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2008年02月23日

カートのパフォーマンスだけがウリ、アルタ・アッピア

西麻布4丁目、日赤通り近くのバブリーなビルの地下スペース、テナントはほとんど1年持たず撤退を繰り返しておりました。デリ、フレンチ、そして創作和洋折衷料理など。ウシオ電機系が運営していた六本木「まっくろう」の料理人を招聘し、広尾の業界人御用達イタリアン「アッピア」が関わった「新まっくろう」がオープンしたのは1昨年夏過ぎ。それが一年持たず閉店してしまったのも方角や風水が悪いからなのか。その「アッピア」が再度勝負してきたのが「アルタ・アッピア 西麻布」です。方角、風水関係ないのか今現在集客は順調です。
メニューの料理名が分からない人でも安心なのがこの店の特徴です。着席すると、造り置き主体の冷前菜、温前菜が盛られたカートが2つやってきます。その皿数、冷・温それぞれ10種以上あるでしょうか。客は目で見て好きな料理を選ぶことができます。冷前菜はそのまま盛り付け、温前菜は温め直すか焼くだけと、カートでなかったらイタリアのセルフサービスに近い廉価な店と同じシステムです。パスタは乾麺と手打ち麺のわずか2種。調理法も数種類しか説明がありません。そしてメイン。これまたカートで運ばれてきた魚や肉を選ぶのですが、肉は和牛、豚、仔羊、猪などのグリル、魚もアクアパッツァやポワレくらいしか選択肢がありません。厨房は多種の造り置き前菜を大量に造ることに注力し、パスタやメインはシンプル調理で流すという、シェフの顔が全く見えないレストランであります。
タコマリネ、インゲンとニンニク、鴨とゴルゴンゾーラ、鰯焼き、牛テールなど冷・温前菜はわかりやすい味付けなだけ。鮟鱇とアン肝のラグーの手打ち麺も業界人が喜ぶまったり濃い味。丹波の猪グリルやヤガラのポワレもイタリアのテイストをまったく感じなかった。良く言えば万人受けする創作料理、はっきり言えば経験の少ない厨房スタッフでも出来るマニュアル料理と読みました。業界人、同伴カップル、そして国会議員も見かける高い洋風料理屋です。
ワインリストは1万円から2万円が主体で値付けも高い。CP良いといわれるシリアやサルディーニャ産もほとんどなく、
8000円の安いワインに抑えても2名で4万円弱の支払は、本格イタリアンを期待する人にはまったく向いておりません。

ニューオータニのイタリア3つ星フェア、アル・ソリーゾ

ここ数年1月と2月に友里が訪問するホテル ニューオータニ内のイタリアン「ベルビュー」。イタリアの星付き店のシェフを呼んで5日間限定で開催されるフェア訪問が目的です。本日は南イタリアの2つ星「ドン・アルフォンソ」の初日のはずです。この店、昨年のフェアへ行って期待したものを感じなかったので今年は行きませんが、ご興味のある方は問い合わせしてみてください。ミシュランガイドはフランス版以外信用できないと言った意見を聞きますが、この「ベルビュー」、初めて3つ星をとった「マルケージ」も招聘するなど力を入れているので、ミシュラン星付き店がどんなものなのか、話のタネの訪問はいいかもしれません。
さて1月に来日したのが3つ星女性シェフの「アル・ソリーゾ」です。このフェアへ毎回通っていながら一回もコラムに取り上げなかったのに、なぜ今回友里は取り上げたのか。それは初めてまずまず満足した料理と感じたからであります。
このフェアは必ず「アデッソ」と「クラシコ」の2コースを昼夜用意してきます。シェフの料理スタイルはアデッソかクラシコのどちらかであるはずで、無理して2コース用意させるのは無意味と思うのですが、今回はスペシャリテがある「クラシコ」を注文しました。
「ルイザの想い」というスペシャリテ、温玉の周りにジャガイモを配し、白トリュフをかけた一品。気が抜けているのか香りは弱かったですがまずまず。詰め物パスタの自家製カペラッチ(ラビオリみたい)の洋ナシの赤ワイン煮、仔羊の香草ソテーと2万7000円コースとしてはCP悪過ぎでしたが、今までのフェアと比べると美味しかった。はっきり言えば、他のフェアの店が良くなかったということです。
最後に一言。このフェアへ参加する際は、ワインの値付けの高さに注意が必要です。ノンヴィンのスプマンテ、フェラーリが1万500円。ネットでは3000円前後の代物です。有名造り手の赤ワインと言っても7000円チョイのバルベラが19800円、バローロに至っては3万円以上しかないなど、この店では金持ち以外はワインを頼むなといった超強気の営業。ワインの市場価格を気にしない方、もしくは経費族しかこの店ではワインを頼む気にならないでしょう。

2008年02月16日

タレント関連の店がCP悪いのは定説、わだ家

昨年4月、西麻布にオープンした「お菜屋 わだ家」。和田アキ子の店としてマスコミにも大きく取り上げられた豚シャブがメインの居酒屋です。彼女の知名度や業界での影響力を気にする放送作家やタレント仲間のバックアップで、上々の滑り出しのようです。5月には大阪お初天神店も出し、HPで予約受付をするほどの繁盛さ。しかし運営母体は和田アキ子の個人プロダクション(株)エー・アンド・ケイと言われていますが、実際の運営は店舗プロデュースや居酒屋などをやっている(株)未知インターナショナルだという事実を知っている訪問客がどれほどいるか。事実、スタッフ募集はこの会社が行っており、オープン10ヶ月になるのに今さら募集職種に「料理長」があるのも理解できません。現在まで不在だというのか。
この店は居酒屋の位置づけなのに、生物(刺身など)を置いていません。体に良いと一夜干しの充実を謳っていますが、要は保存が楽なものに限定しているだけではないか。
オヤジギャグの「冷アッコ」(680円)、底が丸い器に盛ったすくい豆腐に出汁醤油と削りたての鰹節をかけるもの。揺れて食べにくいただの豆腐です。アッコの掌サイズという「わらじコロッケ」(980円)は思ったより小さくキャベツは切り置き。「わらじ」もイメージはありません。おススメの一夜干し「大トロサバの炙り焼き」(1480円)はまったく鯖の味わいがない。「のどぐろ」は1860円と安い訳です。よくこんな幼魚のようなもの見つけたと思うサイズなので、美味しくないのは当たり前です。一夜干しは頼まない方が無難。30分以上かかるはずなのに「豚シャブ」より先に来てしまった「銀シャリ」はまったく凡庸。そして「豚シャブ」(2400円)は2人前からしか頼めません。脂カスを浮かべた甘過ぎる出汁で野菜と一緒に食べるこの豚、七味や山椒、黒胡椒を多用しないと酒がすすみません。そして日本酒は1合1200円以上と高めの設定であります。
4人で豚シャブ3人前にその他の料理は1人前、そしてビールにボトル焼酎(7400円)と満腹を犠牲にしての〆は一人当たり7500円。お腹一杯になりませんでしたが、1万円支払ってまで満腹になりたくないレベルのこの料理。タレント店に傑出なしは定説です。

2008年02月09日

あの店は今・・・ジョエル・ロブション

出来レースで3つ星になると予想し、発表数日前の再訪でした。訪問時期の公開は正体を特定されるとのご心配は無用です。薄々感じていたのですが、友里はこの店で顔バレしていました。同伴者の予約名で席へ案内される途中、スタッフから、「最近お忙しいですね」と言われたのです。若いソムリエだけではなく店中に知れ渡っているようです。前菜とメイン2皿のアラカルト注文だったのですが、「甘鯛のポワレ」のオマケにはビックリ。これが噂の「特別待遇?」。連れも大変喜んでいましたが、マスヒロさんや来栖けい氏など顔出ししている人には良くある事なのでしょう。でも店に友里の情報を聞き出さないでください。営業で知り得た個人情報は漏洩できないからです。
3万5000円の多皿コース1種だったオープン時と違って、2万2000円のコースといくつかのアラカルトも用意するようになりました。修正はしていますが、経営している宅配ピザ「ピザーラ」で有名な「フォーシーズ」の戦略が私には未だ理解できません。普通食通やフレンチ好きはコースなんて頼みません。旬で好きな食材を大きなポーションで食べたいからアラカルトで頼むものです。慣れていない同伴カップルや経費族、年配客が逃げ込むコースを主体にしているだけで、経営会社のノウハウレベルがわかるというものです。やっつけで用意しただけなのか、アラカルトは前菜6種、メインは魚が3種、肉はハラミ、仔羊、豚バラ肉と3食材でまったく選択肢なし。この時期にジビエがないのになぜ3つ星になれたのか不思議であります。
肝心の料理はというと、ドライアイス使ったパフォーマンスだけのアミューズは余計、フォアグラと鰻のテリーヌ(7500円)は業界人好みの濃厚味だがまずまず、オマール(9500円)はこの価格では美味しくて当たり前、クミンなどスパイスが前面に出た仔羊もまずまず、とオマケの甘鯛が利いたわけではありませんが、料理はCP考えなければまずまずの食後感。そして特筆すべきはパン。アンチョビ、ベーコン、バジルなど種類多く食べ放題。食後のチーズも思ったより安くて美味しかった。アラカルトなのに量が少なく、ワイの値付けも高くCP良くない高額フレンチでありますが、料理に良いものがあるので☆2つです。

高級食材オンパレードの創作京料理、久

先斗町入口から上がって市営駐輪場を抜けた左側に店を構える「くしかんざし 久」。変な店名は、昔串揚げ屋だったからだそうです。あの1つ星「幸村」の主人も、和久傳へ入る前ここで働いていたと主人から聞きました。
カウンター10席足らず、主人と女将の小さな店です。マスコミの取材拒否ですが、ネットに店情報が結構出ていますので取り上げます。
この店は純粋な「京料理」ではありません。天然鰻、天然岩牡蠣、鮑、ウニ、松葉蟹など高級食材を各皿に盛りこんだ「創作京料理」。文化人、業界人、放送作家など濃い目の味付けを好む人たち、高級食材の羅列に目がない人たちにウケる店だと思います。
一昨年に続き訪問した昨年末、まずはセイコ蟹からスタート。大きな雌蟹で内子も美味しいのですが、甘いポン酢が私には疑問。聖護院大根と鯛の子もやや甘めでありました。足摺岬の岩牡蠣、やはり天然だとこんなに小さいものなのか。ポン酢かけ過ぎですが珍しい一品です。自家製カラスミはネットりしていて甘い大原大根との相性は良かった。カワハギの肝和えも濃い味わい。タイラギ、貝柱、丹波猪の味噌和え、天然ナマコ、グジなどを使った蕪蒸し、鴨葱焼き、と高級食材オンパレードの濃厚な味付けの皿が続きます。京都でこの時期お約束の海老芋は酸っぱい味付けで面白かった。
そして〆のご飯ものは、この店のスペシャリテ、オムライスであります。
オムライスと言っても普通の洋食屋とはまったく別物。アワビ、鴨ロース、ウニ、フカヒレなどを使用したスッポン出汁の玉子餡かけ丼です。これまた濃厚味。これを出されたら、業界人はじめ山本益博氏、門上武司氏も完全ノックアウトか。相性関係なく高級食材をふんだんに使った料理に目がない文化人や放送作家が泣いて喜ぶ究極の〆ご飯であります。
支払額は2万円前後、主人の業界話も面白く、これだけ濃いとワインにも合うか、ワインの持ち込み可だと聞きました。
友里が頭に描いている「京料理」とは対極にある創作料理。東京からわざこの店だけを訪問するのはおススメできませんが、連泊で京料理に飽きた時に経験してみたい店ではないでしょうか。普通の京料理に慣れている京都や関西の方が時たま訪問するにはもってこいの店だと考えます。

2008年02月02日

ワインの値付けだけでなく料理も良くなった、ボン・ピナール

オープン当初に訪問し、破格に安いワインに驚きながらも、料理はそれほどでもなく皿出しが遅すぎて食後感が良くなかった元麻布のフレンチ「ボン・ピナール」。久々に訪問してビックリ、かなり修正されて良い店になっておりました。
とにかくワインが安い。ノンヴィンのシャンパーニュが6800円。平気で1万円超える店もありますから良心的。驚いたのはクリュッグのグランキュベです。なんと1万5800円。これってほとんど小売値か、もしかしたら安いかも。クリスタルも2万200円ですから、高めの店の半値以下であります。スティルワインも半端ではありません。86年のブルゴーニュ1級畑が軽く1万円を切っていましたから信じられません。おそらくワインの値付けは、仕入れ値に数千円の粗利を乗せているだけではないか。よって高額ワインになるほど割安感が増大するわけです。仕入れルートや保存もいいようで、ワインの状態は問題ありません。料理は前菜が1800円前後。肉料理は3000円前後、ジビエは4000円超と普通のフレンチ並、ワインほど安くないのは仕方ないか。
前回はアミューズが出てくるのに40分を要しその前にシャンパーニュ1本を飲み切ってしまいましたが、今回の白レバームース、割とすぐ出てきました。濃厚で美味しい。パートフィローで包んだブーダンノワール、田舎風パテといった前菜ビストロ料理もボリュームがあり美味しい。ちょっと高かったメインの猪ミンチのパイ包みも満足する味わいでした。おいおい、こんなに美味しかったっけ、とその想定外の料理の進歩に我々は驚いたのです。
皿出しも早くはないですがストレス溜まるほどでもなく、4人でビール、グラスシャンパーニュ、ボトルワインを2本頼んで5万円台半ば。たいしたワインも飲まず本数抑えた名古屋の「オーベルジュ ド リル」での一人分に匹敵する支払額でありました。この味、この量、このワインで不満に思う人は居ないのではないか。同伴者も皆再訪したいと言っておりました。「ビストロ ド ラ シテ」のような重めのビストロ料理ではありませんが、トータルの満足感はこちらの方が上かも。近所の人気店「ブルギニオン」にとって、大きな脅威になると考えます。

牛ヒレや主人の自慢話にも我慢の限界がある、基順館

1日1組、会員制というか一見客は予約できないシステムの焼肉屋ですが、「おとなの週末」に詳しく掲載されていたので取り上げます。高質和牛ヒレ主体の隠れ家焼肉と期待していたのですが、心身ともに疲れ果てて帰路につく結果となりました。
ワインも含めて一人1万6000円前後でお腹一杯高品質な和牛ヒレが食べられるのですが、肝心の味付けやワインがイケません。大きな問題点は2つ。まずこの店にはビールがない。白・赤ワインが飲み放題と言っても日本製の甘い特注ワインだけ。ビールが飲めないだけでなく、酒類が甘いワインだけなんて酒飲みには考えられないことです。そして更に苦痛なのが主人の自慢話。最初から最後までしゃべりっぱなしです。嵐山吉兆や和田金の社長も来店して絶賛したまでは想定内でしたが、日本を動かす政治家、高級官僚、検察庁幹部が贔屓にしている、電子カルテやトレーサビリティ関連で特許を取ったので飲食業は赤字でもいいんだ、と飛躍した時はさすがに引いてしまいました。
まずはその日に使うヒレを丸ごと見せてくれます。4人相手でこの値付けの安さには感心しますが、肝心の調理が単調でまともなお酒もないので有り難味は半減です。
最初はヒレ生肉のタレ漬け込み。かなり大きめの塊を一口で食べろと言われます。確かに癖なくトロミのある味わい。量も半端ではなくこれだけでヒレは充分か。香の物を挟んで次はヒレ焼肉。脂がないので煙が出ないとほとんど生状態で勧められます。これがまた大量。一人分何百グラムもありそうです。素材がいいから塩胡椒をしないと言いながら、甘すぎるタレをつけさせるのはいかがなものか。素材が良いなら甘いタレより塩胡椒だろう。生野菜の後なぜか豚のスペアリブがでて、豆腐、真鯛のニンニク風味の煮付け、ヒレスープ、そして餅米のオジヤで〆て、デザートとなります。肉に脂は不要と言いながら、脂の多い豚のスペアリブを出してくる矛盾を理解できず、口の中が甘ったるくなるだけの2時間余り。本来このヒレの量なら、2倍の請求でも文句が言えないはずですが、まったく酔えず不完全燃焼で店を後にした次第であります。
上流階級と無縁の友里には、常連という日本を動かす人たちの嗜好がまったく理解できません。