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2007年01月28日

業界人好みは立派に継承されていた、maqereau

六本木にあった「まっくろう」という洋食屋をご存知でしょうか。箸を用意し〆はご飯物を出すフレンチ風お任せコース料理と接客を担当するマダムがウリでありました。芸能人や業界人に遭遇できる店だったのですが、数年前に閉店してしまいました。しかし、この店が実はシェフの個人店ではなく、あの「ウシオ電機」の子会社系列だったことはあまり知られていません。芸能人や業界人の他、男性客が多かったのは親会社の接待だったのかもしれません。
その「まっくろう」に居た人をシェフに頂き、西麻布では飲食店不毛として有名なビル地下にこの夏出店してきたのが「maqereau」です。
テナントが入っているより空室の期間の方が多いこのビル地下ですが、オープン1年経たず撤退したフレンチ後にすぐ内装工事をしていたのでチェックしていたのです。オープン日にでていた花の贈り主が江川卓氏とアーネスト・ジンガー氏。江川氏の名前を見て芸能人向けの店と即判断、店名を確認して納得したのです。ワインはジンガー氏(大橋巨泉の娘婿のはず)の会社「ミレジム」からの仕入でしょうか。
客筋は変わらないようで、知人が行った時はアイドルタレントや昔世間を騒がせた女性TVプロデューサーが居たそうです。卓上の箸も健在。アラカルトとコースのメニューは、いずれも価格の明記がないのもこの手の店のお約束です。一般人にとって不明瞭で不親切。コースは1万8000円前後、アラカルトはポーションが小さい前菜を4皿選び、豚、牛、若鶏、仔羊からメイン1品選んで1万5000円前後とのこと。ワインも客層に合わせてか値付けが高い。シャンパーニュのクオーター瓶が3500円でしたがこの価格では街の店でフルボトルが買えるというものです。コースはオスと比べて相当安い甲箱蟹、ジュレの中にほとんど確認できないキャビア、貧弱なオマール、フォアグラ、鮑、米沢牛と質や調理はさておき味のわからない業界人や芸能人が喜ぶアイテムが満載です。シャンパーニュ、高すぎるグラスワイン白(2200円)にこの店では安めの赤ワインをボトルで頼んで一人3万円前後は、あまりに高いというもの。1年で一番予約が取りにくいクリスマスの週末でも当日夕方に予約が入ったとの知人の報告に納得した次第です。

高額鮨店と考えればCPは良い、ふじ井

マスコミに露出していない宝町駅近くの鮨屋。CPが良いとの読者のおススメで知りました。初訪問は飛び込みで昼、雑居ビル1階のドアを開けると客はほとんど居ません。カウンター10席ですがテーブルが7卓と、女将と二人だけにしては大箱なのが意外でした。主人は与志乃出身なのであの「次郎」とは兄弟弟子の関係になりますが、まったく威圧感ないおとなしい人。「次郎」も含めて「水谷」、「松波」など兄弟弟子の店は「高価格」が特徴なのに、なぜCPが良いと言われるのか。ツマミを一口食べてその理由がわかりました。タネ質がそれほど高くないのです。夜1万5000円以上の店を高額鮨屋と位置づけるならば、その中では平均レベル。人件費もかからないし、地代も銀座より安いはずなので、安い値付けが出来る条件が揃っているのです。
コハダ、煮ハマ、煮穴子、玉子と江戸前仕事のアイテムはありますが、ヅケや白身の〆物には出会えませんでした。酢飯に兄弟弟子と違って赤酢を使用していたのも意外。握りは丸っこくて洗練さを感じませんが、ツマミと握りをお好みで頼み、ビールにぬる燗で1万数千円と予想通り銀座価格よりかなり安かった。
夜の予約電話で変わったシステムを知りました。予約は受けるのですが、カウンターは来店順で保障できないというのです。場合によってはテーブル席になるとのこと。昼の状況から夜の満席は考えられませんでしたが、高額鮨屋でテーブル席に着くほどつまらないことはありません。当日は連れを急かして早めに駆けつけ、年配の男同士やカップルなど比較的年齢層の高い客が居ましたが無事カウンターに座ることが出来ました。ツマミは鮨タネ主体で、4切れづつと豪快に出してきます。「お任せ」はなく「お好み」1本は、今趨勢の高額鮨屋に慣れた客には面倒くさいか。握りも何も言わなければ2貫づつでてきますから注意が必要です。ツマミを食べながらぬる燗でいい気持ちになってふと周囲を見回すとテーブル席まで満席状態。主人はテーブル客用に、別のタネ箱からあらかじめ切り置いた鮪をせっせと握り続けていました。カウンターとはタネが違うようです。
ツマミ、握りとしっかり食べてお酒を飲んで1万円台後半の支払い。高額鮨屋への入門店としておススメします。

2007年01月20日

ただの居酒屋料理を絶賛するな、銀座 こびき

勘違いは料理人に限ったことではありません。たまにマスコミに露出する古川修氏もしかり。日本酒、蕎麦、和食を極め、そこらのプロより美味しい料理が造れると自慢する思い込みの激しい年配の「副業ヨイショライター」で、東大工学部を卒業し、ホンダに勤めて芝浦工業大学の教授に就任した自称食通であります。鱸や鯛、若布を扱う村公一氏を日本一の漁師と煽り、西崎ファームの鴨、秋鹿や宗玄といった日本酒の宣伝文句を何の検証もなく垂れ流しまくる「癒着ライター」でもあります。私も理工系を修了しメーカーに勤めていた経歴があるので断言できるのですが、理工系の先生や学生、そしてメーカーは上から下まで世に言うグルメ、食に拘る外食好きは皆無に近い。周りは素人同然ですから、誰でもちょっと外食巡りをして薀蓄を語れば「グルメ」と評判になるのです。いわゆる「井の中の蛙」状態なのですが、教授になって「先生」と祭り上げられた古川氏が、経験の浅さを自覚せずに普通レベルの店や食材を読者に薦めるからその罪は重いというもの。この「銀座 こびき」も不自然に絶賛していたのでその検証に訪問しました。
彼が食べたものと同じ料理に挑戦。天才漁師の鱸は熟成しすぎでパサパサ。旨みの抜けた〆物みたい。後を引く味わいという子持ち鮎の有馬煮は、甘露煮と粉山椒の濃い味付けに助けられただけ。マツタケフライも口中に溢れる香りなんかありません。恐らく丹波物などと比較したことがないのでしょう。すべてが居酒屋料理の範疇ですから傑出するものなし。〆に絶賛の握り寿司も食べましたが、生姜は甘すぎ、酢飯も駄目でバランス非常に悪し。魚の質が並で仕事の腕もありませんから、街場の寿司屋にも劣るものでした。この店には彼が宣伝しまくっている「宗玄」と言う日本酒があるのですが、この会社はタレントの「魚住りえ」とのコラボの日本酒を売り出しているのですから、その志は知れているというもの。こんな浮ついた醸造元が素晴らしい酒を提供できるのでしょうか。中庸なタネ質を中庸な調理レベルで提供する「こびき」。客の食べ具合に関係なく次々と料理を持ってくるのでテーブルは皿で溢れかえります。客の事を考えないこんな店、1万円前後払って、わざわざ行く必要はありません。

ウリの玉子焼だけでは再訪できない、鮨処 金兵衛

肩書きが映画監督と著述業になっている早川光氏。しかし、その分野でどれほどの活躍をしているのでしょうか。「きららの仕事」という鮨コミックの原作者と言うとご存知の方がいるかもしれません。「東京最高のレストラン」の執筆陣の一員として、鮨屋限定で思い込みの激しい店賞賛コメントの連発に、私はお歳の方だと思っておりました。しかし、鮨ブームに乗って色々な雑誌の「鮨特集」に露出してきた自身の写真をみてビックリ。趣味悪い派手な服を着ていますが中年くらいと若いのに驚いたのです。その氏が絶賛している店の一つがこの新橋の鮨屋でした。
わずか8席のカウンターに老職人が二人。鮨ネタは、ショーケースの中のラップをかぶせたバットに保管されています。私の経験上、この方式の店に傑出店なし。
「お任せ」はなく「お好み」でツマミからスタート。鯖、ヒラメ、蒸鮑、煮ハマなど江戸前仕事しているものでまずはお手並み拝見です。切り身の数は多かったですが、タネ質普通で仕事も並。仕入れのレベルが直ぐわかる赤身は香りも薄く水っぽい。芝海老の旬が冬だけだということでこの時期にしか出さない玉子焼。早川氏は日本一と言っていますが、海老の風味がそれほど効いておらずこれが日本一とは暴走でしょう。握りはどうかというと、コハダを「喉が鳴るほど旨い」と表現していますが、使い方を間違っていますよ早川さん。見た目美味しく見え食べたくてうずうずする様が「喉が鳴る」と言うのです。無理にヨイショをするため少ない語彙の中から選んだのでしょうが的外れ。悪くはないですが傑出していません。同じく絶賛の煮ハマからも滋味や磯の香りを感じ取れない。どうしてこんなオーバーな表現をヨイショライターはしたがるのか。タネ質は並、握りは無骨で洗練されておらず、酢飯も特徴がない。仕事も中庸でぬる燗3本にビールで一人2万2000円前後と高くてCPも悪い。「東京最高のレストラン」06年版と最新07年版でのヨイショコメントはほとんど同じ文章を使いまわしていますが、料理の点数はナニゲに9点から8点へと下げておりました。ヨイショコメントは同じなのに評価だけ何故下げたのか、安倍首相と同じく、彼の辞書には「説明責任」という文言がありません。(わが国の首相の姓を変換ミスしていました。何か変だなと感じていたのですが、ここのところ首相としての優柔不断な対応や凡ミスの連続ですっかり影が薄くなったのが原因なのかあまり気になりませんでした。JCオカザワ氏はじめ読者の方々からのご指摘があり、修正させていただきます。)

2007年01月15日

シェフに独立されて店名から名前を消した、レ・サリーネ

飲食店の入れ替わりが激しい西麻布。通るたびに店が変わっている所もありますが、この場所も以前は麺類の店ではなかったでしょうか、「リストランテ・ダ・サリーネ」。去年の夏頃、ニーノ氏(正式にはアントニーノ氏)をシェフに迎えてオープンしたシチリア料理専門店であります。当初の正式名称はシェフの名前を入れた「レ・サリーネ・ダ・ニーノ」でした。シチリア料理に絞ったコンセプトが良かったのか、イタリアン激戦区の西麻布で集客も順調であります。私の初訪問は今春、アラカルトを頼んだにもかかわらずシチリアの拘りを感じない料理で期待はずれでした。シェフ不在かと確認すると、この4月に乃木坂でオープンする店へニーノ氏は移るので店には出ていないとの事でした。オープン半年でもう支店を出すほど儲かっているのかとその時は思ったのですが、実は半年でシェフが逃げ出したと言うのが真相のようです。いつの間にかこの西麻布の店名から「ニーノ」の文言が消えていました。そして乃木坂の店名が「リストランテ・ダ・ニーノ」。シェフ移籍は実は独立だったのです。
昼も1千円からのランチで相変わらず盛況ですが、夜の単品料理を頼むことも可能です。カポナータ(900円)はかなり味付けが緩い。シチリアの典型的な食材である鰯とフェンネルのブカティーニ(真ん中に穴の開いたパスタ)は2800円と高い割に美味しくない。その後夜に再チャレンジしましたが、食後感は変わりませんでした。定番ではなく黒板のオススメを主体に頼みましたが、前菜が千円台の割に各種パスタは2千円台とやはり高め。メインは仔羊がありましたが魚が主体で3千円はします。前菜盛り合わせ(3千円)は、タコマリネ、ライスコロッケ、ブロッコリー玉子焼きなどで期待はずれ。鰯のパン粉焼きも凡庸、魚介のラグーはソボロみたいで味にインパクトない。メインに「特別盛り合わせ」としてヤリイカ、オマール、ホウボウを薦められましたが黒板の単品をただ3種盛り込んだだけで5千円は高い。日本風にアレンジした料理に、値付けが安くないワインを頼んで一人1万円を軽く突破とこの食後感ではCP悪すぎです。シチリア専門店が増えている現在、わざわざ訪ねる店ではありません。