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2007年02月24日

特徴のない料理だが繁盛している、エスペリア

西麻布に2年前オープンした一軒屋風イタリアン「クリニカ ガストロノミカ エスペリア」。瞬く間に繁盛店になりました。カウンター6席にテーブル席が8卓ほどの店内は、ランチ時連日満席であります。前菜がサラダでパスタが色々選べるコースが1300円。前菜もメニューから選べる1800円コースもありますが、メインまである3000円コースは必要ないでしょう。スーパーマリオに似た風貌のシェフは「チーズ騎士」の称号を持っているそうで、ウリは「サラダ革命」なる前菜。ゴルゴンゾーラをベースにした温かめのソースを野菜にかけただけのもので、高カロリーだがまったく「革命的」な皿とは思えません。完全な「名前負け」です。パスタは定番の他今月のパスタとして2種が用意されています。チーズ、赤唐辛子、野菜、魚介など種類は多いのですが、肝心の麺がベンガシーネやフェデリーニといった細麺にショートが1種と選択肢がありません。太麺がないので、ラグー系もあまり見当たらない。創作系の各種パスタはわかりやすい味ということで「パスタの美味しい店」として近隣では評判です。しかしコースにでる自家製フォカッチャは美味しい。「サラダ革命」より野菜が多そうな普通のサラダと選択パスタの1300円がこの店のランチではおススメです。
夜はアラカルトもありますがプリフィクスコース(5000円)が良いでしょう。前菜盛り合わせ(これは造り置き)の次に、前菜、パスタ、メインをメニューからチョイスできます。この皿数で5000円はお得でしょうか。反対にお任せコース(7000円)は避けるべきです。前菜4皿にパスタ、メインとまったく選択の余地なし。食材や調理法を選べず特徴のない料理を食べるほど辛いことはありません。
ワインは種類がないですが、サルディーニャやシチリアのハウスワインがボトルで4000円台。この店では、この値付けも安いワインで充分です。わかりやすい味、高くない支払い、と普段使いの店としてなら充分、ただし遠方から訪問する店ではないでしょう。最後に二言。2階の貸切個室は現状のスタッフ数では営業は無謀です。まともなサービスが出来ません。また客単価1万円の夜でも皿毎にカトラリーを交換しないのもいかがなものでしょうか。

知名度抜群で集客は順調、銀座天一本店

日本で一番有名な天麩羅屋、昼も夜も銀座の買い物客や年配客で一杯です。寿司屋の「久兵衛」と同じく、傑出した料理を出さなくても客をひきつけるそのブランド神話に脱帽しました。
久々の訪問はまず昼から。7350円のコースは、突き出しとサラダの後、海老2尾ではじまり魚3種、野菜4種で掻き揚げご飯になります。天汁、レモン、塩に加えてこの店の特徴であるカレー粉も健在。しかし店側は本当にカレー粉が合うと思っているのか。腕の良い職人が良質のタネを上質の油で揚げた天麩羅なら、こんな調味料は必要ありません。肝心のタネの旨さがカレー粉の刺激に負けてしまいます。押し切りで切った穴子はやや生臭く、〆に選んだ天丼もベチャベチャでした。銀座とはいえ、10%のサービス料が加わるとCPの良さを感じません。
間をおかず訪問した夜も満席。客だけでなくフロアスタッフも溢れています。女性スタッフだけで充分な数なのに、更に男性スタッフが2名加わっています。カウンターが主体の店で、マネージャーや案内係の男性が必要なのか。厨房も若い衆がかなりいるようで、固定費掛け過ぎは一目瞭然、CPが良くなるはずがありません。今回は旬の食材が加わるということでお任せコースに飛びつきました。海老2尾の後、確かにメゴチ、ホタテ、タラの芽、蕗の薹、牡蠣、ワカサギ、白魚、海老すり身入り椎茸とアイテムは豊富でしたが質はそれほどでもありません。ウリの海苔で巻いたウニも明礬が強くてイマイチでした。チェック時に明細を提示するのは外人客への配慮なのか。1万4000円となった「お任せコース」に、しっかり「お通し」として400円が加算されているのには唖然。街場の店ではない天下の天一が、コース代金のほかにこんなみみっちい加算をするのはみっともない。加えて私は言いたい。機能していると思えない男性スタッフをリストラしてサービス料を減らす努力をしたらどうか。10数人の客に対して油の注ぎ足しはあったが全交換がないのもケチりすぎ。多店舗有名店にCP良い店なし、はまたまた証明されました。

2007年02月18日

ただの鉄板焼と寿司会席ではないか、森本XEX

フジTV「料理の鉄人」を覚えていますか。何で選ばれたのか疑問の三代目和の鉄人、森本正治氏。その鉄人を前面に「サルヴァトーレ」や「XEX」を多店舗展開するワイズテーブルがオープンしたのがこの「morimoto XEX」です。
「世界のアイアンシェフ」、「アメリカNo.1ジャパニーズキュイジーヌシェフ」とHPで勝手に表示していますが、ただの民放バラエティー番組で適当に選ばれただけの鉄人。鉄人は番組中の「肩書き」なんですけど、本人とワイズはかなり勘違いしているようです。
六本木星条旗通りに面したこの館。良く言えば洒落たNYスタイル、はっきり言えば派手な成金ダイニングです。2階がプライベートラウンジ、1階が寿司コーナー、地下が鉄板焼とかなりの大箱。寿司も鉄板も1万円から1万5000円までの3コース。アメリカ風日本料理のシェフが考えた〆に握りが5貫出る会席仕立ての寿司コースはハズれる可能性が大。よって無難に1万5000円鉄板焼に決めました。
世界に数台しかないという自慢のスライサーで切った神戸牛の刺身は薄すぎてイマイチ。オイスターフォアグラなるものは2つの食材がまとめて一口タイプで物足りません。
角アイスに並べた魚のカルパッチョも質が良くなくベチャベチャで駄目。寿司コースも同じ質でしょうから期待できません。伊勢海老ローストとグリーンサラダの後、小さな前沢牛としけた鰻が入った櫃まぶしがでてデザートで終わりました。このコースのどこに「世界のアイアンシェフ」の才能を見ることが出来るというのか。そこらの「鉄板焼き」と同じではないか。現在は牛以外に豚や鶏もチョイスできるようですが、これなら銀座の「うかい亭」の方が食材も豊富で満足します。1本数千円でワインの持込が出来るのが唯一の救い。森本氏はHPで「レストランビジネスで料理がしめる割合は3割。サービス、デザイン、音楽、客層を含めたアトモスフィアが7割」と発言しています。この発想が変わらない限り、彼の店で料理を期待することは出来ません。レストランをエンターテイメントと勘違いしている自称世界のアイアンシェフ。「森本とXEXの出会い」とありますが、日本の一般客として出会わなかった方が良かったと考えます。

2007年02月10日

昼はお得だが夜は高すぎる、いわ井

銀座の有名鮨屋「きよ田」を出る際気がついた向かい側の小さな店、天冨羅 いわ井。かなり前からオープンしていたそうですが、まったく知りませんでした。何となく良さそうな気がしまして、まずは昼に飛び込みました。
カウンター10席の主人と女将の小さなお店。カウンタートップは化粧版、厨房側の壁はタイル張りと高級感はないですが、店内は整然と片付けられており清潔感も上々。「みかわ」とはえらい違いであります。昼の定食は、3150円、5250円、7350円のコースの他、2625円の天丼があります。何回も訪問できないのでまずは最高値のコースを注文。削りたての鰹節をかけた小松菜煮浸しの後、天麩羅がスタートします。海老2尾、冑も2つとこの価格にしては量も質もまずまず。キス、ホタテとレア気味で揚げるのは友里好み。反対にユリネはかなりしっかり火を通していました。穴子もしっかり。当たり前ですが、「みかわ」のように色々なタネをごっちゃに揚げていないのでタネ毎に揚げ管理が出来ています。主人は「天一」出身とのこと、客を詰め込み回転させて利益を優先する営業をしなければ、まともな天麩羅を提供できるという証左であります。特にこの店のウリは野菜でしょうか。シイタケはかなり立派、アスパラ、レンコンと分厚く食感もあり、しし唐は香りも良かった。かなり満足したのですが、期待して訪問した夜では肩透かしとなりました。
コースもありますが、店を信じて「お任せ」をオーダー。つぶ貝山葵漬けの小鉢の後出た海老は、昼と同じく2尾。海苔で巻いたウニ、牡蠣、鮑と高級食材はまずまず。途中に出る「萩の鮪」のヅケの必要性に疑問を感じながら、追加の形で山牛蒡、穴子、ユリネ、イカを頼んで〆は天丼でしたが、支払額が一人2万円を軽く超えたのに私は驚いたのです。料理だけで一人1万7000円前後の計算。これならば、「楽亭」で刺身(4000円)を追加した最高値コース(1万2000円)の方が安いではないか。東京屈指の名店より高いのはおかしい。いくら野菜が良いとはいっても、刺身の量も少なく「お任せ」でも1万3000円前後にしなければ食後感が良くはならない。天丼のタレがやや甘いのも気になるところですが、この店の有効な利用法は昼のコースに限ります。

高額寿司店にTVは必要なのか、乾山

気軽な寿司店の位置づけの写楽、桂、勝どき、から高額寿司店を目指す古径、乾山などを全国に多店舗展開している「寿司田グループ」のフラッグシップ店、乾山銀座七丁目店。グループ店舗数はかなり多いですが、当初は「寿司田」からスタートしたと聞きました。「多店舗展開にCPの良い店なし」の定説が寿司業界にも当てはまるか。以前J.C.オカザワ氏から聞いていたこの店を打合せ帰りに偶然発見し、昼に迷わず飛び込みました。昨年10月末に現在のビル2階に移転しましたが、最初の訪問時は狭い路地に面した古い造りの店舗。客はほとんどおらず、つけっぱなしの小型TVの存在に驚いたのです。
ツマミからお任せで、シマアジ、アジ、トリガイとタネ質は中の上程度か。赤身は色も薄く中トロ含めて鮪はイマイチ。握りでは、酢飯に特徴なく、煮切りは要求しないと引いてこないなど、街場寿司屋の上級店といった位置づけと判断。炙る穴子、煮ハマはガス臭いと感じたのは先入観からか。〆ものが少なかったことからも、江戸前とは違う海鮮タネ系の寿司屋と言えるでしょう。ぬる燗飲んで1万5000円強の支払いに、この内容ではCP良いとは言えません。
移転後の新店も昼は客が少ないようです。大箱で内装は豪華になり、TVも薄型になりましたが健在。しかしなぜTVがあるのか。巨人戦を見ながら寿司をつまむ客層が多いということでしょうか。高級店を目指すならまず最初にリストラすべきがこのTVであると確信します。
山葵は太くて立派そうでしたが、その他は以前と同じレベルのタネ質。鯖は〆すぎで質もイマイチ。玉子は出汁巻きではなかったですが、業務用に大量生産した出来合いものと区別がつきません。2番手は握りの最終成形をまな板に置いて両手でやっていました。見ていて見苦しい。握りの技術を修練されることを望みます。
海鮮系のはずですがタネ数は多くなく、支払いは固定費増えても変わらず1万5000円前後。酢飯にまったく特徴なく、仕事に拘りもない。正にJC好みの寿司屋といえますが、夜の再訪は私にはあり得ません。多店舗展開の会社が経営する高額店にCP良い店なし、も定説であります。

2007年02月03日

銀座の鮨屋では穴場的存在、鮨 奈可久

J.C.オカザワのおススメ店にうまいものなし。
これ、彼と付き合い出して1年経った私の結論です。彼の推奨店を訪問して何度落胆したことか。特に昨秋出版した拙著「グルメバトル」の取材では、彼の提案した店ではずれまくって危うく体調と自分の味覚を崩すところでありました。そんなJCが昨年末コラムで褒めていたのがこの銀座の「奈可久」です。体調や味覚も戻り、また駄目さ加減を確認してやろうと訪問したのですが、意外やまともな鮨屋で驚いたのです。JCも下手な鉄砲数打てば当たるということでしょうか。
泰明小学校近く、主人と女性の2人の小さな店。「奈可田」系の店のシンボルであるつけ場の氷柱はやや貧弱ですが健在。手が足りなくて昼営業をやめ夜に絞っていますが、客入りは良いように見えません。
まずはツマミ。定番だけあって蛸の桜煮は旨い。
焼き物の他は鮨タネが主体となりますが、春子、〆鯖などタネ質、仕事と悪くありません。では握りはどうか。酢飯は流行の赤酢を使っておらず特徴あるものではないですが、タネとのバランスは良い。コハダ、煮ハマ、鯖、キスとかなりの鮨通でも許容範囲の出来ではないでしょうか。オボロをつけた蝦も面白い。かなり漬け込んだヅケ(奈可田とはスタイルが違う)は客によって好みが別れるでしょう。煮穴子、鯵と時節的なものか質に疑問のタネもありましたが、太巻きのオミヤを入れて一人2万円前後の支払いは、銀座では文句をつけられません。
そしてこの太巻き、美味しかったのか家人たちにすべて食べつくされてしまって味わうことができませんでした。どうしても味わいたくて再訪して持ち帰り、確かに美味しさを確認した次第です。
主人は謙虚で、一人客にも寛容な営業、しかも飛び込みで簡単に座れるほど空いている銀座の穴場といえる江戸前鮨屋。繁盛してきても「しみづ」のように制限時間での入れ替え制など客の居心地を考えない儲け第一主義に奔らない事を願うばかりです。
味センスが良いとはいえないJ.C.オカザワさん。でもこれだけスシを食べて紹介しまくれば、たまには当たりの店を紹介できるということが今回わかりました。なぜ客が少ないのか友里には不思議。銀座の穴場鮨屋としておススメです。

周辺の有名ビストロよりおススメ、シブレット

今日も月曜に続いて友里にしては珍しいおススメ店の登場です。慣れない褒め言葉をひねり出して体調を崩さないか心配です。
読者から「台東区の奇跡」との強力な推薦を受けた「ビストロ ラ シブレット」。浅草橋駅から徒歩5分ほど、カウンター6席、二人横並びのラブ席1つにテーブル1卓のシェフとマダムの小さな店です。ランチが特にCPがいいのか、ネットでもかなりの高評価。ビストロ料理に目がない私は直ちに訪問したのです。
黒板メニューには前菜が10種ほどで840円から1470円の範囲とまずまず安い。メインはシャラン産鴨、ロイヤルポーク、オーストラリア仔羊、鶉、と食材も揃い、ほほ肉赤ワイン煮とビストロ定番料理もあるのですが1890円から3300円までと店構え、立地からするとやや高めの値付けです。ワインはどうかというと、ノンヴィンのシャンパーニュが7900円。高くもないが安くもない。白・赤ワインは3600円からありますが上は2万円弱までと高額なものが多いのも意外でした。
アミューズの桃と生ハムはオイルが効いていてグッド。岩牡蠣のスープはバジル以外に塩を強く感じましたが、定番のウニのコンソメジュレもなかなかのもの。世界一美味しいと銘打ったオリーブもそのキャッチに疑問ですがまずまずでした。温玉付のラタトゥユ、白レバーサラダと量だけの皿もありましたが、前菜は当たりが多かった。
メインがこれまた大盛りです。シャラン産鴨は3300円と一番高価ですが、特にボリュームたっぷりで美味しい。仔羊(2400円)も悪くありません。ボリュームがあるので、3名でもメインは2皿でお腹一杯。色々な料理をシェアしながら試すのではなく、しっかり1皿を食べこむ位置づけの店であります。塩をしっかり効かせた味付けにボリューム満点の料理は、正にビストロというものです。ワインが高めなので、飲むグループでは一人当たり1万円を簡単に超えてしまうのが難点。総合評価では高田馬場の「ラミティエ」には及びませんが、料理の種類、味、量、そしてCPと近辺の「モンペリエ」のはるか上を行っています。「奇跡」は起こりませんでしたが、まずは訪ねても不満のない店。下町のビストロとしておススメです。