻重は蒸し過ぎなのかただ柔らかく、タレも甘すぎ。秘伝のタレといってもベースは醤油と味醂の調合だけですから、このうたい文句に乗せられてはいけません。野田岩よりも柔らかいかもしれない食感のない蒲焼、もとい、「蒲蒸し」に値付けの高い日本酒と二三のツマミを頼んで軽く5千円突破。高額店の養殖鰻に差があるわけではないだけに、わざわざ行く必用はないと考えます。

注)
掲載後、「いちのや」の主人からクレームがあったそうです。公平を保つため、先方の言い分も載せさせていただきます。
「鰻屋が出す高額食材を鰻屋の調理技術で食べて満足できるでしょうか」に対して、「ウチは4人の和食専門の調理人を雇っている」
また柔らかすぎる鰻重について、「これは当店独特の技術だ」
そして、100万円ディナーTV出演の件では、「あれはテレビ局に頼まれ、引き受けただけ。自分から売り込んだわけではない」

鰻がウリの店で、和食専門の料理人を常時雇っていては、固定費がさぞかしかかることでしょう。CPは当然落下すると誰でも感じてしまいます。
柔らかいのは「蒸し」を強くしただけだと思うのですが、これを独特の技術というのでしょうか。
確かTVでは、100万円ディナーの参加者を、帰り際任意に声をかけて取材すると言うスタイルでした。
自宅拝見の後、本業を聞いて店の紹介をしていましたが、「頼まれて(出演を)引き受けた」となると、あのTV番組は完全な「やらせ」だと認めることになります。TV局としてはこうはっきり宣言されたら困るんではないでしょうか。