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2008年01月26日

あの店は今・・・、ラミティエ

前菜とメインのプリフィクスコース(夜)がわずか2100円だった高田馬場のビストロ「ラミティエ」。一般読者への背信行為ともいえる山本益博氏の「値上げアドヴァイス」に耳を貸さなかったシェフでしたが、やはり時代の流れには逆らえなかったのか。2520円に値上げしたとの情報を得て久々に訪問しました。2割の値上げと言ってもその差額はわずか410円。さほど集客に影響がないようで予約は20時前と2回転目と思われる時刻を指定されました。
やや早めに到着して店内を見ると満席ではなく2卓ほど空いています。昔は予約時刻を過ぎても前の客が帰らず外で待たされる羽目になったのですが、今回は早めでもあっさり入れました。おそらく1.5回転営業くらいに抑えているのでしょう。
前菜は白レバー、鶏レバー、エスカルゴ、パテなど9種、メインはシュークルート(2人前)、鴨コンフィ、牛リブロース、牛ほほ肉の赤ワイン煮と定番のビストロ料理などが10種と選択肢は豊富。
ワインの安さも相変わらずです。ローランペリエはボトルで4830円。ノンヴィンテージとはいえ立派なシャンパーニュが小売りに近い値付けです。グラスも570円と普通の店の1/3。スティルワインも南仏ワインを主体に3000円弱から5800円までと安い値付けで提供する良心的な営業です。
料理も変わらずポーション大きく味付けはしっかり目。追加料金も3割くらいありますが、315円以内と控えめなのも嬉しい限り。鶏レバーサラダは3人前かと思うくらいレバーがテンコ盛りで高脂血症の方は要注意。隣客が頼んでいたパテ、分厚すぎて見ているだけでお腹一杯。食の細い方はエスカルゴ(でも結構数は多い)が無難でしょう。メインに頼んだシュークルート、2人前からのオーダーなので、他の料理を追加しようとしたら多すぎるとスタッフに止められました。皿に盛られてきますが、ソーセージ、バラ肉の他、スネ肉が巨大。ジャガイモにキャベツもあり二人では食べきれないほどのボリュームでありました。すべての料理が量多くまずまずの調理で2520円ですから、食材の質に文句は言えません。
5000円超のボトルワインにビールやグラスシャンパーニュを頼んで一人7000円弱は、誰でも満足すると考えます。

客がスシ詰めされる人気店、まつ勘 麻布十番店

銀座「勘八」出身の主人が客を詰め込んで何回転もさせる盛況寿司屋であります。麻布十番駅から徒歩で10分ほど、街場寿司の店構えながら、開店時から客が押し寄せる理由は何なのか。当日の予約ではテーブル席しか割り当てられなかった友里は、前日予約でやっとカウンターに座れました。
このカウンター幅(実際はL字型です)だと高額鮨屋なら10名程度でしょうが、この店は17名詰め込んできます。まさにこれが本当のスシ詰めか。隣客と肩が触れ合うどころか密着して身動きがとれません。
つけ場には4人の職人を配し、親方は中央で何やらタネを触っているだけで握りません。確実に親方一人分の人件費が余計にかかっております。
「勘」の字がつく寿司屋の特徴であるツマミの豊富さはこの店も健在です。
白魚&イクラ、毛蟹、カツオ、アン肝、ツミレ、ホタテ磯辺焼きなどが矢継ぎ早に出てきます。ツマミの皿がいくつか並んでしまうこともあり、その皿の片付けも早過ぎ。客の回転を上げようとする営業努力があまりに露骨でありました。
握りは煮切りを引いていますが酢飯も含めてまったくの平均レベル。コハダ、煮穴子、キス昆布、煮タコなど仕事タネもありますが、サンマの炙りや梅茶碗蒸しなど海鮮系に属する寿司屋と判断しました。塩で食べるアン肝、変な山葵のついた焦げ臭い穴子の白焼き、水っぽい赤身、甘すぎる玉子焼きや生姜など、こりゃ駄目だと思うタネもありましたが、ビールにお酒を飲んで一人1万円かかりません。女性スタッフがつけ爪をし、職人の一人が傷テープ巻いて握っているなど見栄えや衛生上の問題点がありましたが、この価格ならそう文句は言えないか。
早く回転させようと、わんこそばのように仕掛けてくるのが難点ですが、お好みやお任せをカウンターで食べると同じような価格になる「美登利寿司」よりはまともな寿司だと考えます。
ただし最後に大きな問題点を発見しました。友里得意のカードの件であります。この店もカード使用時は5%上乗せするという近張り紙がレジにありました。手数料を客に転嫁する行為は、カード会社との契約違反になるはずです。スシ詰めやツマミの早出しはまだ許せるとしても、この違反行為はすぐさま改めるべきでしょう。

2008年01月19日

奇を衒った滑りまくりの創作和食、山田チカラ

「旬香亭デ・メルカド」で模倣エル・ブジ料理を出していた料理人が独立して出した「山田チカラ」。何と茶の湯に目覚めたとかでスパニッシュから茶懐石への転向です。しかし、フレンチからスタートして最後は「エル・ブジ」で修業したと聞く山田力シェフ、和食をどこで勉強したのでしょうか。
麻布十番駅から徒歩10分以上、茶室と掘り炬燵式のカウンター8席の主人と女将の小さな店。料理は1万2000円1本で、日付と主人の署名入りのコース内容は、一ケ月前東京カレンダーに掲載された記事と6皿(全11皿中)も重なっておりました。
女将が最初に出してきたのは「おしのぎ」。折敷に飯、汁、向付が並べられています。飯と汁を飲まなければ酒類を出さないという懐石の作法を真似ています。その後女将が注いでくれたのが「バラのマティーニ」。これも立派な11皿の一つですが、匂いがバラと言うよりまるでトイレの芳香剤のようでした。スプーンに乗った一口料理の生ハムメロンは見た目の奇抜さだけのもの。造りはサイコロ状に切った鮪にウニ、鱒子、海老を醤油のヌーベで供されます。刺身を引く技術は和食の生命線ですが、サイコロ状にするとはその基本を踏み外す愚行。和食を知らない外人が考え出した醤油のヌーベもヒネた味わいで刺身に合いません。お椀の代替の粉末フォアグラに温かいコンソメをかけた「キノア」、液体窒素を使って粉末にしてしまったらフォアグラの味なんて感じません。しかもコンソメは業務用のように味が濃かった。二種選択のメインの一つ佐賀牛ステーキはまだ良いとして、もう一方のタンの煮込みは甘酸っぱすぎて半加工品のような食後感。冷蔵庫にはキューピーの冷凍卵白のパックがありましたから、業務用品を使用するのに抵抗感のないシェフであると考えます。
11皿中、早松と鱧のフリット、鱸のポワレ(火が入り過ぎてNG)、五島饂飩と3皿にトマトソースを使う偏りはいかがなものか。和洋折衷な和食もどき料理に値付けの安くないワインを頼んで一人2万数千円の支払いはCPあまりに悪い。妖艶な女優や編集者のヨイショでご満悦なデザートライターを見かけたことからも、味がわからない業界人専門のお店と判断。わざわざ訪問する店ではないでしょう。

2008年01月12日

この値付けでなぜ客が入るのか、リル ナゴヤ

名古屋地区が活況と聞きますが、ここまで景気がいいとは思いませんでした。無茶苦茶値付けが高いのに連日盛況なのが名古屋駅前ミッドランドスクエア42階の「オーベルジュ・ド・リル ナゴヤ」。フランスはアルザスの3つ星と東京の1つ星「ひらまつ」を経営するひらまつグループのコラボ店です。
天井は吹き抜けのように高く超ド級のシャンデリアは木製と内装は豪華過ぎ。ダイニング系デザイナー森田恭通氏の作ですから成金的になるのは仕方ないのですが、本店のオーベルジュへの訪問経験ある同伴者はその乖離に驚いておりました。
ワインリストも宝石箱のようなゴージャスな装丁で高いものしか揃えていない。アルザス料理店なのにトリンバック社のリースリングを1万2000円以上しか揃えていないのはいかがなものか。ネット小売りで2000円チョイのものがあるのになぜ提供しないのだ。ノンヴィンのシャンパーニュも1万500円。ネット小売りでは4000円未満ですからこれまた高い。地代や内装費が高いのはわかりますが、これはやり過ぎというものです。
料理はアラカルトの他、コースが8400円から最高値2万6250円と値幅広すぎでコンセプトに疑問。初回と言うことで我々はスペシャリテを盛り込んだ2万1000円コースにしました。
コロッケなど一口タイプのアミューズは凡庸。ウニのカクテルもズワイやニンジンムース、トマトジュレなど今どき珍しくないレシピで普通。スペシャリテのフォアグラテリーヌは濃厚で塩が利いて美味しかったけど、他店との違いがわかりません。グルヌイユのムースは酸っぱすぎるソースがイマイチ、オマール赤ワインソースも殻の出汁の使い過ぎか濃すぎてオマール自体の質がわかりません。メインの蝦夷鹿だけは美味しかった。
期待の割に傑出する料理はなく、請求額をみて食後感は最悪になりました。5万も6万もする高いワインを薦めるソムリエに抵抗して安めのワイン(といっても絶対値は高い)を適度に飲んで一人5万円弱。13%のサービス料も利いているでしょうが、これではまともな自腹客は訪問できません。平松宏之氏には、あの西麻布の「ひらまつ亭」から有栖川へ移転した頃の良心的なワインの値付けを思い出していただきたい。自腹客をないがしろにし、経費族しか相手にしなかったら料理のクオリティは保てません。

ほとんどの料理に疑問のトンカツ有名店、すぎ田

昔からトンカツの名店と評判の「すぎ田」初訪問で肩すかしをくらった友里が、確認と検証のため訪問を繰り返しほとんどの料理を食べて下した結論、それは「超過大評価店」であります。どれも何ら傑出していないだけではなく、キワモノもありましたから唖然です。
ネットで評判のオムレツ(1200円)。小さな玉子3ケのプレーンですが、どこでも食べられるレベルで原価を考えると高過ぎ。メインのロースカツ(1800円)、温度の違う2つの鍋で揚げるパフォーマンスですが、肝心のトンカツがダメ。衣がすぐ剝がれてしまうのです。そして肉自体の旨みも感じません。脂部の旨みもなかったから質が良くないのでしょう。トン汁(200円)も豚の出汁が利いていません。
次の訪問ではヒレカツ(2100円)と海老フライに挑戦しましたが結果は同じ。ヒレカツはやはり衣が剥がれ落ち旨みがなかった。海老フライは大きいですが冷凍ものとしては高すぎです。開店前に水で戻していますが、たまに解凍忘れがあるようです。
サラダもひどい。ハム、トマト、キャベツ、レタスで1200円。これまた戻し忘れなのかハムが凍っており最後までシャキシャキでした。特筆すべきキワモノ料理はポークソテーです。ロース1900円、ヒレ2200円でロースをオーダーしましたが、調理を見て私はひっくり返ったのです。フライパンに乗せられた切り置き肉片のまわりは真っ白。小さな脂片も白い。こりゃ凍っているぜ。油でちょっと加熱した後フライパンごとオーブンらしきものへ入れてしまいました。しばらくして取り出された肉は結構火が入っておりましたがここからが更に問題。マナ板でこの肉片を薄切りにし、再びフライパンへ戻しサントリー角瓶に入った酒をたっぷりかけてフランべし、トドメはバターと醤油をたっぷり入れての再加熱です。オーブン使ってソテーと称するのも問題ですが、これじゃ醤油バター煮込みじゃないですか。肉質がまったくわからなくなるこの調理、甘ったるいだけの濃い味で、後味も悪かった。トンカツの質は並で衣が剥がれ、サラダのハムは凍っている。冷凍エビも並、煮込みのようなソテーは、放送作家など業界人でなければ理解できない濃い味と、まったく理解に苦しむ下町の過大評価有名店であります。