2008年11月29日

分とく山

総合 ×  味 △   サービス △  内装・居心地 △  CP △

オープン20年になるようで今年のとある日曜日、記念パーティをやっておりました。
1コースオンリーの和食として、誰でもわかりやすい味付けで多皿料理を提供したのはこの店が初めてではないでしょうか。今でこそ1万円、1万5000円コース1本という高額和食は珍しくありませんでしたが、当時としては画期的ではなかったか。
マスコミに有名で料理道具など通販事業にも勤しむ野崎洋光総料理長でありますが、実は「雇われ」で他店を食べ歩くことをほとんどしていないという実態をご存じの方は少ないのではないでしょうか。
「東京グランドホテル」、「八芳園」といった宴会料理の比率の高いところで働いた後、20代後半と若く「とく山」へ料理長として入店、そのまま「分とく山」の出店と人生の大半を「とく山グループ」に捧げているのです。

他店を食べ歩くことなく20年も自店で創作料理を提供するにはかなりの想像力が必要でしょう。客の要望にも耳を傾けると聞きましたが、土台が宴会料理でその後もほとんど外気に触れていないですから、料理にはおのずと限界がでてしまいます。
良く言えば、誰にでもわかる味付けで質はともかく高額食材を使用した創作料理、はっきり言えば質を伴わない閉鎖された「野崎ワールド」の創作料理とうことです。
オープン当初と違って今は1億総グルメ時代。和食と言えば何でも同じというわけではなく、今は京都から有名店まで東京へ進出してきます。また京都へわざわざ京料理を食べに行く人も多い。同じ価格帯でももっと手の込んだ調理と質の高い食材を提供する和食が東京には存在している現在、江戸風でもなく京風でもない野崎料理、多くの人にわかりやく和食を広めた功績は認めますが、そろそろその使命は終わったともいえるのではないでしょうか。

私の正体がばれている店への訪問は慎重になります。予約は連れにしてもらったのですが、だまし討ちと言われないように、ギリギリの当日、友里が訪問すると店側へ連絡をしての訪問です。おかげで、カウンター内を見られたくないからか、はじめてテーブル席に座らされました。
レンコン豆腐は梅肉が強すぎか。続く前菜盛り合わせはクラッシュアイスの上に盛られているのですが、その中でニシンを真っ先に食べてくれとスタッフに言われました。何とニシンだけ温かいんですね。なぜ氷の上にこんな料理を配するのか不思議です。麩と桃の胡麻和えも食材がマッチしているとは思えませんでした。

お椀は鱧真丈。カツオの強い出汁は別にして、この価格なら鱧そのものを出してもいいのではないか。甘いだけで肝心の鱧の味がしません。
造りのカレイ、鮑、烏賊は普通、太刀魚はイマイチでありました。
夏タケノコに鮎塩焼きですが、すでに骨抜きされた鮎、1匹分ないのでは?焼きもかなり緩かった。
その他、ジュンサイ、鱸、鮑などのアイテム食材がでて〆のミョウガご飯となりましたが、ここのところ京都での食事が続いたこともあり評価基準が上がってしまっているかもしれませんが、以前の私の評価(低評価)を覆すほどの料理には出会えませんでした。

大量生産に近い野崎氏の「独学和食」。同じような価格帯で1つ☆の「小室」や「うち山」の方がまだ本格的な和食の雰囲気(調理も含めて)が楽しめるでしょう。「小十」の1万4000円弱の料理の方がはるかに完成度は高い。
敢えてこの店をオススメするとしたら、高額和食の未経験者か初心者向けだけか。
京料理を知っている人だけではなく、外食好きや和食好きな方にオススメするには無理がある店と考えます。

最後に。連れが是非書いてくれと言った酒類の件であります。
品揃えがプア。焼酎は「黒丸」主体に他に1種だけ。日本酒も常温は「八海山」の本醸造だけでした。
シャンパンやワインを揃える前に、肝心の和系の酒類の充実が先決であると考えます。

少量多皿の街場フレンチ、ル・マンジュ・トゥー

「東京最高のレストラン」というガイド本に登場する「ヨイショライター」たちに何故か人気の神楽坂のフレンチです。
オープン当初は3800円と気軽な店でしたが、ミシュラン2つ星になった現在は1万2600円のコース1本に変貌していますから驚きです。
脅迫してきた和食料理人と共に友里を締め上げようと一昨年同じく2つ星和食店へ乗り込もうとした谷シェフ。結果は断念して帰ったようですが、私の顔を知っている事を承知で8月半ばに再訪を敢行しました。
選択の余地がない「お任せ」いや「お仕着せ」のコースは、以前と変わらず「少量多皿」。デザート2つをいれて、9皿であります。
まずはグレープフルーツジュース。シャルトリューズの泡が乗っていますが、これで立派な1皿。続くエスカルゴの串揚げもわずか1串。ニンニクとパセリをまぶしていて悪くはないがフレンチとしては疑問。ミシュランにはシェフが特別の思い入れを持っているとあったフォアグラのムース、質が悪いのか塩負けしていました。鰻のテリーヌは味が濃すぎて夏に向いているとは思えない。続くポルチーニの細切れが入ったトリッパも味濃い一品。単独では良いですが、鰻の後ではやり過ぎです。ヒラメのポワレもフォンをベースにしたソースのバターがくどく、メインのバスク豚もこれだけ脂があるなら、濃いソースではなくシンプルな調理にするべきでしょう。味濃くメリハリのない調理が続く少量多皿コース。重めの調理と言っても「シェ イノ」の本格的なクラシック料理とは次元が違いました。
ただしワインの値付けは高くない。ノンヴィンのシャンパンが9000円、白・赤の村名も6〜8000円からあります。ただし、1490円のグラスシャンパンは、安くても美味しくなかったのが残念。
友里色を隠すため、ビールを封印してグラスシャンパン、グラスの白に赤ワインをボトルで頼んでの支払いが一人当たり2万3000円ほど。高額フレチでもなければ廉価店でもない価格設定で、調理も中途半端。3800円コースが原点なだけに、ここまで値上げしてのコース造りには無理が出ていると考えます。2つ星はまったくの過大評価。選択肢がありもっと美味しい他店へ行ってください。

2008年11月22日

ただのダイニング和食ではないか、万歴龍呼堂

ミシュランが21日に発売されました。そこで今週は、まったく☆に値しない和食2店(2007年版掲載)を取り上げます。
まずは東麻布の「万歴龍呼堂」です。本当に美味しい和食を提供できるなら、こんな内外装にする必要があるでしょうか。この店の料理長は「祇園 丸山」で働いていたという澤田和巳氏。この京都の有名店で修業した人がなんで格落ちのダイニング系の料理長に就任するのか。予想通り他のダイニング系和食と同様、食後感は悪いものでした。
門扉を開け打ち水された小庭を通って無意味に長い赤松のカウンターに着席。オープン当初は1万円前後のコースでしたが、現在は1万円、1万5000円、2万円、2万5000円と価格だけは高額和食の仲間入りをしております。内容を熟考の上、一番CPが良さそうな1万5000円を選択。
鮑の白味噌和えはダイニングのスターターとして想定内。牡蠣、伊勢海老、湯葉などのスープ仕立ての蒸し物は、トマトがミスマッチです。造りのヒラメが私には天然物と感じず、マグロも水っぽい。甘鯛のお椀、器のセンスはイマイチですが出汁は思ったよりはマシでした。フォアグラとアナゴ、大根の焼き物に添えたホウレン草ソースも美味しくなく、飯蒸しは柚子が強すぎでアンバランス。メインの鴨鍋は出汁が濃すぎて飲む気がしません。〆のご飯は「うずみ豆腐」といって豆腐粥のようなものでしたが、ご飯に豆腐を混ぜて何を訴えたいのか。料理長の意図がわかりませんでした。
酒類も高い。グラスシャンパンが2100円、ブルゴーニュの地方ワインが1万円前後。ネットで6000円前後の村名ワインが1万5000円を超えていましたからやり過ぎです。日本酒も種類が少なく燗酒はわずか1種だけ。驚いたのは焼酎の瓶はすべて水で約半々に薄める「割水」をしています。1週間置いてまろやかさを出しているというけど、薄過ぎでした。
ビール(900円と高い)に酒(1200円とこれまた高い)に焼酎やシャンパンをグラスでチビチビ飲んで一人2万円強の支払いはCP悪過ぎとしか評せません。
厨房スタッフが少ないのかデザート入れて9皿なのに皿出し遅く所要時間はなんと3時間。この支払でこの食材にこの調理、そしてサービスでは、一切近づかない方が無難であります。

リンク

著作

November 2008

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

 

Powered by
Movable Type 3.2-ja-2