メイン

2008年03月03日

あの店は今・・・、オステリア ナカムラ

CP良い料理とシェフとマダムの小さな店だったからか、なかなか予約が取れなかった六本木のイタリアン。ビル立て直しで一時閉店していましたが、昨年末に六本木7丁目のビル2階で再開したと聞き久々の訪問です。スペースが広くなった割にはそれほど席数を増やしていないので圧迫感はなくなりました。カウンター6席にテーブルが6卓とキャパは20名弱です。
洗い場の女性スタッフが増えて3人になったので、満席でも以前ほどタイトにならないでしょう。黒板上で料理や種類、そして価格の変更がほとんどないことを確認して一安心しました。
前菜は1600円前後で定番が6種に本日のおススメが4種。パスタ&リゾットも1700円前後で5種以外に、本日のスパゲッティとして4種を用意。2500円前後のメインも肉が3種に魚も用意され、この価格帯の店では充分な料理数です。
定番の牡蠣のオイル漬け(1800円)はまずまず美味しい。蟹とポロ葱や猪のラグーのパスタもやや甘めの味付けが特徴ですが悪くはありません。店の格からして濃い目の味付けの方がマッチしております。
メインのグリル料理には今回ちょっと不満。ガス焼きの限界なのか、岩中豚は焦げ部分があり、仔羊は味がかなり濃すぎでありました。価格を考えるとそれほどの質を求めるのは酷とはいうものの、質、調理ともう少しレベルを上げてもらうと更に良い店になるでしょう。
ワインは3600円前後の安いワインから1万2000円までと価格帯に変更はありません。主要価格帯が5〜6000円くらいとちょっと上がった印象になったのは移店で仕方ないことか。
以前はディープなイタリアンとしてオタクっぽい一人客がカウンターでブチブチ言いながら食べている光景を見かけたこともありましたが、新店は明るいイメージで女性客の割合が増えたかも。マニアックな客はちょっと行きにくくなったかもしれません。
各皿はボリュームもあり、前菜、パスタ、メインと3皿食べたらこの友里でもお腹は一杯。手頃なワインを頼んで一人1万円前後は充分元取れる食後感であると考えます。それほど季節感ある料理ではありませんが、近所にあればちょくちょく行ってみたいCP良いイタリアンであると考えます。

2008年02月23日

カートのパフォーマンスだけがウリ、アルタ・アッピア

西麻布4丁目、日赤通り近くのバブリーなビルの地下スペース、テナントはほとんど1年持たず撤退を繰り返しておりました。デリ、フレンチ、そして創作和洋折衷料理など。ウシオ電機系が運営していた六本木「まっくろう」の料理人を招聘し、広尾の業界人御用達イタリアン「アッピア」が関わった「新まっくろう」がオープンしたのは1昨年夏過ぎ。それが一年持たず閉店してしまったのも方角や風水が悪いからなのか。その「アッピア」が再度勝負してきたのが「アルタ・アッピア 西麻布」です。方角、風水関係ないのか今現在集客は順調です。
メニューの料理名が分からない人でも安心なのがこの店の特徴です。着席すると、造り置き主体の冷前菜、温前菜が盛られたカートが2つやってきます。その皿数、冷・温それぞれ10種以上あるでしょうか。客は目で見て好きな料理を選ぶことができます。冷前菜はそのまま盛り付け、温前菜は温め直すか焼くだけと、カートでなかったらイタリアのセルフサービスに近い廉価な店と同じシステムです。パスタは乾麺と手打ち麺のわずか2種。調理法も数種類しか説明がありません。そしてメイン。これまたカートで運ばれてきた魚や肉を選ぶのですが、肉は和牛、豚、仔羊、猪などのグリル、魚もアクアパッツァやポワレくらいしか選択肢がありません。厨房は多種の造り置き前菜を大量に造ることに注力し、パスタやメインはシンプル調理で流すという、シェフの顔が全く見えないレストランであります。
タコマリネ、インゲンとニンニク、鴨とゴルゴンゾーラ、鰯焼き、牛テールなど冷・温前菜はわかりやすい味付けなだけ。鮟鱇とアン肝のラグーの手打ち麺も業界人が喜ぶまったり濃い味。丹波の猪グリルやヤガラのポワレもイタリアのテイストをまったく感じなかった。良く言えば万人受けする創作料理、はっきり言えば経験の少ない厨房スタッフでも出来るマニュアル料理と読みました。業界人、同伴カップル、そして国会議員も見かける高い洋風料理屋です。
ワインリストは1万円から2万円が主体で値付けも高い。CP良いといわれるシリアやサルディーニャ産もほとんどなく、
8000円の安いワインに抑えても2名で4万円弱の支払は、本格イタリアンを期待する人にはまったく向いておりません。

ニューオータニのイタリア3つ星フェア、アル・ソリーゾ

ここ数年1月と2月に友里が訪問するホテル ニューオータニ内のイタリアン「ベルビュー」。イタリアの星付き店のシェフを呼んで5日間限定で開催されるフェア訪問が目的です。本日は南イタリアの2つ星「ドン・アルフォンソ」の初日のはずです。この店、昨年のフェアへ行って期待したものを感じなかったので今年は行きませんが、ご興味のある方は問い合わせしてみてください。ミシュランガイドはフランス版以外信用できないと言った意見を聞きますが、この「ベルビュー」、初めて3つ星をとった「マルケージ」も招聘するなど力を入れているので、ミシュラン星付き店がどんなものなのか、話のタネの訪問はいいかもしれません。
さて1月に来日したのが3つ星女性シェフの「アル・ソリーゾ」です。このフェアへ毎回通っていながら一回もコラムに取り上げなかったのに、なぜ今回友里は取り上げたのか。それは初めてまずまず満足した料理と感じたからであります。
このフェアは必ず「アデッソ」と「クラシコ」の2コースを昼夜用意してきます。シェフの料理スタイルはアデッソかクラシコのどちらかであるはずで、無理して2コース用意させるのは無意味と思うのですが、今回はスペシャリテがある「クラシコ」を注文しました。
「ルイザの想い」というスペシャリテ、温玉の周りにジャガイモを配し、白トリュフをかけた一品。気が抜けているのか香りは弱かったですがまずまず。詰め物パスタの自家製カペラッチ(ラビオリみたい)の洋ナシの赤ワイン煮、仔羊の香草ソテーと2万7000円コースとしてはCP悪過ぎでしたが、今までのフェアと比べると美味しかった。はっきり言えば、他のフェアの店が良くなかったということです。
最後に一言。このフェアへ参加する際は、ワインの値付けの高さに注意が必要です。ノンヴィンのスプマンテ、フェラーリが1万500円。ネットでは3000円前後の代物です。有名造り手の赤ワインと言っても7000円チョイのバルベラが19800円、バローロに至っては3万円以上しかないなど、この店では金持ち以外はワインを頼むなといった超強気の営業。ワインの市場価格を気にしない方、もしくは経費族しかこの店ではワインを頼む気にならないでしょう。

2007年12月08日

畑違いの商売人が仕掛ける食材が豊富、ブランドゥ

最近は誰々が獲った鯛や鱸、どこそこの会社が育てた鴨、とやたら個人ブランドの食材を煽る人がいます。鳴門のカリスマ漁師として料理雑誌やTVに取り上げられた村公一氏。彼の魚があたかも日本一のように持ち上げられていますが、都心や京都の高級・高額店の主人の目に叶うものなのか。地元徳島中央市場の仲卸はその存在を知りませんでしたし、都内の高額和食店も鳴門の魚を重用していましたが、村氏の魚は扱っていなかった。調べていくと地元や関西の日本酒関係者が仕掛け人となって売り出しに一役買っていることがわかったのです。また西崎ファームという会社が供給する鴨、これまた同じような人脈の関係店へ供給されていますが、私は都内で評判の高いフレンチでシャラン産の鴨に代わってこの手の鴨を使用している店を知りません。このように身内ウケだけする魚や鴨を売りにしているイタリアンが神楽坂駅近くの「キュイジーヌナチュレル レ・ブランドゥ」であります。
店内はビニール系のクロスに紙ナプキン、紙オシボリと非常に質素。プリフィクスのコースを5000円前後に抑えており、この価格設定で能書きどおり素晴らしい魚や鴨を供する事ができるのかの検証が友里の2回の訪問の目的でありました。
前菜の村さんの鱸のカルパッチョ、肉厚で熟成感出していましたが、この調理なら他の鱸でも変わらないレベル。西崎ファームの鴨も火入れは半生に近かったですが、鴨肉そのものの良さは感じ取れません。だいたい仕掛け人たちの覚えめでたい「居酒屋」でも出している西崎ファームの鴨、世界ブランドのシャラン産と比較すること自体10年早いのではないか。
また村さんの「キビレ」という魚のアクアパッツァはとてもオイルと水だけの調理とは思えない濃厚さでした。魚自体に旨みがあったとしても水と油だけでここまで旨みを抽出できるか。カルパッチョの鱸が普通レベルでしたことからも疑いは残ります。疑問を呈したからか、2回目訪問のアクアパッツァに初回の濃厚さはありませんでした。
オーナーはワインに拘りがあり、レアなワインを1万円前後で揃えるなどその姿勢は評価できます。一部の人が煽る変なブランド食材を前面に出さず、地道な営業と調理で客を満足させていればより良い店になると考えます。

2007年12月01日

料理もワインもリーズナブルだ、マジカ

知る人ぞ知る目黒の人気イタリアン「トラットリア デッラ ランテルナ   
 マジカ」。ネットでも安いと評判ですが、雑誌の露出が少なく私はまったく知りませんでした。
目黒駅から徒歩で10分近くの住宅街と立地が良いわけではありません。トラットリアの黄色い看板がちょっと周りから浮いていますが、店内は結構広く内装もまとも。安いという前評判の割に意外に落ち着ける配置に驚きました。
ボナセーラ系イタリアンをご記憶でしょうか。ドアを開けると威勢良くイタリア人が「ボナセーラ」と声をかけてくるのがウリのイタリアン、一世を風靡しましたがそのはしりが恵比寿の「イル・ボッカローネ」であります。その店出身のスタッフでオープンしたこの「マジカ」にもやはりイタリア人は居ました。黒板に書かれたメニューはどれもイタリア語でそれを日本語不得意なイタリア人が説明するものだから我々には理解し難い。再度日本人スタッフに説明を求めやっと注文ができました。このイタリア人、時間と経費の無駄だと思うは友里だけでしょうか。
料理はどれもリーズナブルでポーションも大きい。
すべてシェアに対応するようですが我々は前菜、パスタ、メインと個別に頼みました。前菜盛り合わせ(1900円、ハーフあり)はかなりの量。シェアにも充分耐えられます。パプリカのバーニャカウダ(1000円)の他、野菜スティックのタイプ(1900円)もしっかりした味でグッド。連れが頼んだ生ハム(1400円)は半端な量ではありません。魚介のミンチラグー仕立てのタリオリーニ(1600円)もこの価格なら文句なく、熊本馬肉のステーキ(2900円)もボリューム、塩胡椒もしっかりで満足しました。そしてもう一つ、酒飲みに有り難いのがワインの値付けの安さです。高級ワインはないですが、掛け率抑えて5000円前後が主体のリストの最低値は2800円。リスト外のワインも9000円前後でありました。そして〆のグラッパの豊富さもこの価格帯の店では珍しいことです。
コペルトとして300円計上されますが、サービス料はなく、結構飲んで食べて支払は一人1万円前後と、イタリアのディープな地方色はありませんが味、ボリュームを考えると充分満足して店を出ることができました。

2007年11月10日

ヨイショライター達はやはり当てにならなかった、ペルゴラ

レストランジャーナリストと自称している犬養裕美子氏の著書「東京ハッピー・レストラン」で見事四葉のクローバー(4段階評価の最高点)を獲得した「イル・リストランテ・ネッラ・ペルゴラ」。あの自称「美食の王様」実態は「過食のオコチャマ」の来栖けい氏もロンバルディア料理専門と絶賛していました。
ドアはチープ感がありますが、中庭が見えるホールは6卓の割に広く雰囲気はまずまず。料理はプリフィクスで7000円一本。前菜、パスタ、メインと6〜7種用意されていますから選択肢もあります。ここまでは好印象。しかしメニューを読みこむと、どこが「ロンバルディア料理」なんだと疑問がわいてきます。確かにミラノ風カツレツやラヴィオリのスープはありましたが、リゾットやオッソブーコなどの煮込みはなし。牛のタリアータ、黒豚のグリルなどどこにでもある肉料理が目立ちます。前菜のタプナード、ここは南仏料理店か、メインの仔羊はなんとカラブリア風でした。カラブリア州はイタリアのつま先部分ですよ。スタッフもロンバルディアに拘っていないと言っていましたから、オコチャマもホントいい加減なものです。
全網羅的な料理からまず私が選んだ前菜はスペシャリテのズッキーニ花とジロール茸のヴァポーレ。
量少なく想定内の調理。パスタはサマートリュフとサマーポルチーニのトレネッテ(手打ち麺)。予想通り香りも薄く傑出さを感じません。マツタケもそうですが夏物に期待してはいけません。メインのカラブリアの仔羊もどこがカラブリア風なのかわかりませんでした。ワインリストは5000円から7万8000円迄と値幅が大きく、赤はなぜかトスカーナワインが4ページ、そしてレアワインと言われる「カーセバッセ」が1ページも占めていたのには驚きました。トスカーナワインを主体にしているだけでこの店がロンバルディア専門でないことは明白です。
1万円以下の安めのワインを頼んで一人1万8000円とこの内容ではCP悪すぎ。親しい店だけでなく訪問したほとんどの店を称賛し続ける犬養さんに来栖オコチャマ。そんなに毎回感心するということは逆に本格料理の経験が薄いという証左と言えるでしょう。ペルゴラは数ある過大評価店の一つです。

2007年11月03日

今のままでは埋没か、ダル・マテリアーレ

地番は富ヶ谷ながら、代々木公園駅から徒歩数分のイタリアン「ラ・クチーナ・イタリアーナ
ダル・マテリアーレ」。店名は結構知れ渡っているようですが、客入りは厳しいものがあるのではないか。我々が訪問した日も、10数名のキャパなのに店内は閑散としておりました。HPではシェフの拘りが載っております。店名から素材(マテリアーレ)の良さを連想したのですが、食後感はCP含めて良いものではありませんでした。
この店は面白い営業形態をとっています。「基本料金」として、付き出し、お任せ前菜(3種盛り)、パン、プティフール、カフェのセットが1680円。つまり黙って座れば1680円が自動的に計上されるのです。では、それだけで帰っていいのかというと答えはノー。前菜、パスタ、メインから2皿以上頼まなければなりません。前菜やパスタが1500円ほどですから、それだけで5000円弱。メインも食べると7千円前後と立地や店構えを考えたらかなり高い価格設定です。そして料理の選択肢が少ないのもいかがなものか。前菜、パスタが4種と少なすぎ。特にパスタはロングとミドルの手打ち麺にファゴッティーニ(餃子みたいなもの)とラビオリだけと寂しい限り。メインは魚料理がトマト煮込みとオマールのロースト、肉は仔羊のローストだけと、メインを重視する客を度外視したかのメニュー。
フルセット4000円弱の「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」でも多種の料理を用意しているのです。はるかに価格が高いのですから選択肢を増やさなければ客は満足しないでしょう。客が来ない→回転が悪い→メニューを増やせない、と悪循環に陥っていると考えます。
さて肝心の料理ですが、ポーション小さくどれも印象に残るものはなかった。シチリア風という仔羊ロースト、ただのカポナータが添えてあるだけで質もイマイチ。ワインもロッシバス(白)、タンクレディ(赤)とCP良いものが小売りの2倍以上と頼みたいものがない。
この立地と店構えなら、店名通り素材に拘りながら料理数を増やして6000円以下に抑えるしか道はないのではないか。高価格を維持するなら、内容を充実させてコース1本に絞って客に判断を委ねるという手もあります。このまま方向を修正しなければ浮上は難しいと考えます。

2007年09月29日

ピエモンテ専門店としては物足りない、グラディスカ

日本人としてイタリアで初めてミシュランの星をとった堀江純一郎氏が「ラ・グラディスカ」をオープンしてきました。ピエモンテのリストランテ「ピステルナ」を1年半足らずで1つ星にしたシェフが西麻布に店を出したと知った友里は直ちに予約を入れたのです。
場所は真面目に一店舗主義を通すフレンチ「ブルギニオン」の隣のビル地下。チャチな門扉をくぐり、狭い階段を降りると入口はなんとガラス戸。テーブル、クロス、カトラリーもまったく高級感なく救いは天井の高さだけ。期待は一瞬落胆に変わったのです。
6800円、8200円のコースは、前菜、パスタがアラカルトから選択できるもののその選択肢は2種のみ。メインも6800円が牛すね肉の煮込みか豚ロースト、8200円が魚か羊と選び甲斐がありません。よって必然的にアラカルトに追い込まれます。
前菜は2000円前後、パスタは2200円以上とやや高めながら、メインが3000円台とトータルでは8000円前後でおさまる価格設定。ただし、ピエモンテ専門店としては前菜にバーニャカウダがなく(アンチョビ・ニンニクソースの温野菜はあった)、パスタでもそれらしき料理は「タヤリン」、「アニョロッティ ダル プリン」(水餃子のようなもの)、「ニョッキ」と3種だけ。メインも牛のバルベーラ煮込みくらいしか見当たりません。
温野菜は想定内ながらまずまず、ホエー馬ラグーのタヤリンはかなりイケます。近辺のピエモンテ料理店の脅威となるでしょう。アニョロッティ ダル プリンも2600円と高いですが悪くはなかった。メインはポーションもあり、特にバルベーラの煮込みは濃厚でその酸味は印象的でした。
しかし問題点はピエモンテの地方色少ないメニューだけではありません。ワインの品ぞろえがプアで値付けも安くありません。オープン直後でオペレーションが不安定なのは仕方ないが、初夏なのにエアコンが緩いのはいかがなものか。ピエモンテの星付きシェフの凱旋店を期待する客には料理やワインの品揃えに不満が残ることでしょう。
イタリアンが増殖続ける東京で生き抜くには、他店との違いをより強調する、つまり地方色濃くしてワインも差別化する必要があると考えます。

2007年09月08日

再開発ビルはやっぱりCPが悪かった、カランドリーノ

史上最年少の28歳でミシュラン3つ星シェフになったマッシミリアーノ・アライモ。日本で知名度があるとは思えないのですが、その北イタリアの3つ星「レ カランドレ」の提携店「イル カランドリーノ 東京」が新丸ビルにオープンしてきました。勿論イタリア3つ星店の直営ではなく、イタリア食材などの輸入商社・(株)アークの関連会社が運営しています。
4月のオープン当時は開店と同時に行列が出来ていましたが、数か月で今や空席も目立つようになりました。なぜ勢いが長続きしなかったのか、答えは簡単、「CPが悪すぎる」に尽きるからであります。
昼のランチは1800円から4500円まで。価格帯は普通ですが、内容がプア。1800円はパスタ(これが少量)と食後の飲み物だけ。ドルチェはプラス500円です。3000円でようやくチケッティ(一口タイプの前菜が3種)とドルチェが加わります。予約するには4500円のコース頼まなければならないのですが、チケッティに名物パスタ「カルボナーラ」、そして魚か鶏肉のチョイスとなります。このカルボナーラ、温玉とオイルを使いアニスの香りをつけているだけで量少なくまったく傑出しておりません。若鶏もまったく凡庸。グラスワインなどを飲んで一人1万円近くになりました。
夜はもっとひどい。本店と同じレシピという1万5千円コース。スペシャリテばかりとのことですが、量少ないスカンピのフリットをカバーしているスパゲッティの揚げ物に疑問。蕎麦屋の揚げそばを真似してどうするのか。甲烏賊とジャガイモのピュレはしょっぱ過ぎ、トマトペーストのラビオリはわずか3ケ、サフランリゾットも少量で、メインのイベリコ豚の24Hr低温ローストは、肉の繊維質を消滅させるほど食感を無くしてしまい、旨みも出切って何の食材か判断できなくなっていました。ドルチェに変えて頼んだチーズ4種がその夜で一番満足だったのですから呆れます。スプマンテが1万円などワインの値付けも高く、皿出し速すぎてわずか2時間のディナーが一人2万5千円以上と最悪のCP感でありました。3つ星提携店として話の種に行くのなら、夜は最安値の4500円コースで充分。3つ星というだけで安易に釣られてはいけません。

2007年05月26日

グラナダを抜けて迷走してしまった鵜野シェフ、ラ・ボスケッタ

楽天の三木谷夫人の実弟が営んでいると言われている(株)グラナダ。「イゾラ」というピッツェリアのチェーン展開で当たり、今ではフレンチ、イタリアン、スパニッシュ、上海料理、居酒屋、蕎麦屋など40店舗に迫る多店舗展開会社になりました。楽天の色を隠してのこの急成長には驚きです。そのグループ内のイタリアン「キオラ」の総料理長だった鵜野氏がガラス食器販売会社とはじめたのがこの白金のイタリアン「ラ・ボスケッタ」であります。
プラチナ通りから路地を入った一軒家、3階建で1階はそのガラス食器のショールームですが、イタリアンの入り口とのマッチングが悪い。
予約の電話では最後の1組と言われたとの同伴者の話でしたが、その日のホールは最後まで半分も埋まりませんでした。この店も三越前の「フェアドマ」と同じく、テーブル席数の半分のキャパを満席と称する「満席偽装」の店なのか。
ハーブを多用した繊細ながらも主張ある料理のプリフィックスコースを提供し、私的には好きなイタリアンだった「キオラ」ですが、今度の店には駄目出しです。メインの選択肢が少ない3コース制で、7500円は5皿、1万円は7皿と多皿に改悪。1万5000円コースはカルタ ビアンカ(白紙のメニュー)と称して何も書いてありません。グラナダのフレンチ「カンテサンス」のプレゼンの完全なパクリであります。
ガラス食器で供される料理はまったく少量。最初の冷えすぎた生ハムで一気に期待は萎みました。2皿目の有機ニンジンのエスプーマ、もうこの調理法は賞味期限切れではないか。オマールのプリンも珍しくありません。ポーションが小さいのに半生にしようとして無理がでた太刀魚、最後の窒息鴨もわずか2片でしたから、造り置きではないか。2片だけを都度調理できるわけがない。ワインリストもプアの一言。イタリアンなのにイタリアワインはわずか2ページで40種ほどしかありません。フランス物が3ページ半ありましたから、何を考えているのか。厳選されたワインなら種類が少なくてもいいですが、目ぼしいものが少なく食指が動きませんでした。
料理駄目、ワイン駄目、客いない。グラナダからガラス食器販売会社への移籍が完全に裏目にでてしまったようです。

2007年04月14日

アクセスが不便なのが難点、恵比寿ダル・マット

深夜営業、お任せコース4500円、白・赤ハウスワイン1500円飲み放題という営業で注目された西麻布のイタリアン「ダル・マット」の2号店。正式名称は「恵比寿DAL-MATTO」です。昼営業をせず、その分深夜に営業時間を延長した戦略は、今では和食や鮨屋でも取り入れてきて珍しくなくなりました。その結果、定食屋以外の昼営業をする店が減ってしまい、ちょっと凝った料理は昼に食べられなくなってしまったのが残念であります。同じ営業時間ならば、客単価が低い昼時の時間を深夜に振り替えれば、確かにその分酒代の追加が見込め、自店を締めた後の同業者や深夜族の来店も見込めます。時間的に効率化するのですが、ランチの目的の一つである余った食材の有効利用をどう転嫁したか。答えは「お任せコース」にあります。深夜では単品も出しますが、基本的には店に完全お任せ。つまり、同じ日でもパスタなど料理内容に違いを出して食材を有効利用していると考えます。
地番は恵比寿といえども駅からはかなり遠い住宅街の、1階がラウンジ、地下にカウンター8席にテーブル席と個室があるキャパ20名ほどのお店。日曜の22時頃の訪問でしたがほぼ満席で、しかも若い飲食関係者らしき人も多かった。ドルチェやエスプレッソをつけてお任せコースは5000円前後になりましたが、例のハウスワイン「飲み放題」は1500円で健在でした。
先付けに刺身系を含めた前菜が数皿、軽めのパスタの後肉料理が出て最後は再びパスタで〆るという、かなりの大食漢でも満足できるコース設定です。仕入れ食材を有効利用するコース料理は、総じて無難でわかりやすい味付けです。魚は昆布〆、パスタにフルーツを使うなど創作イタリアンでありますが、ビール2杯に白・赤ワインをたらふく飲んでの支払いが8000円。この量、価格では、食材と調理に文句をいう人はいないでしょう。ワインも1500円を考えると文句は言えません。ただし、場所が不便なので往復にタクシーを使ってしまう、飲み放題以外のグラスワインや高額なレアワインを頼んでしまうと食後感は変わりますから気をつけてください。また、ワインをほとんど飲まないお客には、それほどの価値を見出せない店でもあると考えます。

2007年03月18日

2週間前から予約してまで行く店なのか、バルカ

「アロマフレスカ」で働いていたシェフが、その修業店発祥の地にオープンしたイタリアン「リストランティーノ バルカ」。瞬く間に予約困難の人気店になりました。修業店発祥の地でのオープンは縁起がいいのか、西麻布の「すゑとみ」も評判ですから、独立を考える料理人は検討する価値があるでしょう。
2週間前の14時からの電話受付で予約を入れて3名での訪問。店内はカウンター10席と4人掛けテーブル1卓に5名の個室、キャパ20名弱の小さな店です。
前菜は小皿タイプで約20種。追加料金の皿もありますが基本は900円なので、ツマミ感覚で2皿は頼めます。パスタは1800円が基本でシンプルパスタと称するものは何とマイナス300円でした。こんな値付設定は初めて見ました。メインはボリュームがありシェアを前提にしているのか、仔羊ロースト(3200円)、仔牛の炭火焼(500g4800円〜)など結構高めです。
前菜は手間をかけたものが少なく可もなく不可もなし。ネットで評判のカエルのフリットやミスジ肉のタルタルも印象薄く、濃い味付けだけのバーニャカウダといい、万人ウケを狙っただけのもの。逆にメインはしつこすぎです。仔羊は脂がくどすぎて食べ切れません。仔牛はあまりに量が多いのでこれまた食べるのに苦労しましたが、明細を見て憤慨。8500円の請求ですから900gの計算になります。骨があるとはいえ3人でメインの2皿目ですよ。このポーションしかなかったのかもしれませんが、調理する前に客に確認するべきでしょう。この金額、この量では頼まないという選択肢があるからです。〆にまわしたパスタもワインの飲みすぎもあってかまったく記憶に残らないものでした。
この店の大きな問題点は皿出しの遅さです。3人で頼んだ7種の前菜が中々出てきません。前菜だけでワインが2本目へ突入、結果3本頼むことになりました。入店してからドルチェを頼まずチェックまでの3時間半超はあまりに遅い。単なる人手不足なのか、ワインを多く飲ませる牛歩戦術なのか。どちらにしても、万人ウケを狙った無難な調理で特徴のない料理の店、一人軽く2万円を突破したことも考慮すると、わざわざ2週間前に予約を入れて行く必要のない、過大評価の店と考えます。

2007年02月24日

特徴のない料理だが繁盛している、エスペリア

西麻布に2年前オープンした一軒屋風イタリアン「クリニカ ガストロノミカ エスペリア」。瞬く間に繁盛店になりました。カウンター6席にテーブル席が8卓ほどの店内は、ランチ時連日満席であります。前菜がサラダでパスタが色々選べるコースが1300円。前菜もメニューから選べる1800円コースもありますが、メインまである3000円コースは必要ないでしょう。スーパーマリオに似た風貌のシェフは「チーズ騎士」の称号を持っているそうで、ウリは「サラダ革命」なる前菜。ゴルゴンゾーラをベースにした温かめのソースを野菜にかけただけのもので、高カロリーだがまったく「革命的」な皿とは思えません。完全な「名前負け」です。パスタは定番の他今月のパスタとして2種が用意されています。チーズ、赤唐辛子、野菜、魚介など種類は多いのですが、肝心の麺がベンガシーネやフェデリーニといった細麺にショートが1種と選択肢がありません。太麺がないので、ラグー系もあまり見当たらない。創作系の各種パスタはわかりやすい味ということで「パスタの美味しい店」として近隣では評判です。しかしコースにでる自家製フォカッチャは美味しい。「サラダ革命」より野菜が多そうな普通のサラダと選択パスタの1300円がこの店のランチではおススメです。
夜はアラカルトもありますがプリフィクスコース(5000円)が良いでしょう。前菜盛り合わせ(これは造り置き)の次に、前菜、パスタ、メインをメニューからチョイスできます。この皿数で5000円はお得でしょうか。反対にお任せコース(7000円)は避けるべきです。前菜4皿にパスタ、メインとまったく選択の余地なし。食材や調理法を選べず特徴のない料理を食べるほど辛いことはありません。
ワインは種類がないですが、サルディーニャやシチリアのハウスワインがボトルで4000円台。この店では、この値付けも安いワインで充分です。わかりやすい味、高くない支払い、と普段使いの店としてなら充分、ただし遠方から訪問する店ではないでしょう。最後に二言。2階の貸切個室は現状のスタッフ数では営業は無謀です。まともなサービスが出来ません。また客単価1万円の夜でも皿毎にカトラリーを交換しないのもいかがなものでしょうか。

2007年01月15日

シェフに独立されて店名から名前を消した、レ・サリーネ

飲食店の入れ替わりが激しい西麻布。通るたびに店が変わっている所もありますが、この場所も以前は麺類の店ではなかったでしょうか、「リストランテ・ダ・サリーネ」。去年の夏頃、ニーノ氏(正式にはアントニーノ氏)をシェフに迎えてオープンしたシチリア料理専門店であります。当初の正式名称はシェフの名前を入れた「レ・サリーネ・ダ・ニーノ」でした。シチリア料理に絞ったコンセプトが良かったのか、イタリアン激戦区の西麻布で集客も順調であります。私の初訪問は今春、アラカルトを頼んだにもかかわらずシチリアの拘りを感じない料理で期待はずれでした。シェフ不在かと確認すると、この4月に乃木坂でオープンする店へニーノ氏は移るので店には出ていないとの事でした。オープン半年でもう支店を出すほど儲かっているのかとその時は思ったのですが、実は半年でシェフが逃げ出したと言うのが真相のようです。いつの間にかこの西麻布の店名から「ニーノ」の文言が消えていました。そして乃木坂の店名が「リストランテ・ダ・ニーノ」。シェフ移籍は実は独立だったのです。
昼も1千円からのランチで相変わらず盛況ですが、夜の単品料理を頼むことも可能です。カポナータ(900円)はかなり味付けが緩い。シチリアの典型的な食材である鰯とフェンネルのブカティーニ(真ん中に穴の開いたパスタ)は2800円と高い割に美味しくない。その後夜に再チャレンジしましたが、食後感は変わりませんでした。定番ではなく黒板のオススメを主体に頼みましたが、前菜が千円台の割に各種パスタは2千円台とやはり高め。メインは仔羊がありましたが魚が主体で3千円はします。前菜盛り合わせ(3千円)は、タコマリネ、ライスコロッケ、ブロッコリー玉子焼きなどで期待はずれ。鰯のパン粉焼きも凡庸、魚介のラグーはソボロみたいで味にインパクトない。メインに「特別盛り合わせ」としてヤリイカ、オマール、ホウボウを薦められましたが黒板の単品をただ3種盛り込んだだけで5千円は高い。日本風にアレンジした料理に、値付けが安くないワインを頼んで一人1万円を軽く突破とこの食後感ではCP悪すぎです。シチリア専門店が増えている現在、わざわざ訪ねる店ではありません。

2006年12月23日

シチリア料理専門店だが客層が軽すぎる、ドン チッチョ

連日盛況だった神宮前のシチリア料理店「トラットリア ダ トンマズィーノ」。大家と更新で揉めて今春店を畳んだと漏れ聞きましたが、半年のブランクを経て、10月末に青山学院裏に新規の店をオープンしてきました。店名は「ドン チッチョ」。最寄の渋谷駅や表参道駅から徒歩で15分くらいと立地はよくありません。しかし、前店からの常連の後押しよろしく瞬く間に予約困難な人気店の仲間入りをしてきました。
カウンター8席を含めてキャパは40名くらいでしょうか。大きくなっていますがスタッフ数は増えていないので、満席の店に詰め込まれる客は対応の遅さにいくらかストレスを感じるようです。コースではなくアラカルト対応。一部のヨイショ系副業ライターに評判だが食べきれない量の料理を出しても客が少ない神泉のシチリア料理店「アルキメーデ」とは陽陰分かれたようです。
前菜は約10種で1500円前後、パスタも10種ほどで1700円前後、メインは魚類に白金豚、仔羊、雉などが2500円前後と料理の選択肢はあり3皿フルに頼んでも6千円かかりません。1コースしかない「アルキメーデ」を絶賛している人にぜひ食してもらいたいのがこの店の料理であります。前菜はウイキョウ、松の実、干しブドウなどシチリア定番食材を使った料理が目に付きます。スタッフが各自に取り分けてくれるのでシェアもし易い。品数だけ多くて各料理が一口分しかなく味わいがわかりにくい「アルキメーデ」と違って充分楽しめます。パスタはやはりショート物がいいでしょうか。鮪のほほ肉煮込みや鰯とウイキョウなどなかなか美味しいものに巡り合えました。肉類だけではなく魚の調理法もバリエーションがあり楽しめます。
ワインはシチリア産に限定して3800円から8400円くらいまでと頼みやすい選定と値付け。白、赤とも20種はありますから種類も充分と言えるでしょう。前菜、パスタ、メインの3皿で充分お腹が膨れ、ワインを一人当たり1本飲んで1万数千円。ホールを見回すとワインをそれほど飲んでいない女性客がほとんどで、地方専門料理ではない軽い雰囲気が気になりますが、仕方ないか。
自分で好きな料理が頼める選択肢ある料理を提供する「ドン チッチョ」、予約困難なのは当然であります。

2006年12月17日

各地の郷土料理が味わえる、カシーナ カナミッラ

白金通りに1年前オープンしたイタリアン、「リストランテ カシーナ カナミッラ」。この店はイタリアへ料理研修やソムリエ研修を斡旋しているict食文化企画という有限会社が経営しております。料理人の1年研修の費用は140万円、ソムリエは半年で110万円だとか。昔は伝を頼って着の身着のままで渡航したと聞きましたが、最近はシステム化してお金さえ払えば受け入れ先を用意してくれるのですから随分楽になったものです。イタリアン業界で食べている会社が満を持して投入してきたシェフは、この研修制度の第一期生です。4年間イタリアで修業したシェフは、最近のトレンドとは違ったメニュー造りをしています。シチリアだ、リグーリアだ、ピエモンテだと地方の専門料理店が人気の中で、この店は北から南まで各地の郷土料理を満遍なく揃えています。総合商社、総合電気メーカー、百貨店など全網羅的な会社が伸び悩み、専門部門に特化した会社が勢いを増しているのは飲食店業界でも見られる傾向です。全体を網羅しようとすると万人受け狙いで軽い調理になりがちです。しかし、このシェフは、それなりに各地の郷土色を盛り込んだ料理を提供しているので客側からみれば1軒で各地の料理を食べられる使い勝手の良い店となっています。前菜、パスタは2千円前後、メインは3千円弱で魚のほか豚、兎、仔羊、馬、鹿と食材も揃い、調理も煮込みありグリルありと選択肢は多い。ウリの手打ちパスタに絡めた馬のラグーはしっかりツメてありなかなか。週刊誌で紹介されていたオリーヴやアーティチョーク入りの兎の白ワイン煮もディープな郷土色がでています。もも、ロース、レバー、ヒレ、腎臓と部位も豊富で一度は味わっていただきたい。その他馬や兎のグリルやローストにも満足しました。ワインリストは2種類。比較的廉価なワインリスト(といっても5千円から2万円くらいまで)は小売価格の2倍程度の値付けですが、レアワインリストは3万円を超えるものがほとんどと絶対価格は高いですが、市場価格とそれほど乖離しておらずワイン好きには見逃せません。専門料理店と同レベルの地方色を出した各地の料理が並び、ワイン好きにも対応できるワインストック。料理だけではなくワインに拘る方にもおススメです。

2006年12月09日

馬肉だけが先走りしていないか、フレーゴリ

ジャンルはイタリアンだと思うのですが、今では馬肉専門店かと思うくらい馬に拘っている、恵比寿の小さな店であります。カウンターを入れて18席ほどのキャパをシェフ一人、サービス1人でカバーしていますが、銀座の「オオサコ」と違って調理の手際が良いのでしょう、客はほとんどストレスを感じず次々出てくる料理を食することが出来ます。
黒板メニューには、前菜、メイン共に「馬肉」の部位がかなり目立ちます。各種野菜、豚、鴨などの食材をあるのですが、ここまで「馬肉」が一人歩きしてしまいますと、この店で馬肉以外の食材を頼む気がしなくなります。
しゃぶしゃぶ屋で刺身だけ食べて帰る客や寿司屋で牛肉だけ食べて帰る客が居ないように、馬肉料理が売れて回転しているということは、換言すれば他の食材はあまり売れていない、つまり回転していないということです。
売れない料理より売れているものを食べたいのが人情。よって、この店では馬肉を主体に注文するしかありません。前菜には魚のマリネや野菜料理などが1500円前後でありますが、まずは馬肉のカルパッチョでしょう。2500円ほどしますが、馬のハツ、たてがみ、バラ、タン、ヒレが同時に楽しめます。和食系の馬肉専門店よりレベルが落ちるとJCオカザワは文句を言っていますが、イタリアンテイストにしてしまえば私にはこの質で充分。馬肉タルタルステーキは黒板にありませんが注文可、悪くはありません。白いんげんとトリッパの煮込み、馬のハラミの炭火焼、馬ほほ肉の赤ワイン煮などディープな料理は、全体的に塩がきつめです。ワインを飲まない方、弱い方には厳しいかもしれません。おっと、一応イタリアンですからパスタの事も書いておかねばなりません。黒板にはいくつかあり食べましたが、馬肉に隠れてまったく印象に残っていないのが残念です。3〜4人の訪問で、馬肉を片っ端からシェアしまくってワインを結構飲んで一人1万数千円。ワインはリストがなく「オオサコ」と同じく半押し付け営業、頼む食材に限りがあるなどこの雰囲気のイタリアンとしては高めでありますが、抑えたキャパ、食材の特化をウリにする、ディープな味付け、と現在の繁盛店の見本となる営業。独立を考えている若き料理人にも参考になるでしょう。

マダムの笑顔だけがウリではない、トルナヴェント

広尾と六本木の中間辺り、地番は西麻布3丁目のピエモンテ料理をウリにしているイタリアンが「トラットリア トルナヴェント」です。オープンしてもう直ぐ1年、ポツポツと雑誌に掲載されているようで、あの煽り専門の犬養裕美子さんも取り上げておりました。私が今春昼夜訪問しての結論は、愛想の良いマダムに一票投ずるものの、さほどピエモンテ色を感じない料理。量や味付けからいってもトラットリアではないと判断しました。
定番のメニューの他に本日のおススメとして黒板に書かれた料理数はかなりのもの。ランチはコースが3種ありますが、単品注文にも応じる柔軟性もあります。前菜ではバーニャカウダ、パスタではタヤリンがありましたが、メインにそれらしきピエモンテ料理が見当たりません。ワインリストもそれほどの拘りを感じさせるものがなく、ホールも決して盛況とは言えなかったので、マダムの接客だけでは苦しい、もっと地方色を出した方がよいと思ったのです。しかし、たまたま目にした雑誌でこの店のポルチーニ料理を見て、今秋久しぶりに再訪した私は、評価を見直したのです。
前菜、パスタに使用するポルチーニがかなり大きく質も良さそう。単品オーダーではかなりのボリュームでありました。黒板にある料理もピエモンテ色が出ており、食指を動かされるものが多い。メインも山鶉、猪などジビエも揃っていてディープ感が出てきました。バーニャカウダはかなり濃厚でグッド、野菜も豊富に添えられております。各種パスタも悪くありません。そしてメインの肉類もシェフの個性が出てきています。こんなによい料理だったのか、と久々の再訪で驚いたのです。拘りを感じないワインストックに不満の方には、1本2千円で持込も可。極めて良心的です。ぜひ、好きなピエモンテ州のワインを持ち込んで楽しんでください。
おススメの前菜、パスタ、メインを単品オーダーしワインを頼むと軽く1万円を突破してしまうのでトラットリアとはいいがたい点がちょっと問題か。店は盛況ですが、あまりピエモンテ料理に固執していないような若い女性客が多くホールはかなり喧騒です。マダムの笑顔だけではなく料理自身がウリになったトルナヴェント、まずは昼に単品を試してお気に召したら夜に再訪してください。

2006年11月26日

自己都合で客を侮っている、オオサコ

西麻布「ダックイ」の大迫シェフが銀座進出、とオープン当初はかなりのマスコミ露出で、移転は今のところ成功している「ドナ ステラ クッチーナ オオサコ」。でも、このシェフ、そんなに名前が売れていたでしょうか。銀座へ出れば誰でも即座に有名シェフになれるようです。
深夜までの営業をウリにしていますが、この店には大きな問題点があります。20名近いキャパに対するスタッフは、シェフ一人にホール一人だけ。カウンターなしのテーブル席だけですから、かなりの制約を客が受けることになります。シェフの調理の手際が悪いんでしょう、アラカルト対応にしては前菜、パスタ、メインと種類を絞っても、料理の出は異常に遅い。これでは深夜営業にしなければ客は食べ終わらない訳です。少しでも早くこなそうと考えたのが「パスタ1種をシェア」の半強制です。スタッフは「うちはポーションが大きいのでメインまで食べるならパスタは1種をシェアして充分」と強引に説得してきます。しかし隣の席のパスタは、ほとんど普通ポーション。前菜やメインの量も普通です。要は、客が各自パスタを頼んで段取りの悪いシェフがパンクするのを防ぎたいだけ。だいたいこの陣容で20名にアラカルト対応するのが無謀。BGMが煩いからか声の大きいスタッフは、「我々は食べきれるから2種お願いする」と言っても顔色変えて抵抗してきました。ポーションではなくスタッフの態度が大きいだけでした。
ワインサービスもひどいものです。ワインリストはなく客の嗜好を聞くふりをしますが、持ってくるのは味の傾向が違うワインが白、赤共2本だけ。種類を限定し在庫本数を抑え、小ロットで回転させたい思惑が見え見えです。スタッフ2名にワインが2種のイタリアン。人件費をケチって客を待たせる、パスタのオーダーを制約する、そしてワインも自己都合で客に選ぶ楽しみを与えない。こんな一般客の事を考えないシェフが造る料理に旨いものがあるわけがなく、人気の割に創作系なだけの普通レベルでありました。おしゃべり好きな女性客が主体なので、料理が遅かろうがワインが少なかろうが関係ないのかもしれませんが、まともなイタリアンとワインを望む方は、ストレスが溜まるだけなので、行く必要はありません。

2006年11月19日

とても食べきれる量ではない、アルキメーデ

神泉駅近くのこの店は、半地下の小さな店です。シチリア料理ですがプリフィクスのコース(6000円)1種しかありません。小学生以下の子供の入店は不可。アラカルトがないからでしょうが、この手の料理で入場制限をするのは残念であります。
最初に出る鹿熊豚のリエットとレバーペーストは他店でも出会えるレベル。しかし、その後続く料理に驚きです。突き出しの人参ズッパのあと、シチリア風の前菜が小皿で8皿以上出てきます。カツオ、トリッパ、カポナータ、トマトモッツァレラ、ナスのフライ、鰯などなど。どれもシチリアテイストであることは間違いなし。その後が本日のパスタと5種ほどから選んだパスタの2種が一皿に盛られて出てきます。ペスカトーレは傑出さを感じないまでもまずまずで、早、ここでかなり満腹になります。メインにウリの鹿熊豚のロースやハラミなど各部位のローストを頼んだのですが、これが半端な量ではありません。肉は旨みもあり悪くはないが大食いだと自負しているこの私が食べきれませんでした。全体に塩をきつめに効かした味付けも悪くはない。しかしシェフは大きな勘違いをしていると思います。少ないよりはいいですが、多すぎるのも考え物。味付けと量のバランス、つまりコース構成を考えていません。全体に濃い目の味付けの料理ですから、そうは食べられるものではないのです。特にメインの豚は、ジュに醤油かモロミのようなものを加えているように感じるほど味濃いものでした。これだけ濃いとかなり胃に負担がかかります。ほとんどの客が食べきれないと承知でなぜこれほどの量のコースを設定するのか。我々以外のグループはすべてドッギーバッグを頼んでいました。量を減らして価格を下げろといった野暮は言いません。量が多いことをウリにしたいのでしょうが、残してしまっては本末転倒。家に持って帰って食べてもおいしいはずがありません。シチリア料理はメニューから好きなものを選んで仲間とシェアして食べたいものです。メインに肉料理が多いですが、シチリア料理では魚介を中心にしていただきたい。多皿前菜とビッグポーションのメイン料理でそれほど盛況でない様子を見ると、今のところシェフの戦略は裏目に出ていると考えます。

2006年10月23日

観光地の飲食店のようにクオリティが低い、カステッロ

地元だけではなく、神奈川や東京からの客で盛況だと紹介され、山本益博氏も絶賛している佐倉のイタリアン「リストランテ カステッロ」。所要で近くへ行くことになり、当日何とかランチの2回転目の予約がとれました。家人とナビを頼りにたどり着いた先は、まったく想定外の佇まい。住宅街というより山地の高台にそのカステッロ(城)はありました。まずは、郊外ファミレスも真っ青な大駐車スペースに驚きです。しかも満車。第二駐車場を教えられ高台を降りて道向こうに作られたスペースに駐車し、トボトボとまた高台へ戻るのは辛かった。しかし、停めてある車のナンバーは、千葉、習志野が主体で東京や神奈川が見当たりません。そして店内へ入って再びビックリ。無茶苦茶大箱な店なんです。ホールも3つくらいに分かれていて、総席数は70を超えているのではないか。行く度に席が増えているといったネットのレビューもありました。先に入店した家人の座るテーブルを探し出すのが一苦労。そして客層も凄い。ベビーカーを席に横着けした乳児連れのママさんグループに、ジョギングの途中なのかジャージや短パン姿の夫婦。ドレスコードがありません。グループ客もやたらと多く、ほとんどが店前で記念写真を撮っていました。テーブルチェックができるのですが、大半の客が入り口のキャッシャーでチェックしていたのも印象的。テーブルには紙のクロスと紙ナプキン、とこのリストランテは、駐車場に観光バスはないですが、観光地の店と同じような雰囲気をかもし出しているのです。まったくリストランテの拘りを持たない店。スタッフは各人がオーダーした料理を覚えておらず、料理を運んで来る度に必ず誰が食べるか確認します。こんな大箱でサービスもお座なりな郊外ファミレスと間違う「自称リストランテ」の料理が絶賛に値するはずがありません。シェフお任せ(5800円)を食べましたが、自家菜園をウリにしている割に野菜は添え物を含めて無いに等しい。8皿と数は多いですが、どれも印象に残る食材、質、調理ではない創作イタリアンです。良く言っても万人にわかりやすい味。濱崎、ギオットーネのダウングレード版というところでしょうか。しかし、最寄り駅から徒歩20分はかかるこの立地は車なしでは訪問が難しい。よってワインなど酒類の販売に期待できず、粗利を確保するため大箱とクオリティ低下に奔っているのでしょう。ご近所ならいざ知らず、県外からわざわざ出かけていくのは、費用と時間の浪費であります。

2006年10月06日

料理を造ることだけに専念するべきだ、フェア・ドマ

三越前駅近く、リグーリア料理(イタリアの地方料理)を得意とするこの店のオーナーシェフは簡素なHPにブログを書いています。店宣伝の為のHP運営、ブログ公開のはずですが、この店の場合は逆効果ではないか。松橋シェフのブログ内容は、当日のランチやディナーの予約状況がほとんど。満席だ、いや何席か余っている、と書き出し、ランチのメニューを飽きもせず毎日更新しております。ランチはともかく、ディナーは驚いたことにほとんど連日満席なんですね。三越新館の「ASO」が夜の集客に苦しんでいる中、羨ましいものだと訪問して驚きました。入り口には「本日満席」と掲示がでていたのですが、店内は我々を入れて4組しか客がいないんです。テーブルはその倍の収容が可能な数ありますから、店内は寂しい限り。連日満席の店とアピールすれば、そんなに人気がある店なのかと新しい客を引き付けることができます。半分の収容で予約一杯と言うのは「満席偽装」ではないか。姑息な手段を使うシェフだと思い、友里ブログでちょっと取り上げましたら、彼はすぐさま反応してきました。詭弁を弄したその言い訳は、シェフの体は一つなので料理やワインのサービスがてんてこ舞いになってお客に迷惑がかからないようにディナーは「1日4組」を上限にしている、とのこと。素直に受け取るならばその方針に異論はありませんが、ではなぜ一々ブログや店先に「満席」と掲示する必要があるのか。なぜ最初から「1日4組限定」と公表しないのか。本当に5組以上入れたことがないのか。フリの客ではなく予約が主体の店ですから、ブログや店先に「満席自慢」を出す必要はないのです。しかも、この松橋シェフ、厨房にはほとんど居らず、ホールでオーダー受けやワインサービスばかりしています。調理はスーやスタッフに任せているようですが、自分が厨房に入りサービスのプロを雇えばより多くの客に対応できるはず。スタッフの雇用をケチり、「満席偽装」で効率よく客を集める営業と読みました。料理はメニューから自由に選べるコースが5千円チョイ、アラカルトはボリュームもかなりあります。ウリのジェノヴェーゼのパスタは松の実とチーズを溶かした濃厚なもの。悪くはない。豚の煮込みも量多く美味しい。食後のグラッパも種類が多いと良い所もかなりある店だけに、出たがりシェフが謙虚に厨房に引っ込めば、「偽装」しなくても本当の満席になる可能性があると考えます。シェフが裏方に徹して料理だけ造っていたら、結構良い店なんですけどね。

賞味期限は短いだろう、タツヤ・カワゴエ

イタリアンのプリンチペ(王子様)と言われている川越シェフ。Who is 川越 ?と疑問を持たれる方も多いと思いますが、ある女性層には絶大な人気があるとか。友里も「東京カレンダー」(以下「東カレ」と略す)の愛読者でなかったら彼の存在を知ることはなかったでしょう。昨年から特別待遇の掲載連発。あの学芸大学の有名イタリアンが広尾に移転、とありましたが本当に有名だったのか。うまく「東カレ」のライターを丸め込んだとの噂を聞きますが、川越シェフは「カノビアーノ」の植竹シェフと同じくイケメンで売れるタイプなんだそうです。「辻調」をでてから大した修業歴なくいつの間にか有名シェフに祭り上げられてしまいました。大家との契約問題から恵比寿店をクローズ、代官山へ移転したと言われていますが、漏れ聞くところ色々裏があるともいう話。私は「東カレ」で、内装工事現場にコックコート姿でポーズをとっている川越氏の写真を見て、勘違いしたシェフを確認に代官山店をすぐさま訪問しました。
店内は正面が半オープンキッチン。プリンチペが笑顔で迎えてくれます。カウンターはなんと2席だけ。ホールはパーティションで仕切られて各テーブルが半個室のように区切られていました。料理は前日までに予約のお任せ1万円の他、7500円と5500円の3コース。一番安いコースが前菜7皿とパスタでメインはなし。7500円は前菜が3皿にパスタとメイン。高いコースの方が、前菜が少ないのが変わっています。前日予約のお任せコースはドルチェを入れて10皿。しかしその内容がひどい。各前菜は当日オーダーのコースとほとんどダブっているのです。要は、7種の前菜を用意しておき、それを3コースに使いまわしているだけ。テーブル間の仕切はその仕掛けを客に見せない為のようです。内装は凝っていますが、料理は凝っていません。穴子のマリネや水ダコはデパ地下物との差を見出せないレベル。コンソメジュレやジェノヴァソースも業務用と大差ない味。イカ墨のリゾットも生米から造ったものなのか疑問。メインの和牛も美味しいものではない。ワインリストも貧弱でたいしたワインがありません。料理ではなく川越シェフ目当ての女性客はボトルを頼まないのでしょう。良く言えば「わかりやすい味」、はっきり言えば「セントラルキッチンの味」のイタリアン。噂では川越シェフは既婚者だというのを隠しているとの話も聞きますが、料理店は顔面ではなくやはり料理が大事。この料理では早晩飽きられてしまうと私は予想します。