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2008年01月26日

客がスシ詰めされる人気店、まつ勘 麻布十番店

銀座「勘八」出身の主人が客を詰め込んで何回転もさせる盛況寿司屋であります。麻布十番駅から徒歩で10分ほど、街場寿司の店構えながら、開店時から客が押し寄せる理由は何なのか。当日の予約ではテーブル席しか割り当てられなかった友里は、前日予約でやっとカウンターに座れました。
このカウンター幅(実際はL字型です)だと高額鮨屋なら10名程度でしょうが、この店は17名詰め込んできます。まさにこれが本当のスシ詰めか。隣客と肩が触れ合うどころか密着して身動きがとれません。
つけ場には4人の職人を配し、親方は中央で何やらタネを触っているだけで握りません。確実に親方一人分の人件費が余計にかかっております。
「勘」の字がつく寿司屋の特徴であるツマミの豊富さはこの店も健在です。
白魚&イクラ、毛蟹、カツオ、アン肝、ツミレ、ホタテ磯辺焼きなどが矢継ぎ早に出てきます。ツマミの皿がいくつか並んでしまうこともあり、その皿の片付けも早過ぎ。客の回転を上げようとする営業努力があまりに露骨でありました。
握りは煮切りを引いていますが酢飯も含めてまったくの平均レベル。コハダ、煮穴子、キス昆布、煮タコなど仕事タネもありますが、サンマの炙りや梅茶碗蒸しなど海鮮系に属する寿司屋と判断しました。塩で食べるアン肝、変な山葵のついた焦げ臭い穴子の白焼き、水っぽい赤身、甘すぎる玉子焼きや生姜など、こりゃ駄目だと思うタネもありましたが、ビールにお酒を飲んで一人1万円かかりません。女性スタッフがつけ爪をし、職人の一人が傷テープ巻いて握っているなど見栄えや衛生上の問題点がありましたが、この価格ならそう文句は言えないか。
早く回転させようと、わんこそばのように仕掛けてくるのが難点ですが、お好みやお任せをカウンターで食べると同じような価格になる「美登利寿司」よりはまともな寿司だと考えます。
ただし最後に大きな問題点を発見しました。友里得意のカードの件であります。この店もカード使用時は5%上乗せするという近張り紙がレジにありました。手数料を客に転嫁する行為は、カード会社との契約違反になるはずです。スシ詰めやツマミの早出しはまだ許せるとしても、この違反行為はすぐさま改めるべきでしょう。

2007年12月28日

東京進出はあまりに無謀、寿司 はせ川

以前はグッズショップの出店に興味を持っていたタレントですが、最近は飲食店へシフトしてきたようです。西麻布に、和田アキ子の居酒屋に続いてオープンしてきたのが島田紳助の「寿司 はせ川」であります。
ジョージアンクラブの正面のビル2階。オープンして1ヶ月経つのに階段脇にはタレントから送られた祝花のプレートが貼り付けたままです。彦摩呂、うつみ宮土理、石田純一などなど。このセンスに料理のクオリティを期待する食通がいるとは思えません。
店内はカウンター14席に個室が7室と大箱で、職人たちはイヤホンとマイクをつけていてまるでダイニング。まともな寿司屋に見えません。カウンターに向って右端には鮑やサザエが入った水槽がありましたからますます興ざめです。
寿司会席もありますが寿司コースは1万円と1万3000円に2万円(予約だけ)のお任せもあります。まずは様子見と真ん中のコースをオーダーしました。
突き出し、先付けのタラ白子や白バイガイ、海老芋寿司は廉価な和食屋レベル。青森ヒラメ薄造りはパサパサで旨みなし。メダイの幽庵焼き、鰻の柳川風もわざわざ寿司屋で提供するレベルではない。これらの料理はシェアのため大皿でカウンターに並べられます。奥行きが不自然に広かった意味がわかりました。
肝心の握りも駄目。産地名付きですが、鯛、戻り鰹、ヒラメの質が良くない。境港のズワイと言たったが解禁の11月はまだ先だぞ。穴子は生臭く、馬糞ウニは明礬がきつい。そして握りは茗荷もいれてわずか10個で巻物なしと総量も少な過ぎです。でもこの握りなら追加する気がしません。その後他店でお腹を満たしたのですが、2万円のお任せを頼まなかったのがせめてもの救いでありました。
ビールグラスはブラウンマイスターのロゴ入り、廉価な店ではないのですからメーカー提供品を使うのはいかがなものか。しかも洗い場が一緒なのか、グラスが生臭かった。
紳助は東京のまともな高額鮨屋へ行ったことあるのでしょうか。若い社員から「東京で勝負させてくれ」の願いで進出したそうですが、まったくのリサーチ不足。近辺の鮨屋とまともに勝負できるレベルではなく、タレント好きでミーハーな方にしかおススメできない寿司屋でありました。

2007年12月08日

浅草の寿司屋に銭形平次がいた、鎌寿司

本人はいっぱしの食通のつもりでいるJ.C.オカザワ。懲りもせず最近も何冊か本を出したそうで、売れないライターに機会を与え続ける出版社の援助精神には頭が下がります。そのJCが友里に勧めた寿司屋が田原町の「鎌寿司」。風情を感じる佇まいに、塗りのはげたカウンタートップ、浅草なのに主人は栃木訛りとかなりディープなひと時でした。
ツマミでは突き出しの後に出た自家製の「即席塩辛」、拘りの烏賊を使用していて調味料疑惑はありますが悪くはない。かなり漬け込んだヅケ、塩強めのコハダと最近の若手と違って仕事はかなりクラシックであります。煮ハマはアサリと見間違うほどの小ぶり。国産物だとのことですが、それでは他店の大きな煮ハマは海外産なのか。食べ応えはなかったですが、味は良かった。真子ガレイのシコシコ感、アワビは生しかないなど私的には疑問のタネもありましたが、海鮮系お好きなJC好みの寿司屋にしてはまずまずのツマミだったのです。
しかし、握りに移ってからの驚きをどう形容していいのか。なんとこの主人、握りを客前へ投げつけてくるのです。その様は正に浅草の銭形平次か。繊細な握りほど崩れないよう丁寧に扱わなければならないはずです。置かずに手渡しする主人もいるくらいですから。ところがこの主人、常連含めて誰にでも握りを投げつけます。時折塗られた煮切りの飛沫らしきものが顔にかかりました。こりゃ堪りません。投げつけられてもビクともしない「鉄の握り」なのかもしれませんが、こんなのありか。実際口へ入れても歯が折れませんでしたからそれほど固いとは思いませんが、このパフォーマンスは問題外の外。柔らかければ良いってものではありませんけど、投げつけても型崩れしない握りはもっと問題であります。
肝心の味わいは、メバチと思われる鮪系や玉子はまずまず。車海老の半生、美登利寿司を思い出すデカ過ぎの穴子、鰺ではなく関アジ、と疑問のタネも多かったですが、かなり飲んで食べて一人1万4000円前後。
酢飯は塩だけ強くてバランス悪く、主人の出身地の栃木から仕入れる干瓢も味濃すぎではありますが、タネ質と支払を考えての結論は、ご近所限定でなんとか許容範囲に踏みとどまりました。

2007年11月17日

海鮮系の高額な街場寿司屋、大塚 高勢

昔はある種の特区だったのでしょうか、性病の看板を掲げた病院(今は営業していないみたい)、ラブホ、2階建の小料理屋、お好み焼きに料亭まである大塚駅の一角。フードライター達が絶賛する江戸料理「なべ家」もあります。この店、ラブホに隣接していまして、尾行されていたらラブホに入ると思われるのではないかと訪問の度に友里は冷や汗ものであります。
さてこの一帯にあるのが浅草にあった「高勢」の流れをくむ「大塚 高勢」であります。ネットでの評判、特にヘビーなレビュアーの絶賛に釣られてまずは昼に訪問しました。
9席ほどのカウンター、街場寿司のシンボルといもいえるショーケースには海鮮寿司屋お約束の毛蟹もしっかり鎮座。しかし弟子を叱咤する主人の指の傷絆創膏を見て思わず引いてしまいました。結構気にせずこれやっている街場の寿司屋、多いんです。
昼でしたので、アン肝と鯛の子の後、握りに移行。手数は6〜7手と少ないですが、予想通り特徴を感じない緩い酢飯。煮切を引いていなったので要求すると、キッコーマンの醤油差しから注いで刷毛で引いてきました。これって煮切っていない?辛過ぎです。
コハダが〆すぎで酢飯とバランス悪く、マグロ、特に赤身は水っぽくイマイチでしたが、17ケほど食べてぬる燗2つで1万円前後と思ったより安く街場寿司では許容範囲と納得したのです。ところがネットをよく見ると夜は一人2万円前後とかなり高いことが判明。検証に再訪してその高価格を確認しました。
「なべ家」の後、オミヤに太巻きでも持ち帰ろうと扉を開けると結構夜も常連で盛況です。太巻きだけでは何だと連れとツマミ数種に握りもカスゴ、アジ、コハダと単価の安そうなタネを少々。タネは冷やし過ぎで都心の高額店とかなり完成度が落ちることを再確認。太巻き2本のオミヤを加えてわずかなツマミと握りで1万6000円の請求でした。タネが14種入っているという太巻きは5000円相当なのか。ピンクすぎるオボロ、味濃いシイタケや干瓢など自家製ではなく業務用と思われますが、この支払をみて夜はツマミと握りで2万円前後すると確信したのです。このネタ、仕事、酢飯ではあまりに高過ぎ。この支払なら銀座でも有名な江戸前鮨屋で堪能出来るというものです。

2007年11月03日

あの店は今・・・、兼定

昨年不祥事を起こした「リストランテ ヒロ」の元総料理長や味が分からない放送作家の代表格、小山薫堂氏など業界人が絶賛しているのがかえって足を引っ張っていると思われる六本木の寿司屋「兼定」。それでも集客は順調なようです。敢えてこの高額店を「鮨屋」ではなく「寿司屋」と表したのは、久兵衛出身の主人が供するツマミと握りはどちらかというと私が「海鮮系」として「江戸前」と区別するスシのジャンルに入るものだからです。昨秋のリニューアル後はじめて訪れましたが、店内やレストルームが奇麗になったくらいで大きな変化がありません。店内配置、ツマミや握り、そして支払額は以前とほとんど変わらず満足して店を後にすることができました。
この時期の生イクラ、メヒカリ、枝豆など定番に続いて出たヒラメやアジ、鯖のツマミもまずまず美味しい。カツオはちょっと風味が薄かったかも。鮨ネタではみられないアン肝やハゼも悪くはなかった。10種以上のツマミの後握りへ移るのはいつもの通り。最近は江戸前鮨に慣れてしまって酢飯が物足りなく、煮切りもやや甘く感じましたが、コハダ、ヅケ、中トロ、スミイカと江戸前定番もグッド。カスゴが水っぽく、穴子の塩は個人的に好きではなく、玉子はただ薄く焼いただけと若干の不満はありましたが、ウリである鰺の押し寿司に鯖の棒寿司を食べて機嫌は直りました。
結構飲んで2時間半粘って支払は2万数千円。このタネ質、タネ数では食後感が悪くなるはずがありません。カワハギだ、タイラガイだ、ヒラメの皮炙りだとアイテム多すぎて何を食べたか忘れてしまうのがこの店の難点か。おかげで肝心のエビを食べるのを忘れてしまいました。
他の高額鮨店のレベルが上がって以前ほどの傑出さがなくなった感もある創作系寿司屋でありますが、江戸前鮨信奉者でも高評価を与える人が多いと考えます。毛蟹を置いてある変な寿司屋がお好みで海鮮系寿司屋専門のJ.C.オカザワも褒めている店ですから、江戸前を好まない人にはよりおススメです。
以前主人は2回転させないと言っていましたが、我々の退出を待っている客が20時過ぎに来店していました。「しみづ」や「あら輝」のように売上増目的で時間制にする暴挙に出ないことを祈ります。

2007年10月27日

あの店は今・・・、銀座 奈可久

J.C.オカザワが褒めている鮨屋の中で数少ない当りの店と確認し再訪もしていたのですが、この夏、鮨屋の激戦区として知られる金春通り8丁目のビルに移転してきました。近辺には実力はさておき日本一有名な「久兵衛」はじめ、「小笹寿し」、「くわ野」、「青空」と友里も薦める人気店がひしめいています。地代が上がり、果たして以前の食後感を得ることが出来るかどうか、この秋口に友里は訪問しました。
飲食専門ビルの6階、カウンターは8席程ながらテーブルに2つの小上がりと、かなり大箱になっています。2番手の他若い衆、そして女性とスタッフ陣容も倍増し、あの氷柱も立派になっておりました。かなり固定費がアップしたのは一目瞭然、CP悪化を心配しながらツマミからお任せが始まりました。
白魚、カワハギ、海老味噌、トリガイなど高額店で使われるツマミが出てきてビックリ。隣では生牡蠣まででていました。煮物や鮨タネを使っていた以前よりかなりグレードアップと言うか見栄を張ったツマミタネの品揃えであります。良く言えば高級鮨屋の仲間入りですが、ある意味特徴だった「地味さ」がなくなり「高額鮨屋」との差がなくなってしまって少し残念。蛸の桜煮など相変わらず美味しいので、見映えが良くなく仕込みの割に高額請求できないツマミにもっと力を入れていただきたいものです。
握りでは酢飯の酢が少し強くなったような気がしますが充分許容範囲。強めに〆たコハダや白身によくマッチしております。鯖、中トロも良く、この時期難しい赤身も悪くはなかった。気に入っているオミヤの太巻きは2番手が造っていましたが、穴子や玉子がドーンと入っており、やや味濃くなっていましたが相変わらず美味しかった。
気になる支払いは、結構飲んで一人2万数千円。この立地と陣容、そしてツマミの充実では数千円のアップは仕方がないかもしれません。最近の傾向なのか、25時過ぎまで営業しているようで、22時過ぎはフリの客を狙って回転させる方針だとか。相変わらず謙虚な主人の接客は一人客でもゆっくり楽しめることでしょう。このまま勘違いせず真っ当に営業していただくことを願いたい。近辺で「小笹寿し」、「青空」と並んで再訪したい鮨屋が増えて選択に困ることになりました。

2007年10月07日

確かに握りは沈んだけれど・・・、はしぐち

誰が言い出したか「沈む鮨」として鮨好きの間で評判の紀尾井町「鮨 はしぐち」。果たして握りが沈んで良いことがあるのか疑問の友里は、初めて今年訪問しました。
わずか6席のカウンター、主人と女将だけの小さな鮨屋。他の人気店と違い、ショーケースがあるのには驚きました。
まずはツマミからスタートです。生の真子鰈、まずまずの質ですが供された肝醤油で食べると白身の味がわからなくなります。ショーケースにあった殻付き生トリガイの軽い炙りや中トロ、トロの照り焼きもまずまず美味しい。ただ、〆た鰈はここまで昆布の旨みをつける必要があるのか疑問。玉子焼きも標準レベルでした。
そして楽しみだった握り、確かに主人が置いた握り鮨はちょっと沈むように見えます。沈むほど柔らかい握りだということでしょうか。米酢の酢飯はさほど特徴なく口中でほどける感じもしませんが、タネ質を邪魔することなくバランスは良い。ただ握りの手数がかなり多いのが気になりました。また主人の掌の大きいこと。未だかってこれほど大きな手の鮨職人をみたことがありません。カウンターに座り、主人の大きな掌でかなりの秒数握り続けられる握りを見るのはちょっと苦痛であります。握りの技術を語る際、柔らかさ、形状に加えて手数の少なさも大きな要素となります。形成しながらも如何に掌でいじくる時間を少なくするか、東京の名店と言われているのですから、「沈む」より手数の減少に力を入れていただきたいと考えます。
コハダ、カスゴなど塩が緩めで好みが分かれるところですが、この酢飯に相性は悪くはない。ウニ、貝類なども最高レベルとは言えないまでも総合的には標準以上。穴子のツメが甘すぎる、タネ質が少ない、と友里にはドンピシャリな鮨屋ではありませんでしたが、支払額を考えるとその食後感はかなり良かった。その日のタネ数などで支払額がぶれますが、ビールにかなりの日本酒を飲んで平均すると一人2万円数千円です。銀座でこれほど「鮪系」を多く食べると3万円は突破するでしょう。好みが割れる〆物に比べて貝類は誰もが認める美味しさ。寡黙な主人に気がきく女将のサービスと、接待ではなく個人利用には充分満足いく鮨屋であると考えます。キャパがないだけに、利用人数は2名が限界です。

2007年09月22日

修業元の次郎より使い勝手やCPが段違い、青空

昼は30分で3万円弱、夜も1時間粘れず4万円近く請求される銀座の「すきやばし 次郎」。主人の小野二郎さんとベッタリの山本益博氏以外、こんな法外な時間単価の鮨屋へリピートする客は経費族かマゾな人しかいないと思うのですが、その3番手が銀座8丁目に「銀座 青空(はるたか)」を出しました。
近辺は「久兵衛」、「小笹寿し」、「くわ野」、「奈可久」、「ほしな」など新旧の人気店がひしめく激戦地。
いずれの店もツマミを充実させているだけに、酒飲みを軽んじる店で修業した高橋青空氏がどのような営業をするか非常に興味がありました。結論から言わせていただくと、修業店の悪い所を修正し、数少ない良い所を維持した食後感の良い鮨屋。
カウンター8席と小上がり1つのキャパに女将、若い衆、そして女性とスタッフ数は充分。雑居ビルの3階ですが思ったより内装も豪華です。
緊張感ない中、ツマミとしてのヒラメ、タコ、〆鯖はまずまずの質。「次郎」ならこれで終わりですが、その後アン肝など酒肴がでてきたのには驚きました。修行店ではありえない。練馬の他店批判で有名な「鮨処 すゞ木」の主人が「次郎の弟子がツマミを習いに通ってきた」という自慢話をしていたのを思い出しました。
ビールとぬる燗でゆっくりツマミを楽しんだ後握りへ移行。ちょっと硬めの煮ハマの他は、赤身、中トロ、トロの3連発にコハダ、大きな茹でエビ、子柱軍艦巻きなど「次郎」とほとんど変わりません。特に仕事をしたタネは同じ。ついこの間まで「次郎」で仕込みをやっており、仕入れルートも同じだから当然か。
握りがやや硬めで好みがわかれるところですが、ツマミ、握り、お酒を楽しんだ2時間超で支払は2万数千円。「次郎」でこれだけ粘ったら軽く倍以上の請求ですから、銀座の他の高額店と比べても決して高くないこの値付けは評価に値します。
主人は傲慢さなく客への態度まずまず、せかさずゆっくり楽しませ支払額も妥当、と「次郎」の悪いところを修正し、タネ、仕事とほとんど違いのない鮨を提供する「青空」。23時半までの営業で何回転かさせていますが、「しみづ」や「あら輝」のような時間制限がないので友里としては銀座の中では再訪したい鮨屋の一つとなりました。今後も、清水氏や荒木氏のような「勘違い」をしないことを切に望みます。

2007年09月08日

あの店は今・・・、あら輝

一説には「日本一予約の取りにくい鮨屋」だとか。「東京一の鮨屋」といった絶賛も耳に入ってきます。確かに2回転時間制限入れ替え制営業の夜は、数か月先しか予約が入らないので「日本一行きにくい鮨屋」であることは間違いないでしょうが、肝心の鮨はどうなのか。数年ぶりに訪問した友里の結論は、やっぱりただの立地の妙に後押しされただけの「過大評価鮨屋」でありました。
主人の荒木水都弘氏、鮨好きの新聞人・早瀬圭一氏の著書によると「水都弘」は本名ではなく当て字だとか。タレントでもない鮨職人が当て字を使うというその発想、いやその「勘違い」に驚きです。
カウンターに横一列に並んだ客が供される同じツマミや握りを同時に食べ続ける様は、養鶏場の鶏と大差ないではないか。傍で見ると滑稽なだけです。
完全お任せのコースですが、星鰈、蒸し鮑、馬糞ウニとアイテム立派ながら質はどうってことない。自慢の赤身、中トロ、トロ、蛇腹のマグロ4連発も時期的な問題もありましたが質イマイチ。名物の「チョモランマ」、中トロ部分を3巻分使った大きな手巻きなのですが、そう有難がるものでもありません。中トロさえあれば家でも出来るレベルです。煮ハマ、シンコ、蒸し鮑、ヅケなど江戸前仕事がイマイチなのは師匠と言っている新津氏の負の面を受け継いでいるからか。玉子焼きどころか、白身の〆物や青魚もなく、これで江戸前鮨なのかと大いに疑問。酢飯も米が違うからか、握りの手数が多すぎるからか変にネバネバしていて駄目出しです。
店内は常連客主体で妙にサロン化して絶賛の言葉が飛び交っています。酔いが回ったからか「こんな美味しい鮨は初めてだ」と突っ伏して涙ぐんでいる客もいましたから、一種の洗脳・新興宗教状態に陥っていると考えます。こんなへりくだった客だけを相手にする職人に進歩なし。江戸前仕事が少ない訳です。上野毛という立地の妙による過大評価職人、銀座など激戦地への移店の噂を聞かないのは、このままではまったく通用しないと本人もわかっているからだと思います。最寄駅からタクシー使って一人2万円前後の江戸前仕事の少ないこの自称江戸前鮨。数か月前に予約して遠方から訪れる鮨屋ではないと考えます。

2007年04月22日

立地を考慮に入れてもCPが良い鮨屋、福元

下北沢で天然モノに拘っていると評判の「鮨 福元」。HPでは、その日のタネを産地と共に公開しています。かなり拘りのある店主だと以前から気になっておりまして、今年に入ってやっと訪問することが出来ました。
下北沢駅から徒歩10分以上、商店街を抜け住宅街のビル1階にあります。入り口がガラス戸なのが気になりますが、普請は別にして内装は清潔感よくまとまっています。8席のカウンターに小上がりが一つ、つけ場には主人の他、混めば2番手も立つようです。
HPでは、握り1人前3000円〜、オツマミ6〜7品と握り10〜11個のお任せが1万4000円〜、と価格を公開しています。普段着に近い客が多いことから近隣の常連が多いようで、ツマミからお任せの人、握りだけを頼む一人客と客ごとのオーダーに対応してくれるのは有難い。
主人は見た目と違ってかなり饒舌。閖上(ゆりあげ)の赤貝は駄目、白身は〆なければ駄目、熟成させすぎは駄目、と「次郎」など有名店の主人の主張を否定する大胆発言に驚きました。確かにツマミにでた白身は最近の熟成タネのようにパサパサしておらず食感もいい。定番の煮蛸、つくね芋とウニの和え物も悪くありません。そしてツマミには焼き物も1品つきます。
赤酢の酢飯を使った握りは、鮪、やや強めに〆たコハダ、〆た白身とまずまずバランスよくまとまっています。ヅケはその場でつけただけ、夏に小烏賊(スミイカの子)を使うが冬はヤリイカを使うなどクラシックな江戸前に拘っていない点は賛否が分かれるか。煮ハマや煮穴子に引かれたツメがやや緩く、反面干瓢がかなり味濃い点が気になりましたが、ツマミ、握り共、そこらの銀座の高級店と遜色ない出来栄えであります。最上のタネ質ではありませんが上の部類。仕事もまずまず。お任せではやや量が足りずいくつか追加してビールにぬる燗を3本ほどの支払いが1万8000円前後。城東地区にお住まいの方がわざわざ訪問する必要はないと思いますが、近隣や沿線にお住まいの方には、銀座や赤坂で2万円以上払うことなく同レベルの鮨が食べられるのでおススメです。ただし主人と2番手では握りに差がありますので、主人が一人で仕切る時、つまり月曜など空いている曜日に訪問したほうが無難でしょう。

2007年04月07日

銀座とはいえこのタネ質では高過ぎる、寿司仙

私は銀座の人気鮨屋「小笹寿し」を訪問する度に、その2軒先にあるこの鮨屋が気になっておりました。暗い短い路地に2軒の鮨屋が共存する不思議。店先にはお品書きがなく一見客も飛び込みにくい雰囲気に、もしかしたら隠れた名店かもと知人と予約を入れたのです。
まずは下見に一人で昼に訪問。カウンター12席、テーブル2卓と思ったより大箱でしたが、なかなか趣がある雰囲気です。客が居なかったのが気になりましたが、ツマミ少々と握りはお任せを頼みました。トリガイ、赤貝、ミルガイをつまみ、握りは2種のタネを一度に出してきます。ピッチが早く、12ケほどの握りをあっという間に食べ終わった請求は、ぬる燗2つで1万5000円超と驚きの高値。このタネ質と支払い額のギャップ、J.C.オカザワ風に表現すれば、「友里征耶、もんどりうって黒房下へ転げ落ちる」。タネはどれ一つ傑出というか上レベルではありません。鮪類はあまりに冷たすぎ。中トロ駄目、赤身も水っぽい。生の鮑、ウニ、干瓢、イクラ、甘すぎの玉子とどれも×。鯛やヒラメ、コハダ、煮ハマ、穴子も凡庸でありました。厚めに切ったタネをお結びのような丸っこい形に仕上げる握りは、地方の寿司屋で見かけるような無骨な形。酢飯も特徴がまったくなく、これで銀座の有名店と変わらない請求額なのですから噴飯ものであります。そして次週の夜に再訪し、更に追い討ちを食らう結果となりました。
夜なので多目にツマミを頼んだのが間違い。一つのタネで3〜4切れを分厚く出してくれるのですが、鯛、ヒラメ、鮪は最近の有名鮨屋と質にかなりの差があります。そしてクライマックスの請求額は何と一人2万7000円ではありませんか。銀座でも最高レベルの支払額です。主人も含めて接客は良いし、マスコミに露出していないので迷いましたが、はっきり書かせていただきます。このタネ質、仕事、握りでこの高額請求は、銀座とはいえ「勘違い」のし過ぎ、あまりに世間知らずというものです。どう見ても、1万数千円の価値しかありません。友里は2軒隣の「小笹寿し」へ食べに行くことを主人に提言したい。夜2回転する繁盛店との違いは何なのか、訪問時他に客は2名だけと集客に苦戦しているようですが、その原因がわかるでしょう。

2007年03月26日

県外の客が通うとは信じられない、鮨 渥美

神奈川県には県外にも多くの信者(リピーター)を持つ鮨屋がいくつかあると言われています。新子安の「八左エ門」、長谷の「以づ美」とこの「鮨 渥美」などですが、本当に遠方よりわざわざ行く価値があるのか。銀座の「奈可田」出身、タネは築地ではなくすべて横浜中央市場から仕入れていると知り、私は訪問を決意しました。
しかしそれにしても遠い。港南台駅からタクシーで2メーター、隠れ家的な店を予想していたのですが、バス道路に直接面しておりました。店前に「品書き」はありませんが、掲載されたページを開いた雑誌が飾ってあったのには驚きました。安っぽい印象を与えてしまいます。「信者」で満席を予想していたのに、その日は我々しか客が居なかったのも意外でした。
ツマミから「お任せ」ではじまりましたが、出すペースが早過ぎです。客2名だけなので早く店仕舞いしたいのか。定番の水蛸の煮物はまずまず。ヒラメは縁側がよくなかった。コハダ、スミイカ、アジ、ゲソ、トリガイヒモ焼き、ミルガイ炙りに玉子と、数は多いのですが、矢継ぎ早に出されるのでゆっくり飲んでいられません。握りも赤身、中トロ、ヅケ、車えび、さより、煮ハマ、赤貝、馬糞ウニ、穴子、タイラガイ、干瓢とタネ数もそこそこでレベルは低くないのですがどれも印象に残るものがない。干瓢がかなり甘かったのが記憶にあるくらいでした。主人は「魚屋に僕の気合が伝わるから市場で一番よいネタが仕入れられる」と豪語していますが、神奈川県一番のタネ質とはこの程度のものなのか。出身が「奈可田」ですから、江戸前仕事が強いはずもなく、はっきり言って特徴のない無難な鮨であると判断しました。支払額2万円前後、往復の約3時間(品川からとして)、傑出しないタネ質や仕事、を考えると県外というより近辺以外からわざわざ通うほどの価値は見出し難いというものです。ツマミ、握りとあっという間に終わったので、遠方ながら帰宅時刻が遅くならなかったのが唯一の救いでありました。

2007年02月10日

高額寿司店にTVは必要なのか、乾山

気軽な寿司店の位置づけの写楽、桂、勝どき、から高額寿司店を目指す古径、乾山などを全国に多店舗展開している「寿司田グループ」のフラッグシップ店、乾山銀座七丁目店。グループ店舗数はかなり多いですが、当初は「寿司田」からスタートしたと聞きました。「多店舗展開にCPの良い店なし」の定説が寿司業界にも当てはまるか。以前J.C.オカザワ氏から聞いていたこの店を打合せ帰りに偶然発見し、昼に迷わず飛び込みました。昨年10月末に現在のビル2階に移転しましたが、最初の訪問時は狭い路地に面した古い造りの店舗。客はほとんどおらず、つけっぱなしの小型TVの存在に驚いたのです。
ツマミからお任せで、シマアジ、アジ、トリガイとタネ質は中の上程度か。赤身は色も薄く中トロ含めて鮪はイマイチ。握りでは、酢飯に特徴なく、煮切りは要求しないと引いてこないなど、街場寿司屋の上級店といった位置づけと判断。炙る穴子、煮ハマはガス臭いと感じたのは先入観からか。〆ものが少なかったことからも、江戸前とは違う海鮮タネ系の寿司屋と言えるでしょう。ぬる燗飲んで1万5000円強の支払いに、この内容ではCP良いとは言えません。
移転後の新店も昼は客が少ないようです。大箱で内装は豪華になり、TVも薄型になりましたが健在。しかしなぜTVがあるのか。巨人戦を見ながら寿司をつまむ客層が多いということでしょうか。高級店を目指すならまず最初にリストラすべきがこのTVであると確信します。
山葵は太くて立派そうでしたが、その他は以前と同じレベルのタネ質。鯖は〆すぎで質もイマイチ。玉子は出汁巻きではなかったですが、業務用に大量生産した出来合いものと区別がつきません。2番手は握りの最終成形をまな板に置いて両手でやっていました。見ていて見苦しい。握りの技術を修練されることを望みます。
海鮮系のはずですがタネ数は多くなく、支払いは固定費増えても変わらず1万5000円前後。酢飯にまったく特徴なく、仕事に拘りもない。正にJC好みの寿司屋といえますが、夜の再訪は私にはあり得ません。多店舗展開の会社が経営する高額店にCP良い店なし、も定説であります。

2007年02月03日

銀座の鮨屋では穴場的存在、鮨 奈可久

J.C.オカザワのおススメ店にうまいものなし。
これ、彼と付き合い出して1年経った私の結論です。彼の推奨店を訪問して何度落胆したことか。特に昨秋出版した拙著「グルメバトル」の取材では、彼の提案した店ではずれまくって危うく体調と自分の味覚を崩すところでありました。そんなJCが昨年末コラムで褒めていたのがこの銀座の「奈可久」です。体調や味覚も戻り、また駄目さ加減を確認してやろうと訪問したのですが、意外やまともな鮨屋で驚いたのです。JCも下手な鉄砲数打てば当たるということでしょうか。
泰明小学校近く、主人と女性の2人の小さな店。「奈可田」系の店のシンボルであるつけ場の氷柱はやや貧弱ですが健在。手が足りなくて昼営業をやめ夜に絞っていますが、客入りは良いように見えません。
まずはツマミ。定番だけあって蛸の桜煮は旨い。
焼き物の他は鮨タネが主体となりますが、春子、〆鯖などタネ質、仕事と悪くありません。では握りはどうか。酢飯は流行の赤酢を使っておらず特徴あるものではないですが、タネとのバランスは良い。コハダ、煮ハマ、鯖、キスとかなりの鮨通でも許容範囲の出来ではないでしょうか。オボロをつけた蝦も面白い。かなり漬け込んだヅケ(奈可田とはスタイルが違う)は客によって好みが別れるでしょう。煮穴子、鯵と時節的なものか質に疑問のタネもありましたが、太巻きのオミヤを入れて一人2万円前後の支払いは、銀座では文句をつけられません。
そしてこの太巻き、美味しかったのか家人たちにすべて食べつくされてしまって味わうことができませんでした。どうしても味わいたくて再訪して持ち帰り、確かに美味しさを確認した次第です。
主人は謙虚で、一人客にも寛容な営業、しかも飛び込みで簡単に座れるほど空いている銀座の穴場といえる江戸前鮨屋。繁盛してきても「しみづ」のように制限時間での入れ替え制など客の居心地を考えない儲け第一主義に奔らない事を願うばかりです。
味センスが良いとはいえないJ.C.オカザワさん。でもこれだけスシを食べて紹介しまくれば、たまには当たりの店を紹介できるということが今回わかりました。なぜ客が少ないのか友里には不思議。銀座の穴場鮨屋としておススメです。

2007年01月28日

高額鮨店と考えればCPは良い、ふじ井

マスコミに露出していない宝町駅近くの鮨屋。CPが良いとの読者のおススメで知りました。初訪問は飛び込みで昼、雑居ビル1階のドアを開けると客はほとんど居ません。カウンター10席ですがテーブルが7卓と、女将と二人だけにしては大箱なのが意外でした。主人は与志乃出身なのであの「次郎」とは兄弟弟子の関係になりますが、まったく威圧感ないおとなしい人。「次郎」も含めて「水谷」、「松波」など兄弟弟子の店は「高価格」が特徴なのに、なぜCPが良いと言われるのか。ツマミを一口食べてその理由がわかりました。タネ質がそれほど高くないのです。夜1万5000円以上の店を高額鮨屋と位置づけるならば、その中では平均レベル。人件費もかからないし、地代も銀座より安いはずなので、安い値付けが出来る条件が揃っているのです。
コハダ、煮ハマ、煮穴子、玉子と江戸前仕事のアイテムはありますが、ヅケや白身の〆物には出会えませんでした。酢飯に兄弟弟子と違って赤酢を使用していたのも意外。握りは丸っこくて洗練さを感じませんが、ツマミと握りをお好みで頼み、ビールにぬる燗で1万数千円と予想通り銀座価格よりかなり安かった。
夜の予約電話で変わったシステムを知りました。予約は受けるのですが、カウンターは来店順で保障できないというのです。場合によってはテーブル席になるとのこと。昼の状況から夜の満席は考えられませんでしたが、高額鮨屋でテーブル席に着くほどつまらないことはありません。当日は連れを急かして早めに駆けつけ、年配の男同士やカップルなど比較的年齢層の高い客が居ましたが無事カウンターに座ることが出来ました。ツマミは鮨タネ主体で、4切れづつと豪快に出してきます。「お任せ」はなく「お好み」1本は、今趨勢の高額鮨屋に慣れた客には面倒くさいか。握りも何も言わなければ2貫づつでてきますから注意が必要です。ツマミを食べながらぬる燗でいい気持ちになってふと周囲を見回すとテーブル席まで満席状態。主人はテーブル客用に、別のタネ箱からあらかじめ切り置いた鮪をせっせと握り続けていました。カウンターとはタネが違うようです。
ツマミ、握りとしっかり食べてお酒を飲んで1万円台後半の支払い。高額鮨屋への入門店としておススメします。

2007年01月20日

ウリの玉子焼だけでは再訪できない、鮨処 金兵衛

肩書きが映画監督と著述業になっている早川光氏。しかし、その分野でどれほどの活躍をしているのでしょうか。「きららの仕事」という鮨コミックの原作者と言うとご存知の方がいるかもしれません。「東京最高のレストラン」の執筆陣の一員として、鮨屋限定で思い込みの激しい店賞賛コメントの連発に、私はお歳の方だと思っておりました。しかし、鮨ブームに乗って色々な雑誌の「鮨特集」に露出してきた自身の写真をみてビックリ。趣味悪い派手な服を着ていますが中年くらいと若いのに驚いたのです。その氏が絶賛している店の一つがこの新橋の鮨屋でした。
わずか8席のカウンターに老職人が二人。鮨ネタは、ショーケースの中のラップをかぶせたバットに保管されています。私の経験上、この方式の店に傑出店なし。
「お任せ」はなく「お好み」でツマミからスタート。鯖、ヒラメ、蒸鮑、煮ハマなど江戸前仕事しているものでまずはお手並み拝見です。切り身の数は多かったですが、タネ質普通で仕事も並。仕入れのレベルが直ぐわかる赤身は香りも薄く水っぽい。芝海老の旬が冬だけだということでこの時期にしか出さない玉子焼。早川氏は日本一と言っていますが、海老の風味がそれほど効いておらずこれが日本一とは暴走でしょう。握りはどうかというと、コハダを「喉が鳴るほど旨い」と表現していますが、使い方を間違っていますよ早川さん。見た目美味しく見え食べたくてうずうずする様が「喉が鳴る」と言うのです。無理にヨイショをするため少ない語彙の中から選んだのでしょうが的外れ。悪くはないですが傑出していません。同じく絶賛の煮ハマからも滋味や磯の香りを感じ取れない。どうしてこんなオーバーな表現をヨイショライターはしたがるのか。タネ質は並、握りは無骨で洗練されておらず、酢飯も特徴がない。仕事も中庸でぬる燗3本にビールで一人2万2000円前後と高くてCPも悪い。「東京最高のレストラン」06年版と最新07年版でのヨイショコメントはほとんど同じ文章を使いまわしていますが、料理の点数はナニゲに9点から8点へと下げておりました。ヨイショコメントは同じなのに評価だけ何故下げたのか、安倍首相と同じく、彼の辞書には「説明責任」という文言がありません。(わが国の首相の姓を変換ミスしていました。何か変だなと感じていたのですが、ここのところ首相としての優柔不断な対応や凡ミスの連続ですっかり影が薄くなったのが原因なのかあまり気になりませんでした。JCオカザワ氏はじめ読者の方々からのご指摘があり、修正させていただきます。)

2006年12月30日

ツマミと握りが驚くほど豊富、すし匠 斎藤

この7月にオープンしたばかりの赤坂の鮨屋。店名から四谷の「すし匠」系列であることがわかります。主人の斎藤氏は一時期NYの鮨屋でも働いていたとのこと。靴を脱いでの掘りごたつ式の白木のカウンターは余裕の配置の10席ですが、私は一々靴を脱ぐこのスタイルが好きではありません。面倒ですし、衛生的な面でも問題があるのではないか。
この店の特徴はなんと言ってもツマミの豊富さでしょう。兄弟弟子の西麻布の「まさ」と同じく、ツマミの合間に握りを出してくるスタイルで、酢飯は赤酢と米酢の2種を用意し、〆ものには赤酢の酢飯、その他は米酢の酢飯で握ってきます。乳児連れの若い夫婦にも門戸を開放する懐の深さもあります。
まずはカスゴの赤酢の酢飯握りでスタート。初っ端が握りという客の意表をついた仕掛けに驚きました。最終的にはツマミが20種に握りが10貫ほどでしょうか。記憶をたどっていくと、よくまあこれほどタネを揃えていると感心しました。ツマミで記憶に残っているのは鮭児。その希少なタネに鮨屋では初めて遭遇しました。昆布出汁に漬けた海水ウニ、カワハギ肝醤油、粒牡蠣、毛蟹など業界人、芸能人が喜ぶタネもあり、藁で燻した松輪の鯖、佐島の蛸、大間の鮪(たった1切れ)などブランド産地のタネもミーハー客対応で揃えています。浅草や銀座の老舗の江戸前仕事とは違う創作ツマミが主体ですが悪くはありません。アサリの小丼も最近は珍しくありませんが女性客には受けるでしょう。楽しくお酒がすすみます。
握りはやや小ぶり。ツマミが豊富ですから総量を考慮しているのでしょう。
如何にして多くのタネに最大公約数的に合う1種の酢飯を造り上げるかが職人の腕の見せどころであり、タネに合わせて一々酢飯を変えるのであればその苦労はいりません。私的には2種の酢飯を使い分けるパフォーマンスの必要性を感じませんが、一般には結構評判のようです。
接待よし、業界人よし、中年カップルよし、子連れよし、酒飲みよし、とあらゆる客層に対応しているタネ数豊富な鮨屋。赤坂という立地の割に、お酒をかなり飲んでも2万数千円という支払いもあり難い。最上級のタネ質ではないですが、一度は試されることをおススメします。

友里もビックリの他店メッタ斬り、鮨処 すゞ木

TVなどマスコミで持ち上げられている元鮨職人・新津武昭氏。名店と言われた「きよ田」の雇われ主人として有名でした。マスコミからカリスマに祭り上げられた新津氏ですが、彼の弟子だったことをウリにする若手鮨職人も多い。「あら輝」の荒木水都弘氏が特に有名です。そのカリスマ職人の師匠が伝説の鮨職人と言われ「きよ田」初代雇われ主人の故藤本繁蔵氏であります。読者から藤本氏の一番弟子だというこの店の情報を入手し私はすぐ訪問しました。
要町駅から徒歩15分以上、カウンター7席の主人と女将だけの街場店ですが、着席した瞬間から独特の「鈴木劇場」が始まります。鮨タネとは違うツマミを数多く出すお任せがスタートすると、女将はツマミへの拘りや主人の腕自慢をしゃべりまくります。カラスミ、塩辛、鯛酒蒸などが如何に他店と違うのかを力説する余り、主人も加って強烈な他店批判へと発展します。藤本繁蔵氏は60歳で包丁を置いたそうで、新津氏はその時まだ小僧。藤本氏から江戸前仕事は伝授されておらず、鮪の見立てくらいしか能がない、マスコミが勝手に持ち上げている「過大評価職人」だと言うのです。よってその弟子の「あら輝」もケチョンケチョンです。「次郎」もツマミに力を入れないのは回転上げて儲けたいだけ、「弁天山」の主人は築地に月一回しか行っていないなど場外乱闘にも突入しました。「次郎」から独立する弟子やマキシムのシェフがツマミの造り方を習いに来たという自慢話が毎回出るのはご愛嬌か。確かにツマミは独特の味加減。〆物、酢飯もかなり塩を利かせております。酒で儲けるつもりはないと日本酒はタダで持込可ですが、ワインはご法度。鮨にはまったく合わないとワインに執着する「寿司幸」も批判していました。予算はツマミや握りを含んだお任せで最高1万円ですから、タネ質に最上を求めるのは無理というもの。主人たちの口上以外のウリは、サヨリやコハダの細工握りと巻き簾を使わず綺麗に巻き上げる巻物で、その技量だけは必見です。ビールにぬる燗をかなり飲んで1万3千円前後。腕自慢に他店批判の独演会はかなり疲れますが、77歳になる主人は鮨業界の生き字引。ツマミや握り以外にも他店の裏話を楽しめる「鈴木劇場」、好きな人は病みつきになるかもしれません。

2006年12月09日

傑出していないが銀座ではお値打ち、ほかけ

本業は映画監督と自称していますが、「東京最高のレストラン」を主舞台に、鮨屋だけしか店評価出来ない早川光氏。「きららの仕事」という鮨漫画の原作者でもあるそうです。思い込みの激しいその論調からかなりの高齢者かと思ったのですが、雑誌の写真をみてびっくり。服装のセンスは悪いですが結構若いというか中年の人なんですね。その彼が、実名取材すると(つまり『特別待遇』です)最高の鮨を提供すると10店満点をつけているのが銀座の「ほかけ」です。三越裏の古びた一軒屋。夜営業に絞った若い主人の鮨屋が増えている中、年季の入った主人は昼夜鮨を握り続けております。
この店へ昼入る時の注意点。10席前後のカウンターは「お好み」を頼む客専用です。数千円の「お決まり」を食べる客はテーブルに座らされます。人のよると、この「お決まり」と「お好み」ではそのタネ質などに埋めようのない格差があるというのです。銀座の隠れた名店と言われるこの店では、昼も「お好み」を頼んでください。
さて、この主人、気が短いのでしょうか。客が食べるのを待っている間、指をバタバタさせてまな板などを叩いています。どうも忙しない。早く食べろと言う無言のプレッシャーになります。また、ツマミを投げ捨てるように雑に置くのもいかがなものか。江戸っ子は気が短いと言われても、あまり良い気はしません。
ツマミは厚めのものが3切れずつ出されます。鮨タネしかありませんが、結構食べ応えはあります。
この店の一番のウリがコハダだとか。頭の芯まで痺れてしまいそうに旨いと早川さんは言っています。ネットのレビューでは軽めの〆とありましたが私にはかなりしっかりした〆具合に感じます。確かに上レベルですが、この程度で一々痺れてしまっては、高額鮨屋巡りしたら簡単に脳卒中になってしまいますよ、早川さん。まったく大げさな人です。タネ質は最上ではなく特に鮪は赤身もトロも質が良いとは思えなかった。しかし、ツマミ5種に握りをかなり食べ、ぬる燗を3合に小瓶ビールで一人2万円前後。
昼もちょっとつまんで飲んで1万数千円。銀座の鮨屋でこの価格では多くを望むことは出来ません。タネ質、仕事、価格のバランスを見ると、銀座ではお値打ちな鮨屋でと言えます。来年半ば、三越増床で移転するそうです。

2006年11月26日

鮨屋か小料理屋か中途半端だけど・・・、おざき

和食で6年修業後、実家の寿司屋を手伝っていた若い主人が、ネガティヴな噂の多い「麻布十番 かどわき」跡に居抜きで今年オープンした「麻布十番 おざき」。13650円のコース1本ですが、ここはツマミを出す鮨屋というよりは握りを〆に出す小料理屋と考えてください。純粋な江戸前鮨屋と思って鮨通や鮨オタクが訪れるような店ではありません。カウンター6席、個室にテーブル1卓ですが、オープン当初に「東京カレンダー」で宣伝してもらったせいかいまのところ盛況です。
ツマミの合間に握りをちょっと出すというスタイルは「すし匠」系列の店ではよく見られます。しかしこの店は、鮪を2貫挟みますが7品ほど小料理が続いて、お決まりのような握りが8貫で〆となります。
訪問当時のメニューですが、ジュンサイと桃のジュレは桃が甘すぎ。定番というアン肝豆腐は、普通のアン肝の方が私は好み。濃厚な旨みが足りなく感じます。その次に天然マグロの握り2貫をはさみ、同じく定番の蟹ミソ入り毛蟹の甲羅蒸し焼き、秋田のフグとミンク鯨の刺身などが続きます。そしてゴマフグの白子焼き、鮑とフカひれの小鍋仕立て、ウニゼリー寄せ、最後の〆に握りが8貫。この価格から考えると料理は盛り沢山。毛蟹が小さい、白子はゴマフグか、握りに甘エビを出すのはいかがなものか、玉は出汁巻きではないか、といった文句をつけるつもりはありません。この価格でこれだけのアイテムの料理が楽しめるなら、目を瞑る範囲と考えます。出汁、煮切り、生姜と全体に甘めの味付けは好みの分かれるところ。私の好みではありませんが、最近の若手主人の鮨屋の傾向と言えるでしょう。玉も含めて握り鮨そのものは江戸前の拘りを感じませんが、7種ほどの小料理を含めてコース全体でこの設定価格を考えると、CPは悪いとは感じません。小瓶のビール、グラスワインにぬる燗を数本頼んで一人2万円弱。想定した予算をオーバーしたのは酒類が高いのでしょうか。主人は今のところ謙虚で店は満席。場所によっては2回転しておりました。早めに入ろうが遅めに入ろうが、1回転目は終わりが21時頃になるのが不満でありますが、江戸前に拘らずお酒と共に小料理と寿司を両方楽しみたい方にはおススメしていいお店です。

ただの海鮮系寿司屋だった、神田 すし昌

大手ファミレスの創業家に生まれながら自称食評論家として活動している横川潤氏。自分のバックと直接利害関係にある他店を論評することは、ダイハツの息子がトヨタや日産の車評論をするようなもので、公平性に欠けると思われがちですが、この人、原則的に「ヨイショ系」ですから心配は無用です。トラウマなのか生家と対極にあるグランメゾンに異常に甘いのも特徴。その彼が、「東京最高のレストラン」で高評価していたのがこの店です。寿司編のベストランキングをつくる上で外すわけにはいかないとのコメントに、知られざる名店かと飛びついた友里が甘かった。
まずは昼時に下見に訪れて店を間違えたかと思いました。昼は千円の寿司定食専門で、入りきれない客が店先に並んでいます。千円ランチの店がベストランキングに入るのか。入店を断念して帰宅後ネットで調べたところ、「ぐるなび」にクーポン券付で載っているではありませんか。上質のタネを使う高級鮨屋がクーポンを発行するはずがなく、結果は見えておりましたが、予約をして夜に再度訪問したのです。
1階がカウンターで2階が座敷になっている結構大箱な寿司屋。「大将」、「主任」と書かれたネームプレートつけている職人たちは体育会系のノリ。居酒屋風寿司屋のイメージです。煮込んだアン肝、蒸気で蒸したトロ、オリーブオイルのかかった茶碗蒸しなど目が点になるツマミが連続します。目先を変えた創作ツマミを出す店で「握り」に期待できるはずがありません。酢飯は一目で赤酢を使っているとわかる濃い色。しかし、肝心の味は塩も緩く特徴がありません。〆すぎたコハダは酢飯とバランス悪く、カスゴに乗せた甘すぎる昆布は余計。玉子は勿論この手の店ではお約束の「出汁巻き」でしかも梅味。干瓢も梅紫蘇を入れて巻くことを前提にしているようで、味が薄い。蒸鮑に柚子胡椒をつけるのもいかがなものか。ビールにお酒を4本、オミヤに太巻きをもらって一人1万円7千円の結論は、ただの街場の海鮮系寿司屋。決して鮨オタクや鮨通が好む店ではありません。天下がひっくり返っても東京の鮨屋10選に絶対入る店ではない。JCオカザワに続いて、寿司屋の評価がまったくあてにならないライターとして横川潤氏がわかっただけが収穫でした。

2006年11月03日

ゆったり出来て主人も威圧感ないのだがちょっと高め、すし処 宮葉

昔からある知る人ぞ知る浜松町の江戸前鮨屋。私は週刊誌でこの店独特の相汁(ともつゆ)という煮ハマグリの漬け込みを知って訪問しました。
つけ場には主人と年配の2番手二人。ショーケースがありますから、最近の店ではないことがすぐわかります。しかしこのショーケース、高めに位置し出し入れの扉がスリガラスですので、ブラインドとなり職人の手元がまったく見えません。タネのどの部位をどう捌いているか、まったく確認できないのが残念です。
お決まりや吹き寄せチラシもありますが、この店ではお好みやお任せを頼むべきでしょう。
酢飯はショッパすぎず甘すぎず、しっかり主張していて万人向きです。握りは適度な大きさで主人の手数は少なく、すばやく成型します。江戸前鮨は如何に手数少なくしっかり握るかが勝負の分かれ目。掌や指の接触時間が少ないとタネが温まらないからですが、最近の職人は技術がないからかやたらと弄繰り回し、最後の成型をまな板に置いて両手でしているのをみることがあります。ぜひ、この主人の握りの手際よさを確認してください。
ツマミの種類は多くないが産地直送で時期的に珍しいものが揃っているのも魅力的。春先でしたが、なぜか眼高鮑、天然の稚鮎などレアタネもありました。江戸前鮨としての仕事振りも悪くありません。タネ質は鮪を含めて上の部類か。ヒラメ、サヨリ、カスゴなどの〆ものもしっかりしています。そして一番のお目当てだった煮ハマ。この店ではハマグリの漬け込みと呼ぶそうですが、相汁に握りごとつけて食べます。当然酢飯はほどけるので、最後は汁ごと飲み干します。この相汁、ゆずの香りが強く結構甘い。私は普通にツメをつけた握りの方が好みですが、話のタネに試してみてもいいでしょう。貝類や穴子など煮物もまずまずと、傑出したものはないまでもタネの平均レベルは高い。ビールにぬる燗を飲み、ツマミ少々に握りで2万円弱。再訪時は、調子に乗って稚鮎や鮑をかなりつまんでしまい2万5千円を突破してしまいました。立地条件を考えると安い店ではないですが、ゆっくりお酒も楽しめ、主人の手際よい握りも楽しめます。知られていない店ですが、友里おススメの鮨屋の一つです。

2006年10月29日

酢飯は緩いがツマミが充実している、すし 椿

ここ数年、銀座や六本木、西麻布で鮨屋の出店ラッシュが続いていますが、この店も昨年オープンしたばかり。鮨オタクは見かけませんが、接待系や同伴系の客で盛況です。
出資者は別なのに、店名に自分の苗字をつける自称オーナー職人が多い中、この「椿」の若い板長は雇われであります。いくつかの店で修業したといった経歴も、最近の若手職人のお約束。一つの店に縛られることなく、何軒もの修業先から職人仕事を良い所取りで身に着けられるわけです。和食ほど覚える技術が多くないのは当の鮨職人が自覚している事実。鮨屋での修業経歴ゼロをウリにしていた「鮨 なかむら」が順調に運営されているくらいでから。仕入れるタネ質に拘り、手間を惜しまない江戸前仕事に専念すれば、マスコミが煽って作り出した鮨ブームの現在、集客は計算できるのです。
店内は余裕の配置で、板長が仕切る大きな檜のカウンターの他、別室にもカウンターがあるなど豪華。2人の女性スタッフに、和装のオーナーマダムも待機していますから、固定費はかなりのものと推測。よって高めの客単価を目指す為に、ツマミに力を入れた方針をとっております。乾された多数の自家製カラスミがあるつけ場。普通の鮨屋には見られない光景であります。
お任せでツマミから入るとかなりの酒肴が供されます。ヒラメや鮪、〆さばといった鮨タネだけでなく、この店独特のツマミも面白い。山葵につけた明太子、蒸たてのアン肝、スルメイカのワタの味噌漬けなどはお酒が進みます。炙り鯖、鰤のヅケ、玉子焼きも江戸前以外に出汁巻きもあるなど、ツマミの種類は10を軽く超えます。初回の訪問ではそのツマミの充実がすごく印象的な割に、握りの記憶がありませんでした。ツマミにくらべて握りに主張を感じなかったのです。酢飯がかなり緩い。酢や塩を控え砂糖を少し入れた酢飯は、何貫でも食べ疲れしないと味のわからないフードライターが雑誌に書いていましたが、緩い酢飯は食べ疲れる前に食べ飽きてしまうのではないか。オミヤとして太巻き(これが結構美味しい)を用意するなど接待客に絞った運営が功を奏して今のところ順調なようですが、客単価は2万5千円前後。競争厳しい銀座では、握りの充実をはるべきではないかと考えます。

2006年10月23日

訛った突っ込み連発のお笑い劇場、やまいち

銀座4丁目、並木通りのカウンター8席のこの鮨屋は、主人と女将と弟子一人で客単価2万円以上を狙った高額店であります。私は「トーキョー スタイル」という雑誌の2ページ使った紹介記事を見て昼夜訪問しました。注目したのが、「寸止めの江戸前仕事」と「〆ものは客が来てからはじめる」というキャッチ。よくフードライターがお椀の出汁の褒め言葉で使うこの「寸止め」。出汁の味わいがどう寸止めなのか恐らくライター本人も説明できないと考えますが、主人からも明確な説明はありませんでした。コハダなど〆物は確かに客に出す前に酢で洗っていましたが、塩振りや酢の本〆は既に処されておりました。雑誌の煽りキャッチを真に受けた友里が甘かったということです。
茨城県ひたちなか市の「照寿司」を閉めて数年の充電期間をおいて銀座へ進出してきた主人に女将。その地で客単価1万円を超えていたと言いますから、客がそう入っていたとは思えません。噂では円満閉店ではなかったとも聞きますが、銀座のこの店は観音開きの氷冷蔵庫に流しっぱなしの小さなシンクと最近の流行を取り入れた割と豪華な内装。良いスポンサーがついたのでしょうか。
前日までに予約すれば昼も営業しますが、今のところ昼夜とも客少ない店内では、茨城訛りの主人の声が響き渡ります。女将との掛け合いのほか、客への突っ込みも頻繁で、緊張感など無縁の鮨屋、というよりお笑い芸人のトークを聞きに来ているようなものでした。昼は1万5千円超、夜はトーク代も入っているのか2万5千円を軽く突破と支払額はかなりの高額。ツマミが何点かついているとはいえ、「茨城弁劇場」を考えてもやや高めなので、最初は昼の訪問をオススメします。
肝心の鮨の事を書き忘れるところでした。この店の特徴は酢。赤酢と黒酢に砂糖が少し入っていると思われる酢飯は、しっかりした味わいで「水谷」とは違った主張をしております。結構友里の好み。生姜も甘からず辛からず、鮪を含めてタネ質も上レベルに入るでしょう。握りには、やや甘めに感じる煮切りとツメの他、炒り酒もタネによって使用するなど面白みもあります。しかしツマミは、焼き物が若い衆の技量の限界なのかベチャベチャ、焚き合せも凡庸と期待はずれだったのが残念です。最近は「椿」など創意工夫したツマミを充実させる鮨屋が増えているだけに、この夜の請求額ではCPが悪く感じてしまいます。主人のトークは別にして、ツマミの質を上げれば、このタネ質、酢飯、仕事振りと悪くないだけに客が増えると考えます。